口頭弁論期日後に記者会見に臨んだA氏は、「大学の不正を内部告発した職員が、報復として架空のパワハラをでっち上げられ、懲戒処分を受けた。
A氏に対する懲戒処分は、同氏が処分を不服として提起した労働裁判(和解が成立済み)の中で、法政大学自身により撤回されている。「第三者委員会」が認定した「A氏によるパワハラ」の事実を、裁判所が真実と認めなかったという。
原告代理人の倉持麟太郎弁護士は、「第三者委員会が結論ありきの機関になっている」と批判し、同様の問題が、法政大学だけでなく他の企業や学校法人においても発生している実態を訴えた。
年間70億円規模の「施設部」の「改革」を理事長から命じられたが…
事件の発端は、2020年6月にさかのぼる。A氏は当時の田中優子理事長(法政大学総長、在任2014年4月~2021年3月)から、全常務理事の面前で施設部への異動を命じられた。その際に与えられたのは、長年にわたって法令違反や不作為が放置されてきた施設部の「業務改善・改革」という特命だった。
施設部が扱う年間支出規模は、施設関係・設備関係を合わせて平均70億円程度。経理部から異動したA氏は、次々と発覚する問題への対処にあたることとなった。
A氏(4月20日 東京都千代田区/弁護士JPニュース編集部)
A氏:「問題は、探して見つけたわけではなく、日常業務にあたる中でいろいろ出てきました。
その都度、調査して担当理事に状況を報告、相談し、対応策を検討し、常務理事会・理事会に資料を上程して審議を依頼していました」
発覚した問題は、大きく3つに整理される。いずれも大学のコンプライアンスや財務の健全性、さらには学生の学費の使途にも関わる重大なものだった。
第一の問題は、大学の100%子会社であるX社に対し、同社が建設業法の許可を取得していないにもかかわらず、小規模修繕工事の特命発注が長年にわたり継続的に行われていたことである。
小規模修繕工事の予算額は2017年度2.24億円、2018年度1.53億円、2019年度3億円、2020年度1.98億円にのぼっていた。
A氏は、大学の顧問弁護士に相談し、「法令遵守上、スキームを改める必要がある」との回答を得て、役員会に報告し、スキーム変更の決裁を受けた。しかし、施設部内とX社から激しい抵抗を受けたという。
第二に、AV機器の取引において、特定業者が優遇されていたこと。
教室・ホール・会議室に設置するAV機器の新規導入・取替更新において、X社が特定の業者を選び、発注するという構造が固定化されていた。
予算額は、たとえば、市ヶ谷キャンパス55年館・58年館の建替え工事に伴うAV設備工事だけで5.44億円にのぼる。
A氏:「これらの原資は学生や生徒の学費です。長年にわたってこのようなことが繰り返され、学費の値上げにも影響していたのではないかと考えられます」
第三に、施設・設備の除却処理が不適切で、財務諸表が実態と乖離していたこと。
施設・設備の取り替え・更新において、長年にわたり除却処理が適切に行われてこなかった。既存設備の登録資産が見当たらない場合、あるいは取得価額が不明な場合について、除却処理が行われないまま放置されていたケースが多数存在した。
その結果、正しい資産計上ができておらず、財務諸表は実態と乖離した状態に陥っていた。
学校法人には、正確な財務諸表の作成と所轄庁への届出が義務付けられており、これは経常費補助金の算定基礎にも関わる。
A氏はこれらの問題について、文部科学省・警視庁・金融庁・東京都に対し、証拠を示して公益通報(第2号通報)を行っており、一部については捜査・調査が開始されているという。
第三者委員会が「パワハラ」を認定も…裁判所は認めず
A氏は経理部・監査法人と相談を開始していたが、問題解決を見届ける前に、2021年12月1日、突然、当時の廣瀬克哉理事長(在任2021年4月~2025年3月)から直々に自宅待機を命じられ、関係者との一切の接触を禁じられたという。原告側は訴状の中で、法政大学側が、施設関連取引に係る法令違反・常務理事らの背任行為等を隠蔽するために、A氏に対する「パワハラ疑惑」を捏造したと主張している。
すなわち、当初のハラスメント申立者は部下職員2名であったが、この申立が「全くの事実無根」であることが明らかになると、調査対象者が別の課長に「すり替え」られたという。
そして最終的に、外部の特定の法律事務所に属する弁護士3名で構成された「調査委員会」が、A氏によるパワハラを「認定」する調査報告書を作成。これを根拠として、2022年10月12日、懲戒処分が下された。
A氏は自身に対する懲戒処分の無効を主張し、2023年1月6日に労働審判を申し立て、同年4月10日には東京地方裁判所に訴訟を提起した。
訴訟の過程で、裁判所はパワハラの存在を認めなかった。A氏によれば、訴訟を通じて裁判官の交代が3回あったが、その都度、パワハラの存在を裏付ける証拠がないとの心証が示されたという。
