不動産投資を始める際に、重要なことの一つとして災害リスクが挙げられる。あらかじめ災害の少ないエリアを知ることにより、所有物件が災害によって倒壊や損壊し賃料が得られなくなったり突発的な修繕費が発生したりするなどのリスクを避けることができる。
本コラムでは、日本でよく起こる3つの災害別(台風、地震、ゲリラ豪雨)のランキングおよび、これらを総合したランキングを紹介していく。
■国内で多い災害の種類は?日本で災害が起こりやすい理由は?
日本は、災害が発生しやすい位置や地形、気象条件にある。そのため、不動産投資で物件を購入する際には災害が起こりにくい立地の物件を選んだり、災害リスクを事前に理解し対策を万全にしたりすることが重要だ。国内で起きやすい災害には、以下のようなものがある。
- 台風
- 豪雨
- 豪雪
- 洪水
- 土砂災害
- 地震
- 津波
- 噴火 など
例えば台風が頻繁に発生する理由は、熱帯域から台風が北上する経路上に国土が位置していることが考えられる。また春から夏にかけては、梅雨前線が停滞しやすく大量の雨が降りやすい傾向にある。
そして日本がたびたび大地震に見舞われる理由は、国土が海洋プレートと大陸プレートの境界に位置しており、プレートの沈み込みの影響を受けている。
参考:内閣府「内閣府 防災情報のページ」※この先は外部サイトへ遷移します。より
■災害が少ない県ランキングをテーマ別(総合、台風、地震、豪雨)に紹介
日本でよく起こる3つの災害別(台風、地震、ゲリラ豪雨)にもとづいたランキングと、これらを総合したランキングを見ていこう。
●災害が少ない県の総合ランキング トップ5
このランキングは、後述する地震・台風・ゲリラ豪雨、それぞれのランキングをもとに当編集部が独自に作成した災害が少ない県の総合ランキングだ。トップ5は、以下の通りである。
順位都道府県台風の年平均接近数地震の計測回数ゲリラ雷雨の過去5年平均回数1位佐賀県3.50(九州北部地方)53902位鳥取県2.92(中国地方)96003位滋賀県3.19(近畿地方)117304位奈良県3.19(近畿地方)118405位香川県3.31(四国地方)18340出典:気象庁「台風の接近数(1951~2023年)」、「令和5年(2023 年)の都道府県別の震度観測回数表」ウェザーニューズ社「2023年の都道府県別ゲリラ雷雨発生回数」※この先は外部サイトに遷移します。
<1位>佐賀県
台風の接近数が多い九州地方にある一方で、地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで1位、震度3以上観測回数は0回(2023年)だ。また、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数が少ない県のランキングで4位となっている。
<2位>鳥取県
地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで2位となっている。また、過去5年ゲリラ雷雨発生が少ないランキングで6位だ。また、中国地方は台風の接近回数も年平均で少ない4番目に少ない。
<3位>滋賀県
まず地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで4位、震度3以上は1回と少ない。そして、2023年のゲリラ豪雨発生回数が少ないランキングで7位となっている。しかし、台風の接近数がやや多い近畿地方に位置している。
<4位>奈良県
台風の接近数がやや多い近畿地方に位置しているが、地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで4位、震度3以上は0回と少ない。また、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数も少ない(過去5年間の発生数は840回)。
<5位>香川県
台風の接近数が比較的多い四国に位置している。しかし過去5年間ゲリラ雷雨の平均回数が少ないランキングでも1位となっている。
●台風の接近数が少ない地方ランキング
台風に関する災害データは複数の種類がある。ここでは「台風の接近数」を用いて災害の少ない地方をランキングで紹介する。
台風の接近数とは、台風の中心がその地方内にある気象官署などの300キロメートル内に入った回数を表す。台風の接近数が多かったということは、災害の脅威にさらされた数が多かったということである。ただし台風が接近しても、必ずしもその地方に上陸しているわけではない。
【台風の接近数が少ない地方ランキング】
順位地方台風の接近数(年平均)台風の接近数(1951~2023年)の総計1位北海道1.631172位北陸2.561843位東北2.581864位中国(山口県除く)2.932115位関東および甲信3.182296位近畿3.192307位四国3.312388位東海3.322399位九州北部
(山口県含む)3.5025210位九州南部3.7627111位沖縄7.39532出典:気象庁「台風の接近数(1951~2023年)」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUで作成
●地震の計測回数が少ない県ランキング トップ10
次に地震に関する災害データを確認してみよう。ここでは、気象庁が発表するデータをもとにした以下の2つのランキングを示したい。
- A:地震の計測回数(震度1~7)
- B:地震の計測回数(震度3以上)
Aのデータでは、小さな震度を含む地震の頻度を確認するための参考になる。また、Bのデータでは、一定以上の揺れを伴う地震の頻度を確認するための参考になる。なお、震度による揺れの影響は以下の通りだ。
【地震の計測回数(震度1~7)が少ない県ランキング トップ10】
順位都道府県回数1位佐賀県52位鳥取県93位福岡県104位滋賀県・奈良県116位富山県・京都府158位三重県・山口県1610位大阪府17出典:気象庁「令和5年(2023 年)の都道府県別の震度観測回数表」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成【地震の計測回数(震度3以上)が少ない県】
