この記事をまとめると
■チェロキーに代わって設定されたミドルサイズSUVのジープ・コマンダーに試乗■3列シート7人乗りで2リッターの直4ディーゼルエンジンを搭載
■ロールが控えめでフラットな乗り心地でオンロードもイケるジープになっていた
かつての同名モデルとはまったく異なる系統のミドルサイズSUV
気がつけば、ジープの日本仕様のラインアップから長年親しまれてきたチェロキーの名前が消えていた。そして、実際にはその後継車というわけではないのだが、同じミドルクラスに投じられた新型の7人乗りSUVが、このコマンダーだ。
かつて日本でも同名のモデルが販売されていたから、その車名には聞き覚えのある読者も多いかもしれないが、まったく別の系統のモデルとなっている。
全長×全幅×全高で4770×1860×1730mm、ホイールベースが2780mmというボディサイズは、2列シートで5人乗りとした標準ボディのグランドチェロキーと比較しても、やはり十分にコンパクトなものに見える。

エクステリアデザインは、グランドチェロキーからさまざまなディテールを受け継ぎ、都会的なシルエットと軽さを表現したもの。

今回コマンダーの第一弾モデルとして上陸したのは2リッターの直列4気筒ターボディーゼルエンジンを搭載するリミテッドのみだが、パールコート塗装やサンルーフの有無などによって4タイプのモデルが設定される。

価格帯は597万円から618万5000円と、こちらも訴求力は大きい。
十分に使用に耐えるサードシートを持った手頃なサイズのジープ
まずは気になるキャビンの実用性を確認する。注目すべきはやはりサードシートということになるわけだが、スペース的には身長が175cmの筆者でも、フロアの高さを膝の曲げ具合で感じる以外は、とりたてて窮屈な印象は抱かない。何時間にも及ぶ長距離の移動でなければ、それは十分に活用できるスペースといってよい。

このサードシートとセカンドシートは、必要時にはそれを収納してラゲッジスペースを拡大することももちろん可能だ。

レザーシートや10.1インチのタッチパネルモニターによるオーディオナビゲーションシステム、さらにはアクティブクルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキに代表される安全装備を満載した最新のコマンダーは、もはやオフロードを目指すタフなだけのSUVではない。

それを物語っているのが、オンデマンド式4WDの動きであり、またほどよく引き締められた、フロントにマクファーソン式ストラット、リヤにマルチリンクを採用したサスペンションの動きだった。

最高出力で170馬力、最大トルクでは350Nmを発揮するディーゼルターボエンジンは、9速ATとの組み合わせで数字以上に軽快な動きを見せる。ただし、ノイズやバイブレーションの処理にはまだまだ改善の余地があるのも事実。それもまたジープというブランドの持つタフネスさの表現なのだといえば、それも否定できるところではない。事実低速域でのトルクは、1750pmですでに最大トルクを発揮することからもわかるとおり、オフロードドライブをも強く意識したもの。
サードシートを活用した状態で、あらゆるフィールドへとゲストを誘うことができる。コマンダーはやはりジープの伝統を受け継ぐ、そのファミリーにほかならない一台だった。