大学側から、第三者委員会がパワハラを認定した「証拠」として示されたのは、大量のメールの中から抽出された1通のメールのみだった。A氏は会見でこう明かした。
A氏:「そのメールは(パワハラ行為の対象とされた)本人に向けたものですらありませんでした。
裁判官からは、『業務指導の一環レベルのことでしょう、本人に向けていないのでこんなものは証拠にならない』と言われました」
倉持弁護士は「調査委員会の事実認定が、裁判所により覆されたということ」と補足した。
結局、2024年12月24日の第15回期日において和解が成立し、その内容として、被告(法政大学)が懲戒処分を撤回する条項が含まれた。原告側は「勝訴的和解」と位置づけている。
778名への開示による「虚偽情報拡散」のリスク
なお、本件名誉毀損訴訟の直接の請求原因は、懲戒処分そのものではなく、その後の大学側による「情報拡散」にある。A氏に対する懲戒処分通知後、法政大学では「部課長会」「服務規律研修」等の会議・研修が行われた。その中で、A氏のパワハラが真実であるかのように扱われ、職場環境の改善を求める内容が話された。
訴状によれば、計5回にわたる会議・研修は、訴状学内の全専任職員を対象として実施され、延べ778名が出席した。中にはオンライン形式で行われたものもあることから、情報が「出席者の範囲を超えて拡散される危険性が高度に認められる状況」だったという。
A氏:「虚偽の調査報告書による懲戒処分は、長きにわたって法政大学が行ってきた違法行為を隠蔽する意図があって行われたことだと考えています。
本訴訟において、著しく毀損された社会的信用と名誉を回復したいと考えています」
「第三者委員会」が名ばかりの「御用機関」に?
本件における重要な問題点の一つが、A氏の「パワハラ」を認定した「第三者委員会」の位置づけだ。調査委員会を構成した法律事務所は、A氏によれば2008年以来、長きにわたって法政大学との取引関係にある。倉持弁護士は、会見でこの点について強く批判した。また同時に、本件が提起する問題は、法政大学に限られたものではないことを強調した。
倉持弁護士:「弁護士によって構成された御用調査委員会が、大学が発する結論を追認するために調査報告書を作成しています。
法政大学に限らず、組織に対して不都合な職員や教員が現れれば、調査委員会が立ち上がり、大学に都合のよい結論を調査報告書として作成し、大学が処分をする。
私は『第三者委員会ビジネス』と呼んでいますが、こういうスキームが大学内にでき上がっていると考えています。
第三者委員会が言っていることを、さらに公正な第三者が評価するような仕組みがなければなりません。
私が携わった別の事件では、第三者委員会の結論が裁判所で全部ひっくり返されました。
第三者委員会の真の第三者性をもう一度再定義しないと、弁護士による第三者委員会というものが社会から信頼を失ってしまいます」
原告側は、調査の過程についても問題があったと指摘している。
訴状によれば、当初は「専任職員管理職に関する調査委員会」として設立された組織が、後に「専任職員管理職によるハラスメント行為の疑いに関する調査委員会」に改称された。しかし、いずれの委員会も設立の学内規程上の根拠を欠いていた。
A氏が調査委員会のヒアリングにおいて「ハラスメント防止・対策規程」等の学内規程の遵守を指摘したところ、委員の弁護士から「規程は理事会が決めたものだから、理事会が規程を守らなくても問題ない」との発言があったとしている。
「スケープゴートとして切り捨てられた」
訴状には以下の記載がある。「原告としては、39年間、文字通り身を粉にして被告法政大学のために献身的に業務遂行を行ってきた。何よりそれが自身も出身であった大学の社会的な価値を高め、より良い教育研究機関としてその存在意義を発揮できるよう裏方として支えるという職業的矜持と大学への愛着から行ってきた」
「その大学に、ここまで簡単に裏切られ、必要とされないばかりかありもしない汚名を着せられ、ひいてはスケープゴートとして切り捨てられた」
A氏は、懲戒処分の撤回を得たのち、2024年12月31日をもって法政大学を退職している。退職までの約39年間を法政大学に捧げた職員が、訴訟という形で大学と対峙することになった経緯は重い。
企業や学校その他の組織で不正・不祥事が起きたとき、外部の弁護士等からなる「第三者委員会」が設置されることが半ば慣例化している。
法政大学側の実質的な答弁は次回・第2回口頭弁論期日(6月16日)以降となる見通しである。
弁護士JPニュース編集部が法政大学広報課に問い合わせたところ、「係争中の案件であるため、大学としてのコメントは差し控えさせていただきます」との回答を得た。

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