国内エレベーター・エスカレーター大手のフジテックは、スウェーデンの投資ファンドEQT AB(EQT、ストックホルム市)によるTOB(株式公開買い付け)を受け入れ、株式の非公開化を実現する。フジテックは創業家と同社株の約3割を保有する香港アクティビスト(物言う株主)ファンドのオアシス・マネジメントが対立している。

株式非公開化でオアシスの影響力排除を狙う。

一方、EQTは製造・保守を手がける工業分野を投資の重点領域と位置づけており、フジテックのブランド力と海外成長ポテンシャルに注目した。同社が2024年5月に策定した5カ年中期経営計画「Move On 5」を高く評価。EQTは、フジテックのグローバルネットワークやデジタル分野の専門性を活用し、同計画の実行スピードを高めるとともに、M&Aを含む成長を支援するとしている。

買付主体はEQT傘下で特別目的会社のBospolder 1(東京都港区)。買付価格は1株につき5700円。TOB公表前日の終値6205円に8.14%のディスカウントとした。

買付予定数は7154万7486株。下限は所有割合58.30%にあたる4552万881株。買付代金は4078億2067万円。買付の開始時期は2026年1月をめどにしているが、買付期間は未定。公開買付代理人はSMBC日興証券を予定している。

フジテックはTOBに賛同し、TOBに応募するかどうかは株主の判断に委ねることを決めた。TOB成立後、同社は東証プライム市場への上場が廃止となる。

フジテックは1948年に富士輸送機工業として創業。1970年に東証2部に上場し、1974年に東証1部(現・東証プライム市場)に昇格、同年に現在の社名に変更した。

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