中堅不動産会社「ランディックス」富裕層向け不動産周辺事業をM&Aで拡充

中堅不動産会社のランディックス<2981>は、富裕層が求める不動産の周辺事業のラインナップ強化にM&Aを活用する。

不動産事業は、売買や仲介などの取引から得られる収益の継続性が低いフロー型が一般的だが、同社は成約者の30%ほどが紹介やリピートで、収益の継続性が高いストック型となっているのが強みで、今後はさらにストック性を高めるために、周辺事業の拡充に取り組むことにした。

不動産賃貸事業も展開

ランディックスは、東京の城南エリア(世田谷区、目黒区、大田区、品川区、渋谷区、港区)で富裕層向けに戸建てを中心とする不動産事業を手がけており、富裕層のデータを構築し、集客力や販売力の強化、高付加価値化につなげている。

事業エリアである城南地域の人口は2030年ごろまで増加し、その後は減少に転じるものの緩やかな変化に留まると予想しており、同エリアでの事業拡大が可能としている。

同社では富裕層のニーズを3段階に分けて分類しており、第一段階で住宅を購入したあとは、資産構築のための収益用不動産の購入につながり、さらに生活の質を高めるための別荘の購入やその他の周辺分野に対するニーズが発生すると見る。

このため富裕層向けにシェアリング別荘の販売や、投資不動産の販売などを強化するとともに、今後は、富裕層が求める周辺事業のニーズを掘り起こしたうえで、M&Aによって関連の企業や事業を獲得し、既存事業以上のストック性と成長性が見込める事業に育てる。

また、ストック性については、地主から直接土地を仕入れ、不動産賃貸事業を展開し将来の高利益事業に育てることなどに取り組むほか、事業を拡大するのに必要な人材についてはM&Aを活用する計画だ。

文京区、杉並区、豊島区、中野区にも事業エリアを拡大

同社は2001年に、東京都目黒区に不動産の売買、賃貸、コンサルティングを目的としたアーバン・ライフを設立したあと、2003年に現在のランディックスに社名を変更した。

2018年にオーダーメイド住宅マッチングサイトsumuzu(スムーズ)を、2019年に建築希望顧客と建築家や施工業者との簡易マッチングを、2023年にシェアリング別荘のサードプレイス事業をスタートした。

現在の城南エリアに加え、近隣の文京区、杉並区、豊島区、中野区でも「戸建て、富裕層顧客」という同社の成功パターンを横展開できると判断しており、今後はこれら地区に事業エリアを広げることで、事業の成長を加速する。

M&Aに関しては2024年に東京エリアの中古マンションの売買仲介、売買を主力とする不動産テックベンチャーのリンネ(東京都千代田区)を子会社化した実績がある。

リンネは顧客管理システムの構築力を強みとしており、ランディックスが蓄積してきた富裕層への営業ノウハウを、リンネのIT技術で具体的な顧客対応手順に再構築することで、営業ノウハウの蓄積と改善に取り組むとしている。

中堅不動産会社「ランディックス」富裕層向け不動産周辺事業をM&Aで拡充

過去最高業績を更新

2025年3月期の売上高は202億6700万円(前年度比18.9%増)、営業利益は22億5800万円(同76.5%増)と大幅な増収営業増益となり、いずれも過去最高を更新した。

2024年の日本の不動産投資市場が堅調だったのをはじめ、同社の事業エリアである東京都内の不動産に対する国内外の富裕層、投資家による取引が活発だったのが好調の要因で、2026年3月期も18.4%の増収、12.4%の営業増益を見込む。

さらに今後3年間(2026年3月期~2028年3月期)は、年平均20%の成長を見込んでおり、2028年3月期には売上高350億円を予想している。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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