国際物流大手の日新は、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化する。ロシア・ウクライナ問題の長期化や米国の関税政策など世界的な先行き不透明感が強まる中、物流業界の競争激化や人材不足などに対応するには、短期的な業績にとらわれない中長期的な視点での経営や意思決定の迅速化が必要と判断した。

今後は米投資ファンドのベインキャピタルの支援を受けて、海外展開やM&Aによる規模の拡大、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応を加速する。

買付代金は最大1121億円。買付価格は1株につき8100円。TOB公表前営業日の終値5350円に51.4%のプレミアムを加えた。買付予定数は1385万913株。下限は所有割合60.35%にあたる889万6100株。買付期間は5月13日から7月8日までの41営業日。決済の開始日は7月15日。公開買付代理人は大和証券。

ENEOS系石油製品販売の日新商事は所有する6.04%をTOBに応募せず、TOB成立後に日新が実施する自己株式取得に応じて約59億円で売却する。TOBと合わせた買収総額は約1180億円。

日新はTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。

TOBが成立すれば、同社の東証プライム市場への上場は廃止となる。

日新は1938年に日新運輸として設立、1985年に現社名に変更。1950年に東証1部に上場(2022年4月に東証プライム市場に移行)。

編集部おすすめ