「家は3回建てないと成功しない」と言われますが、マイホームは多くの人にとって人生最大の買い物。そう何度も建てられるものではありません。

家づくりを一度で成功させるには事前知識が必要です。住宅系YouTuber・まかろにお氏の著書『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、本稿では「土地探し」におけるポイントを見ていきましょう。

「高低差のある土地」ってアリ?

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<POINT>

高低差のある土地は、価格が安い傾向がありますが、造成工事などの諸費用を考えると、総額では結構かかります。

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高低差のある土地は、周囲よりも比較的高い位置にあることで、眺望や採光に優れているというメリットがあります。平坦な土地に比べて、坪単価が安く設定されていることが多く、価格的なメリットも大きいようにも思えます。

しかし実は、総額でみると、そのメリットはほとんどないかもしれません。

住宅は基本的に高低差のない平地に建設するので、高低差がある土地に家を建てる場合は、一度平地にならしてから住宅を建設します。

そのため、土地の状況に応じて、埋め立て、切土、盛土といった地盤改良を施し、土地の高低差を埋める、もしくは傾斜をなだらかにする造成工事を行う必要があります。

また、高低差が大きい土地だと、道路側や隣地側に土砂が崩れ出る可能性があるため、土留め工事や擁壁工事と呼ばれる、崖や盛り土が崩れないようにコンクリートで補強する工事も必要です。

これらの工事は、土地の規模や高低差にもよりますが、数百万円単位で費用がかかる場合がほとんどです。特に1.5m以上の高低差のある土地の購入を検討される際は、多額の費用がかかる可能性を覚悟しておくべきでしょう。

ほかにも、高さ2mを超える崖が近接する場合は、条例により、住宅を建築するには崖から崖の高さの2倍以上の距離をとる必要があったり、平地と比べて売れにくかったりと、高低差のある土地にはデメリットも少なくないので、購入を検討する場合は、細心の注意が必要です。

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高低差のある土地の購入を検討する場合は、総額の資金計画や近隣住宅の状況などは最低限確認して、その土地を購入するかどうかを判断しましょう。
「安いから」というだけの浅はかな考えで手を出すと、とても危険です。

既存擁壁の安全性に問題はないか

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<POINT>

既存擁壁を含む土地の購入を検討する場合は、その擁壁が「不適格擁壁」でないか、事前に確認しておきましょう。

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希望しているエリアの都合上、どうしても高低差のある土地を購入しなければならない場合もあるかと思います。高低差のある土地には擁壁(ようへき)が近くにある可能性が高いわけですが、古い既存擁壁には「不適格擁壁」というものが存在するので、注意が必要です。

不適格擁壁とは、建築基準法の施行前に建築され、何らかの事情で確認申請が出されていないものや、検査済証などの証明する書類がないものです。つまり、現在の建築基準法に適合していない擁壁のことをいいます(図表2、3)。

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もし、自分が購入しようとした物件にこの不適格擁壁が含まれていた場合、擁壁工事の費用まで負担しなければならなくなってしまうかもしれません。擁壁の建て替え工事は、数百万円~1千万円以上の多額の費用がかかる場合が多いです。そのため、擁壁のある土地を購入する場合は、擁壁の適合・不適合を事前に確認しておくこと、隣家との境界を確認しておくこと、この2点は必ず確認してください。

擁壁の適合・不適合については、検査済証が交付されているかどうかを調べると良いです。大抵の場合は不動産業者に聞けば大丈夫ですが、口頭で「大丈夫」と言っているだけでは安心せずに、きちんと書類を出してもらうよう交渉したり、役所で調べてもらったりしてください。

境界についても、不動産業者立ち会いのもと、図面や測量図を持って必ず現地へ行き、境界杭を確認しましょう。

トラブルの未然防止につながります。

もし、擁壁のある土地に家を建てるのなら、できる限り建築士に土地を見てもらい、設計・監理してもらいましょう。また、擁壁があり、かつトラブルになる可能性が高い土地の場合、そもそも工事を請け負わないというハウスメーカーもあります。それだけ擁壁のある土地での建築は難易度が高く、複雑であるということは覚えておくとよいと思います。

まかろにお

住宅系YouTuber

大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。商品企画・住宅営業を経験し、営業で全国トップの成績を獲得。

その後、大手金融機関の不動産融資担当などを経て、独立。「人から始める家づくりの重要性を世に広める」をモットーに、ハウスメーカーの解説や、家づくり全般に関する攻略法について情報を発信している。注文住宅を建てる人が自ら営業担当を選べるマッチングサイト「MEGULIE(メグリエ)」を運営。