カレーハウス「CoCo壱番屋」ジンギスカン、ラーメン、もつ鍋などの買収店舗で出店攻勢 3年で4倍近くに

カレーハウスCoCo壱番屋を展開する壱番屋<7630>が、傘下に収めた外食店の事業拡大に力を入れている。

2020年12月に買収したジンギスカン料理店「成吉思汗大黒屋」、2023年3月に買収したラーメン・つけ麺の「麺屋たけ井」、2023年12月に買収した、もつ鍋専門店「博多もつ鍋 前田屋」の3ブランドについて、2024 年2月末に16店舗だった店舗数を2027年2月末には44店舗多い60店舗(2024年2月末比3.75倍)に増やす計画だ。

外食産業は、コロナ禍からの人流の回復や、インバウンド(訪日観光客)が増えたことなどで、売上高は回復傾向にあるものの、原材料費や物流費、人件費などのコストが上昇しており、厳しい経営環境下にある。

このため、M&Aによって新たな業態開発に取り組む動きや、成長が見込める海外に新たな市場を求める動きなどが増加している。

壱番屋ではM&Aで傘下に収めた店舗の拡大に加え、さらなる新業態の開拓にM&Aを活用することや、海外展開を加速することなども方針として掲げており、M&Aによる新たな顔ぶれが増えることが予想される。

Win-Win前提に案件を探索

成吉思汗大黒屋は、買収当時は北海道旭川市の1店舗だけだったが、2024年2月末時点で4店舗まで増加。今後は運営会社である大黒商事(北海道旭川市)が直営店として出店するほか、壱番屋がフランチャーズ展開し、出店スピードを加速することで、2027年2月末までに14店舗多い18店舗に拡大する。

「麺屋たけ井」は買収当時、京都や大阪で8店舗を運営しており、現在も店舗数は変わっていない。今後は運営会社の竹井(京都府城陽市)が関西エリアを中心に新規出店に取り組むとともに、既存のCoCo壱番屋のフランチャイズ店のオーナーによる店舗展開も検討し、2027年2月末までに22店舗多い30店舗にする。

「博多もつ鍋 前田屋」も店舗数は買収当時の4店舗から変わっておらず、今後は運営会社のLFD JAPAN(福岡市)が、博多エリアで直営店を複数出店した後、東京や大阪、名古屋などの全国主要都市に進出し、2027年2月末までに8店舗多い12店舗に増やす。

壱番屋では「Win-Winの関係が築けることを前提に、案件探索を継続する」としており、今後もM&Aによって業態を増やす計画だ。

カレーハウス「CoCo壱番屋」ジンギスカン、ラーメン、もつ鍋などの買収店舗で出店攻勢 3年で4倍近くに
壱番屋のM&A店舗の店舗数

M&A店舗が利益の20%強を

店舗展開に関しては主力のCoCo壱番屋の店舗数を2024年2月末の1200店から2027年2月末には60店舗増やし1260店舗にする。伸び率は5%と抑え気味だが、海外については同期間に88店舗増やし、300店舗とする計画で、伸び率は40%強となる。

海外出店については、米国ダラスに出店したCoCo壱番屋のフランチャイズ1号店が好調なことから、同国でのフランチャイズ展開の協議を本格的化させるとともに、台湾や香港、タイなどの既存エリアでの出店を加速し、EU諸国やオーストラリア、グアムなどの新規エリアへの進出にも取り組む。

同社ではこうした取り組みで2027年2月期に、売上高を2024年2月期より190億円ほど多い740億円に、営業利益を同20億円強多い70億円に引き上げる。

M&Aで傘下に収めた3社による2027年2月期の売上高の合計は71億円強(2024年2月期は約14億円)、営業利益は15億円強(同約2億円)の見込み。

3社の売上高が全体に占める割合は10%ほどに留まるが、営業利益は20%を超え、新業態の採算性が高いことが分かる。ここに新たなM&Aが加われば、売上高や営業利益などの目標数値が上振れする可能性もある。

カレーハウス「CoCo壱番屋」ジンギスカン、ラーメン、もつ鍋などの買収店舗で出店攻勢 3年で4倍近くに
壱番屋の店舗数

文:M&A Online記者 松本亮一

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