富裕層向け不動産事業の「ビーロット」企業投資・M&A領域を拡充

ビーロット<3452>は、企業投資・M&A領域の拡充に乗り出した。

社会課題の解決を目指す企業への投資を計画しており、新規分野を含むM&Aを積極化し、売り上げを拡大する。

この取り組みに今後3年間(2025年12月期~2027年12月期)で120億円を投じ、最終年の2027年12月期に、2024年12月期比35.9%増の79億円の経常利益を目指す。

専門性、ネットワーク、企画力に強み

ビーロットは中古不動産のリノベーション(大規模な改修工事)によって、資産価値や収益性を高めたうえで市場に供給しているほか、資産運用コンサルティングや相続対策、資産管理などの不動産経営にかかわるサービスをワンストップで提富裕層に提供している。

富裕層マーケットに特化した専門性をはじめ、企業や士業との広いネットワークや柔軟で創造的な企画力に強みを持つ。

総売上高の60%近くを占める不動産売買の「不動産投資開発事業」、同25%ほどを占める不動産管理の「不動産マネジメント事業」、同13%ほどの富裕層向けの資産運用コンサルティングや相続対策などからなる「不動産コンサルティング事業」を中心に事業を構成。

現在、M&Aや投資などを行う「企業投資・M&A領域」は同4%ほどに留まっており、これを強化し、将来は10%ほどにまで高め、第4の事業の柱に育てるのが狙いだ。

2025年はすでに2件のM&Aを実施

同社では2016年にライフステージのPMI(M&A後の統合作業)が順調に進んだ経験を活かし「M&A実績に自信をもち、新たな収益モデルを構築する」としており、ライフステージの人材を活かした新たなM&Aを推進する。

すでに、2025年1月に借地権付きの底地や老朽化した賃貸アパート・マンションなど収益性の低い物件の取り扱いに強みを持つ不動産売買、仲介などのクマシュー工務店(大阪市)を子会社化。

さらに同年4月には、ゴルフ場向けオンライン予約、集客システムなどの開発を行うジャパンゴルフオンライン(東京都中央区)を子会社化した。

近年、経営者の高齢化や後継者の不在が問題となっており、同社では独立系上場会社であることや「情報管理の徹底」「多数のクローズド相対取引」などの実績が評価され、M&Aの対象となる企業から同社が選ばれる可能性が高いと分析する。

富裕層向け不動産事業の「ビーロット」企業投資・M&A領域を拡充
ビーロットのM&A実績

富裕層マーケットは順調に拡大

不動産市場はインバウンド(訪日観光客)の増加や宿泊施設の稼働率の上昇に伴い不動産の資産価値が向上しているのに加え、日本国内の富裕層マーケットが順調に拡大しているほか、海外投資家からの不動産取得ニーズも旺盛な状況にある。

一方、富裕層サービスや不動産ビジネス領域は、ニーズの多様化と変化のスピードが速く、大手企業の参入も進んでおり、競争は激化している。

こうした状況の中、同社は「富裕層にあらゆる投資機会を提供する」を長期ビジョンに掲げて事業に取り組んでおり、2024年12月期の売上高は309億3300万円(前年度比31.6%増)、経常利益は58億1000万円(同17.5%増)と2ケタの増収増益を達成。

2025年12月期は経常利益62億5000万円と、前年度比7.6%の増加を見込む(売上高は非開示)。

文:M&A Online記者 松本亮一

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