この記事をまとめると
■クルマは軽ければ軽いほど運動性能も燃費もよくなる■どんなモデルにも軽量化は大事な要素だ
■では部品の交換などによってどれほどの効果が得られるのだろうか?
マフラーの軽量化はハンドリング向上の効果が大きい
クルマに限らず、運動というのは慣性との戦い。重いクルマは慣性が大きく、加速は鈍いし止まらない。コーナリングだって、「出っ張りの長さ(車体中心から先端までの距離)×でっぱりの重さ」で慣性モーメントが決まるので、クルマは軽ければ軽いほど、運動性能もいいし、燃費もいい!
だからレーシングカーやチューニングカーは、カーボンなどの高価なパーツを使って軽量化を図るし、エコカーにとっても軽量化は大事な要素。
・カーボンボンネット
シルビアクラスの純正ボンネット=鉄製はおよそ18kg。それをカーボンボンネットに交換すると、8~10kg軽くなる。
・カーボンドア
たとえばR32GT-Rの純正ドアの重量は、1枚で約22kg。それをドライカーボン製に交換すると、たったの3.5kg。1枚で18.5kgも軽くできる。

・カーボントランクリッド
86/BRZの純正トランクリッドが約9kg。ドライカーボンで作ると1.6kgぐらいなので、7.4kgのダイエットに。

・ホイール
バネ下重量に影響するホイールは軽ければ軽いほど乗り心地もよくなり、接地性も向上する。30系アルファード&ヴェルファイアの純正18インチのアルミは約14kg/本。一方、社外の鍛造ホイールで軽いものだと、18インチで8kg台もあるのでかなり軽い。

・マフラー
マフラーも容量の大きい横置きサイレンサーだとけっこう重く、純正では20kg以上するものもある。それをチタンマフラーに交換すると、純正の半分以下の重量、9kgぐらいに!
マフラーはリヤのオーバーハング部にぶら下がっているので、軽量化によるハンドリング向上の効果が大きい。

・リヤシート外し
公道では乗車定員が変わってしまうのでNGだが、リヤシートを外すだけでも10kgぐらいの軽量化にはなる。

重さがサーキットのタイムに与える影響は100kgあたり3%程度
・シート
運転席のシートを樹脂製(FRP)のバケットシートに交換すると、一脚で5kgぐらい軽くできる。

・スペアタイヤ
スペアタイヤはけっこう重くて、15kgぐらいある。下ろせばそれだけ軽量化になるが、クラッシュしてトランクが潰れたとき、若干安全性が増すような気が……(もともと積んでいないクルマも増えている)。

・フロアマット
フロアマットも下ろすと2kgぐらいの軽量化に。サーキットを走る際は、安全性も考えて下ろしておくのがおすすめ。

・バッテリー
電装品が増えるにしたがって、大きなバッテリーを積むクルマが増えている。最近ではバッテリーだけで20kgを越えるクルマも珍しくない。
そうした純正の鉛バッテリーを、リチウムバッテリーに交換すると、重さは半分以下。わずか5~6kgぐらいで済んでしまう。
リチウムバッテリーの進歩も進み、以前に比べて性能と信頼性が大幅に向上しているので、検討の価値あり。

さてこれらの努力によって、クルマが軽くなったとしたら、燃費やサーキットのラップタイムにどれだけ影響を与えるのか。
まず燃費についてだが、一般的な乗用車では、車重が100kg軽くなると燃費が3%ぐらい向上すると言われている(無駄な荷物は積みっぱなしにしないことが経済的だ)。
サーキットでのラップタイムでいうと、F1マシンでフューエルエフェクト(燃料搭載量がラップタイムに与える影響を数値化したもの)が10kgあたり平均で0.3秒ぐらいと言われている。
量産のスポーツカーなら、重さがタイムに与える影響は、燃費と同じく100kgあたり3%程度と思われる。つまり1周60~70秒ぐらいのコースで、車重を100kg軽くすれば、1.8~2.1秒ぐらい速くなると言う計算だ。
かつては軽量化にために、パワステやエアコンを外すチューンもあったが、いまは材料置換によって快適装備を犠牲にしないゴージャスダイエットが主流。ツボを押さえて、コストと効果が釣り合う軽量化チューンを楽しんでみよう。