都道府県回数佐賀県・鳥取県・奈良県・京都府・三重県・香川県・長崎県・岡山県・愛知県0福岡県・滋賀県・山口県・大阪府・島根県・兵庫県・広島県・徳島県・山梨県・和歌山県1大分県・秋田県2富山県・福井県・愛媛県・高知県・静岡県・長野県・群馬県3出典:気象庁「令和5年(2023 年)の都道府県別の震度観測回数表」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成●ゲリラ豪雨が少ない県ランキング トップ10
近年、ゲリラ豪雨が甚大な被害をもたらすケースが相次いでいる。そのためゲリラ豪雨の頻度も不動産投資の立地選びで意識すべきだろう。
ゲリラ豪雨とは、局地的に短時間で激しく降る雨のことだ。ゲリラ豪雨によって物件が以下の被害を受ける可能性がある。
- 近隣の河川の氾濫による浸水被害
- 停電や浸水によるエレベーター停止
- 下水道から水があふれる内水被害
- 竜巻や強風による物件の破損、入居者の怪我 など
これらのゲリラ豪雨(雷雨)が少ない県ランキング トップ10は、以下の通りだ。
【過去5年ゲリラ雷雨の平均発生回数が少ない県ランキング トップ10】
順位都道府県平均発生回数1位香川県3402位大阪府370 神奈川県3704位佐賀県3905位埼玉県5506位鳥取県6007位徳島県6108位山梨県6209位福井県68010位青森県700出典:ウェザーニューズ社「2023年の都道府県別ゲリラ雷雨発生回数」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUで作成【2023年ゲリラ雷雨の発生回数が少ない県ランキング トップ10】
順位都道府県発生回数1位大阪府4882位香川県5113位神奈川県5284位埼玉県7545位山梨県8526位佐賀県8687位滋賀県9178位石川県9519位徳島県95210位富山県1,020出典:ウェザーニューズ社「2023年の都道府県別ゲリラ雷雨発生回数」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUで作成2023年のゲリラ豪雨発生回数を見ると、過去5年の平均発生回数を上回っている県がほとんどだ。全国的にゲリラ豪雨の発生が増えている傾向にあるといえるだろう。
■災害が少ない県の他都道府県からの転入者数
不動産投資を成功に導くためには、災害が少ない県を知ることが有用だ。しかし災害が少なくても賃貸需要が低い県だと安定経営は望めない。そのため総合ランキングで挙げた5県について「他の都道府県からの転入者数」を確認してみる。転入者数を踏まえることで不動産投資に適しているか判断する材料となる。
【災害が少ない県トップ5の他都道府県からの転入者数】
順位都道府県他都道府県からの転入者数転入超過数1位佐賀県1万6,261人-1,176人2位鳥取県8,482人-1,756人3位滋賀県3万684人12人4位奈良県2万4,515人-1,319人5位香川県1万6,283人-2,784人出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2023年結果」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUで作成上記の結果にもとづくと「災害が少ない県総合ランキング トップ5」のなかで最も転入者が多いのは、滋賀県だ。次いで奈良県となる。
転入者が多くても、同じだけ転出者がいれば賃貸需要が高いとは言えない。そこで転入超過数を見てみると、プラスは滋賀県のみであった。滋賀県は、災害が少なく転入者数も多いため賃貸需要が見込める可能性がある。
・災害が少ない県トップ5以外の転入超過エリア
総合ランキングでトップ5には入っていないが、転入超過であり賃貸需要が見込める県について確認してみる。
大阪府
他都道府県からの転入者数は17万7,874人、転入超過数は1万792人である。地震やゲリラ豪雨が少なく、賃貸需要は見込めるだろう。神奈川県
他都道府県からの転入者数は23万6,543人、転入超過数は2万8,606人で大阪府より多い。地震については少ないとはいえないが、ゲリラ豪雨は比較的少ない。横浜市、川崎市、相模原市(3市とも転入超過)は政令指定都市であり、賃貸需要も見込めるエリアといえるだろう。
■物件選びでは「災害が少ないこと」以外にもさまざまなチェックポイントがある
所有している物件が災害によって倒壊や損壊した場合、不動産投資が継続できなくなり収入が得られなくなることもある。しかし本コラムで紹介した災害が少ない県ランキングを参考にすれば、このリスクを軽減できるだろう。
ただし「災害が少ない県」が必ずしも不動産投資に適しているとは限らないため注意したい。物件選びでは、賃貸需要や将来の人口動向、競合状況などさまざまな視点を考慮する必要がある。購入物件のチェックは、複数の視点から行うことが重要だ。
不動産投資の物件探しについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事を確認してみよう。
【関連記事】不動産投資の物件の探し方とは? 4つの方法のメリット・デメリット
■災害が少ない県に関連するよくあるQ&A
Q.自然災害が一番少ない県はどこか?
編集部が独自に台風、地震、ゲリラ豪雨などの総合で考えた結果、自然災害が一番少ない県は佐賀県となった。台風については接近数が比較的多い九州北部エリアに位置するものの、地震の計測回数(震度1~7)が少ない県ランキングで1位となっており、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数が少ないランキングで4位だ。
Q.日本で1番安全な県はどこか?
人口と刑法犯の認知件数から算出する「犯罪発生率」を見てみると、最も低いのは秋田県となった。
Q.災害の少ない県のランキングは?
日本でよく起こる3つの災害(台風、地震、ゲリラ豪雨)のデータをもとに編集部が独自に調査した結果、災害が少ない県の総合ランキング トップ5は以下の通りだ。
1位:佐賀県
2位:鳥取県
3位:滋賀県
4位:奈良県
5位:香川県
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