大人向け「ガンダム」「トミカ」が好調 玩具大手「バンダイナムコ」「タカラトミー」の先行きは

玩具やゲームの大手バンダイナムコホールディングス<7832>とタカラトミー<7867>が順調に業績を伸ばしている。バンダイナムコは4期連続の増収、タカラトミーは3期連続の増収増益を見込む。


バンダイナムコは仕掛品の評価損や在庫の処分損などを計上した2023年3月期に営業減益となったものの、コロナ禍前(2019年3月期は840億4500万円)を大きく上回る3期連続の1100億円越えの営業利益を予想。

タカラトミ-は営業利益がコロナ禍前(同144億700万円)には及ばないものの、その差は1ケタ台(9億700万円)にまで迫ってきた。両社の業績を支えているのは何なのか。直近の決算を見てみると。

「ガンダム」「ONE PIECE」が牽引

バンダイナムコの2023年3月期は、売上高が前年度比11.3%増の9900億8900万円、営業利益は同7.2%減の1164億7200万円だった。

デジタル事業では、家庭用ゲームの「ELDEN RING(エルデンリング)」などの既存タイトルの販売が海外を中心に好調だったほか、新作タイトルの販売が安定的に推移し、売上高は2.0%の増収となった。ただ、競争が激化していることを踏まえてビジネスプランを見直し仕掛品の評価損約130億円を計上した結果、同部門の営業利益は29.1%の減少を余儀なくされた。

トイホビー事業では「ガンダムシリーズ」のプラモデルやキャラクターくじなど大人向けの商品が好調に推移したほか「ONE PIECE」のトレーディングカードゲームや「ガンダムシリーズ」のデジタルカードなども好調だったことから、19.8%の増収、13.8%の部門別営業増益となった。

IP(知的財産)プロデュース事業では「ガンダムシリーズ」や「ラブライブ!シリーズ」などに関わる配信、ライセンスビジネスなどが好調に推移し、2.2%の増収、20.5%の部門別営業増益。アミューズメント事業でも、国内アミューズメント施設の既存店売上高が14.9%増となったほか、新規の業務用ゲーム機の販売が好調に推移したことから、27.0%の増収、49.0%の部門別営業増益となった。

大人向け「ガンダム」「トミカ」が好調 玩具大手「バンダイナムコ」「タカラトミー」の先行きは
バンダイナムコホールディングスの業績推移
2024/3は予想

「トレカ」や「ガチャ」が伸長

一方、タカラトミーの2023年3月期は、売上高13.2%増の1872億9700万円、営業利益は6.3%増の131億1900万円となった。

定番商品である「トミカ」では子ども向けとともに、大人向けの「トミカプレミアム」シリーズなどの新商品展開を積極化したほか、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」では、関連商品を投入。

さらに子会社のタカラトミーアーツが手がけるアミューズメントマシン「ポケモンメザスタ」が好調だったほか、ガチャ事業では大人向け商品を拡充したことで売り上げが伸びた。

地域別では欧州で7.3%の減収となったほかは日本、米国、オセアニア、アジアの全地域で増収となった。

利益は欧米が赤字だったが、日本とアジアの伸びが大きく、増益を達成した。

大人向け「ガンダム」「トミカ」が好調 玩具大手「バンダイナムコ」「タカラトミー」の先行きは
タカラトミーの業績推移
2024/3は予想

大人需要を取れ込めるか

2024年3月期については、引き続きトレーディングカードやフィギュア、キャラクター商品などの人気が高いことから、両社ともに増収増益を予想。バンダイナムコは売上高1兆円(前年度比1.0%増)、営業利益1250億円(同7.3%増)を、タカラトミーは売上高1950億円(同4.1%増)、営業利益135億円(同2.9%増)を見込む。

また両社ともに大人向け商品が徐々に拡大しており、業績へのプラス効果も現れつつある。少子化によって玩具業界の先行きには不透明感が漂うが、大人需要の成長を考えると状況は必ずしも暗くはなさそうだ。

文:M&A Online

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