この記事をまとめると
■2022年上期のフェラーリの販売台数は6706台で年間販売台数で新記録を更新しそうだ



■フェラーリ歴代モデルの販売台数を集計してベストセラーモデルを探った



■これまでのベストセラーモデルの累計販売台数は1万7653台だった



フェラーリ初期モデルの販売台数はいずれも100台未満だった

8月2日、フェラーリは最新の2022年上半期における世界販売台数を発表した。その数はじつに6706台。これは対前年同期比で23%増に相当し、昨2021年の年間販売台数が1万1155台であったことを考えると、今年もその記録が更新されることは確実な状況と考えられる。



そのフェラーリも、今年で創立75周年を迎えるわけだが、これまでに販売されたモデルのなかでベストセラーはどれなのだろうか。こんな難しい質問が編集部から届いた瞬間、そのメールを削除してしまおうと思ったものの、個人的にもなぜか興味が湧いてしまったので、地道にそれを調べてみることにした。ちなみにここで紹介するのは、現在生産が継続されているモデルを除いたもの。ワンオフやイーコナ、あるいは限定車なども、あたりまえのことだがザクッと省かせていただくことにした。



フェラーリ75年の歴史で1番売れたクルマって知ってる? 調べ...の画像はこちら >>



まずは1947年の創業から1960年代にかけてのモデルはどうか。この頃のフェラーリは、いうならばまだ家内制手工業の世界。最初のグランドツアラーとして1948年から1950年まで販売された166インターが38台しか生産されていないことを知れば、当時のフェラーリの規模も想像できようというものだ。ちなみにこの頃は、フェラーリはシャシーとV型12気筒エンジンを核とするパワーユニットを出荷するのみで、ボディの製作は外部のカロッツェリアに委ねられていた。166インターの場合はミラノのツーリングがその役を担っていたのだ。



フェラーリ75年の歴史で1番売れたクルマって知ってる? 調べたら1万7000台以上も販売したモデルがあった!



生産台数が初めて100台の大台を超えたのは、1953年から1959年まで、4モデルにわたって進化した365/410スーパーアメリカ。トータルで410台を生産したスーパーアメリカは、その名のとおり豪華で卓越したパフォーマンスを持つGTとして、アメリカ市場で大人気を博した。



1960年に発表され1963年までに1000台弱が生産された250 2+2(GTE)も当時のフェラーリとしてはヒット作といえた一台。

リヤにプラス2シートを設けることで、その実用性が大きく高まったことが、その成功の理由だった。



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ちなみにコレクターズアイテムの頂点にある250GTOは、わずかに36台が製作されたのみ。また、フェラーリのファンには人気の高い275GTBもすべてのバリエーションをトータルすると932台という数字になる。



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そして初の1000台超えとなったのは、1964年から1967年まで生産された330GT 2+2。シリーズ1と2を合せると、1099台がマラネロから出荷された記録が残されている。



1万台以上を売り上げた初のフェラーリはF355だった

275シリーズの後を受けた通称デイトナこと、365GTB/4も1968年からの5年間で1284台を販売している。その後継であるBBシリーズは、365GT4BB、512BB、512BBiの3モデルをトータルして2323台という販売記録。年々厳しさを増す排出ガス規制の中で、これだけの数字を残すことができたのは、十分に評価してよいだろう。



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1975年に誕生したV8モデルの308シリーズは、フェラーリの生産台数増に大きく貢献したモデルだった。最初期のFRPボディを持つ308GTBが808台、スチールボディに変わった後の同モデルも2185台、そのオープン仕様たる308GTSに至っては、1977年から1980年までに、じつに3219台を販売することに成功しているのだから。308シリーズはこの後、GTB/GTSi、同クワトロバルボーレへと進化するが生産台数では最初の308GTB/GTSを上まわることはできなかった。



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1986年に登場した328GTSが単体で6068台、ベルリネッタのGTBを合せて7412台を記録している。

参考までにその後継車の348シリーズは、シリーズトータルで8704台。さらに1994年から1999年まで好調な販売を続けたF355シリーズに至っては、生産台数の総計は1万1894台と1万台超えを果たしている。



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一方12気筒モデルでは、BBシリーズの後継車テスタロッサが、折からの好景気にも恵まれ、1984年から1991年までに7177台もの数がデリバリーされている。このテスタロッサはのちに、1991年に512TRに、1994年にはF512Mへとマイナーチェンジされるが、各々の生産台数は2261台、501台。トータルで1万台にはわずかに届かなかったものの、歴代12気筒フェラーリのなかでももっとも話題性に富み、人気を集めたモデルといえた。



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12気筒モデルでは、再びエンジンの搭載位置をフロントに改めた550マラネロ、そして8気筒モデルは360モデナといったあたりを現代に近い存在と考えると、まず特筆できるのは、360モデナとスパイダー、そしてスペシャルモデルともいえるチャレンジストラダーレの成功だろうか。全モデルのトータル生産台数は実に1万7653台。続くF430シリーズも、2007年から2010年まで生産されたスクーデリア、スクーデリア・スパイダー16Mといったモデルを含めると1万6999台の生産が行われている。



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2006年に誕生した新型12気筒モデルの599も、GTOやオープン仕様のアペルタといった限定車を合せると、その数は4679台になる。これ以降にデビューしたモデルの台数は、まだ生産が継続しているものなどを含め、フェラーリからの公式な発表が得られていないので、残念ながら不明。



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現在のラインアップにも魅力的なモデルは数多くあるが、それはカスタマーのチョイスに幅広さが生まれるという意味でもある。はたしてこれまでの数字を上まわる生産台数記録を達成するモデルは誕生するのか? 毎年発表される好調な販売データを見れば、それはまず確実に可能なことだと思うのだが。

クルマ選びは本当に難しい。

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