不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説

不動産の購入は高額のためローンを利用する人が多いですが、不動産投資ローンと住宅ローンの両方を利用することはできるのでしょうか。

これらのローンは両立できますが、両者の違いや利用条件を理解しておくことが重要です。

どちらのローンもそれぞれの目的に合わせた審査や金利が設定されており、借入時には慎重に計画を立てる必要があります。

本コラムでは、不動産投資ローンと住宅ローンのどちらから先に利用するべきか、また、住宅ローンを利用して不動産投資を行う不正利用のリスクについても詳しく説明します。

■不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?

結論から言うと、不動産投資ローンと住宅ローンどちらを先に利用するべきかについて、正解はありません。

「まず不動産投資ローンを利用し、その後に住宅ローンを組んでマイホームを購入するのがおすすめ」といった情報もありますが、実際には、一人ひとりの状況によって最適な順番は異なります。現在の年齢や家族構成、家計の貯蓄状況、今後のライフプランなどを踏まえて、どちらから先に購入するべきかの優先順位を判断する必要があります。そのため、一概にどちらが先のほうがいいと断言することはできません。

また、自分がどれくらいの借入ができるかの目安や、借入後の毎月返済金額がいくらくらいになるか、投資用物件の購入と自宅の購入でそれぞれ初期費用がどのくらい必要になるのかなどの事前確認も行った上で、優先順位を決めて計画性を持って進めるということも重要です。

■不動産投資ローンと住宅ローンの両立は可能

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(画像:PIXTA)

不動産投資ローンと住宅ローンを両立することは可能です。しかし、金融機関は融資判断をする際に申込者の借入状況を確認します。そのため、互いのローンが審査に影響を及ぼします。

両方のローンを利用することを視野に入れたうえで、一つずつ不動産購入を進めていくには、安定した収入源や返済計画をしっかりと示すことや計画性を持って進めていくことが重要です。

■不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説

(画像:PIXTA)

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらも住宅関連の資金調達手段として利用されますが、それぞれの目的や融資条件には大きな違いがあります。

不動産投資ローン住宅ローン借入の目的投資用物件の購入自宅の購入や建築、改修借入可能金額大きい(年収の7~10倍程度)小さい(年収の5~7倍程度)返済原資家賃収入(+給与など別の収入)給与など自身の収入融資の金利高い(1.5~4.5%程度)低い(0.5~2.0%程度)返済年数最長35年で物件の耐用年数や個人属性に応じて決まる最長35年が一般的だが、50年などの超長期も出てきている。融資審査や制限個人属性と物件の収益性、担保評価が重視される個人属性や物件の担保評価、家計収支が重視される。法人名義で契約できない

●借入の目的

不動産投資ローンはアパートやマンションなど賃貸用物件による賃貸収入や、将来の物件売却による売却益を得るための投資用物件の購入を目的としています。一方、住宅ローンは本人または親族が居住するための不動産購入、建築、または改修を目的としたローンです。目的が異なるため、それぞれのローンの利用目的に応じた審査基準が設けられています。

●借入可能金額

不動産投資ローンの借入可能金額は、借入者の年収の7~10倍程度が一般的とされており、かなり大きな金額を借りることが可能です。これに対して、住宅ローンでは年収の5~7倍程度が一般的な借入範囲となり、不動産投資ローンよりも借入金額は少額になることが多いです。

●返済原資

不動産投資ローンの返済原資は主に物件から得られる家賃収入です。この収入によって、投資家は物件の所有を維持しながらローン返済を行います。家賃収入のみで月々の返済ができない場合は、給与収入など他の収入源を利用して返済します。一方、住宅ローンの返済原資は、自身の毎月の給与収入が基になるため、安定した個人の収入が求められます。

●融資の金利

不動産投資ローンの金利は年利1.5%~4.5%程度で、住宅ローンに比べると高めに設定されています。

この金利の差は、融資目的の違いにあります。不動産投資ローンは事業性を伴う資金使途に対するローンになり、さまざまな投資用物件のリスクを考慮して高い金利設定となっています。一方、住宅ローンは、安定した住宅市場と個人の信用を背景にしたローンであるため、一般的に年利0.5%~2.0%程度と不動産投資ローンよりも低金利となっています。

