
MCPパートナーズ(東京都千代田区)の完全子会社MCPファミリア(東京都千代田区)が、2022年11月に中小企業の事業承継問題の解決に特化したプライベートエクイティファンド、MCP Familiar 投資事業有限責任組合を設立しました。MCPファミリアの1号ファンドで、60億円規模の運用を予定しています。
このファンドには、中小企業基盤整備機構(東京都港区)が25億円の出資を決めています。
非上場化支援からカーブアウト、メザニンファイナンス、中小企業の事業承継支援まで、幅広く活躍するMCPパートナーズとはどのような会社なのでしょうか。この記事では以下の情報が得られます。
・MCPパートナーズの概要
・MCPキャピタルの主な出資先
2021年にみずほフィナンシャルグループの連結対象から外れる
MCPパートナーズは、3つの会社を率いています。バイアウトファンドのMCPキャピタル(東京都千代田区)、メザニンファンドのMCPメザニン(東京都千代田区)、そして中小企業の事業承継問題の解決に特化したMCPファミリアです。
MCPパートナーズは、かつてみずほフィナンシャルグループ<8411>の傘下にありました。
みずほ銀行(東京都千代田区)が50%、みずほキャピタル(東京都千代田区)が50%出資していましたが、2021年2月に資本構成を変更。損害保険ジャパン<8755>やきらぼし銀行(東京都港区)の出資を受け入れ、みずほ銀行の出資比率は14.9%まで下がりました。
資本構成の変更と同じタイミングで、みずほキャピタルパートナーズからMCPパートナーズに商号変更しています。


社名を変更する前のみずほキャピタルパートナーズの前身となる会社が、富士キャピタルマネジメント。富士銀行系の投資ファンドでした。富士銀行がみずほフィナンシャルグループに統合され、みずほキャピタルパートナーズとなりました。
代表取締役社長は平松寿和氏。
みずほ証券の常務執行役員を経て2021年にMCPパートナーズの代表に就任しました。
MCPパートナーズの子会社MCPキャピタルは、事業承継やカーブアウト、事業再生など豊富な実績を持っています。
2022年12月IBM製品の卸売を行うイグアス(神奈川県川崎市)を、同社の経営陣が出資するIGホールディングス(東京都千代田区)に売却。2021年12月には経営支援していた包装事業を行うのむら<7131>が上場しました。
■MCPパートナーズの業績

■MCPキャピタルの主な出資先
会社名 事業内容 投資時期 投資タイプ ステータス 小寺電子製作所 ワイヤーハーネス加⼯機の製造 2022年 事業承継 運用中 互応化学工業 特種化学工業製品の製造 2022年 非上場化 運用中 ジャパンホームシールド 地盤調査 2021年 子会社の独立 運用中 コミネ バイク用品企画販売 2021年 セカンドバイアウト 運用中 高崎事務器 仮設ユニットハウスレンタル 2020年 事業継承 運用中 日精ホールディングス 産業用機械等製造卸売 2019年 資本再構築 運用中 ニュー・クイック 食肉小売 2018年 事業継承 運用中 神田電子工業 電子部品卸売 2017年 事業承継 EXIT イグアス IT製品卸売レンタル 2017年 子会社の独立 EXIT TDM 送配電金具販売 2014年 子会社の独立 EXIT のむら産業 米袋包装機械製造 2013年 事業承継 EXIT アイム(旧イマージュホールディングス) 通信販売 2011年 非上場化 EXIT メディカルトリビューン 医学・医療分野出版 2010年 子会社独立 EXIT ライツ・アドバンスト・テクノロジー 液晶部品製造 2010年 民事再生企業のスポンサー EXIT ウェーブロックホールディングス 繊維・樹脂製品製造 2009年 非上場化 EXIT 日本ビューホテル ホテル運営 2007年 資本再構築 EXIT IDEX Health & Science(旧イーアールシー) 理化学機器製造 2005年 事業承継 EXIT 東急エアカーゴ 航空貨物輸送 2004年 子会社独立 EXIT ファルテック(旧橋本フォーミング工業) 自動車外装部品製造 2003年 子会社独立 EXIT アドバンストマテリアルジャパン レアメタル商社 2004年 子会社独立 EXIT JCU(旧荏原ユージライト) 電子関連薬品製造 2003年 子会社独立 EXIT バンテック 物流 2003年 子会社独立 EXIT 上岡化学工業 化学品製造 2002年 資本再構築 EXIT ベンカン(旧ベネックス) 配管用継手製造 2001年 破産法申請会社のGood事業スピンオフ EXIT アルティア(旧日産アルティア) 自動車部品製造 2001年 子会社独立 EXIT アルコニックス(旧日商岩井アルコニックス) 非鉄金属商社 2001年 事業部門独立 EXIT プラウドフットジャパン 経営コンサルティング 2000年 子会社の独立 EXIT 先端生命科学研究所 診断薬研究・開発 2000年 事業部門独立 EXIT 日本高純度化学 貴金属めっき溶液製造 2000年 事業継承 EXIT※公式ホームページより
バイアウトファンドとメザニンファンドを運用
MCPパートナーズが率いる中でも異彩を放っているのが、MCPメザニン。2005年に1号ファンドを立ち上げ、累計投資件数は54、投資総額は1,000億円を超える国内有数のメザニンファンドです。
メザニンは金融機関のシニアローンと、株式のエクイティの中間に位置する金融手法。劣後ローン、劣後債、優先株、種類株などがあり、シニアローンよりも返済順位が低くリスクが高い一方、高配当・高金利に設定できるメリットがあります。
システム開発のAbalance<3856>は、子会社で太陽光発電所の設計を行うバローズ(大阪府吹田市)の第三者割当増資を2022年6月に決定しました。
A種優先株は普通株の株主に先立ち、優先的に配当を受け取る権利があります。ただし、A種優先株には議決権がなく、基本的には譲渡ができません。償還期限は2028年12月31日に設定されています。
MCPメザニンは、2021年9月にバローズに関する提案を開始。Abalanceは、MCPメザニンが太陽光発電事業に関する深い知見を持ち、経営戦略や事業施策についての理解が高いことから、A種優先株の割り当てを決めたといいます。
バイアウトファンドは企業価値を上げることを第一に考え、投資先を決めます。しかし、メザニンファンドはビジネスモデルが持続可能なものであり、設備投資などの成長資金を必要としている企業が投資対象。太陽光発電のように、発電所を建設した後の収支計算がしやすいビジネスモデルは得意分野といえるでしょう。
MCPメザニン5投資事業有限責任組合は2022年3月に組成され、5月に初回投資家の募集を完了しています。
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