●返済年数

不動産投資ローンの返済年数は一般的には最長35年で、物件自体の法定耐用年数や借り手の個人属性(年齢や信用状況など)によって金融機関が判断します。一方、住宅ローンも「フラット35」など、一般的には最長35年であるものの、近年の不動産価格の上昇や企業の定年延長などを背景に最長50年とするローンも出てきています。

●融資審査や制限

不動産投資ローンの審査では個人属性に加え、投資用物件の収益性や物件の担保評価が重視されます。

一方、住宅ローンは個人属性や物件の担保評価に加え、家計の収支状況も重要な要素となります。また、住宅ローンでは法人名義での契約は認められていませんが、不動産投資ローンでは法人名義での契約が可能な場合もあります。

不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

【関連記事】不動産投資ローンと住宅ローンの違い7選!

■住宅ローンで不動産投資は絶対にやめよう

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説

(画像:PIXTA)

住宅ローンは低金利で借りることができたり、税制上の優遇があったりするため、住宅ローンを利用して不動産投資を行おうとする人もいますが、絶対に避けるべきです。

住宅ローンは前述した通り、居住用の物件を購入するために利用するものであり、不動産投資目的での利用は違法かつ契約違反にあたります。もし金融機関が不正利用を知った場合、一括全額返済の請求を受ける可能性があるため、必ず目的に沿ったローンを利用することが重要です。

住宅ローンで不動産投資をすることについては以下のコラムで詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

【関連記事】住宅ローンを利用して不動産投資をするのはNG!罰則やバレる理由を解説

■住宅ローンの不正利用で課せられる罰則

住宅ローンを不正に利用すると、重大な法的罰則が課せられることがあります。最も一般的な罰則の一つは、一括全額返済の請求です。金融機関は不正利用が発覚した場合、残りのローン金額を一度に返済するよう求めることがあります。借り手は急な全額返済を迫られ、返済ができない場合には深刻な財務問題に直面することになります。

また、一括全額返済の請求があると個人信用情報に異動情報が登録されます。金融機関に対する信頼を失うことになり、ローン契約などの金融取引に大きな影響を与え、新たな金融取引をすることが難しくなります。自宅を手放さざるを得なくなる可能性もあるほか、家庭生活にも重大な影響を及ぼします。

このような事態を避けるためにも、住宅ローンはその本来の目的に沿った正当な利用が求められます。

■不動産投資で住宅ローンが利用できる例外的なケース

不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらから先に利用するべき?それぞれの違いや利用する際の注意点を解説

(画像:PIXTA)

住宅ローンは原則として自分や家族が住むための住宅を購入する目的で利用されます。しかし、一部のケースでは例外的に住宅ローンを活用して不動産投資を行うことが認められる場合があります。

●賃貸併用住宅を取得する場合

賃貸併用住宅を取得する場合は、例外的に住宅ローンを利用できることがあります。

具体的には、自宅として使用する部分が物件全体の50%以上を占める場合、住宅ローンの適用が可能になることが一般的です。

ただし、賃貸部分について住宅ローンの適用範囲外となったり、ローンの条件が厳しくなったりするケースもあります。そのため、事前に金融機関へ相談することが重要です。

賃貸併用住宅について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

【関連記事】賃貸併用住宅のメリットとは?「やめとけ・危険」と言われる理由も解説

●転勤など居住目的の住宅に住めなくなった場合

住宅ローンの利用にあたっては購入した自宅に住み続けることが前提になりますが、転勤などのやむを得ない事情で住めなくなった場合、一時的に自宅を賃貸に出すことを金融機関が認めるケースもあります。

ただし、これは意図的ではない、やむを得ない事情によるものと判断される場合に限られます。また、一時的な賃貸ではなく継続的に賃貸経営を行う場合には、住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えが必要となることもあります。こうしたケースでは、金融機関に事前に相談し、適切な対応を取ることが求められます。

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