【12月M&Aサマリー】ホンダ・日産が経営統合の協議へ、波紋広がるか|件数微減の119件

2024年12月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比3件減の119件。ホンダ・日産が経営統合に向けた協議開始を発表するなど大きなニュースがあった。

取引金額は1兆円を超えるメガ案件がなかったことで1兆2239億円にとどまり、前年同月の4兆1603億円から大幅減となった。

【12月M&Aサマリー】ホンダ・日産が経営統合の協議へ、波紋広がるか|件数微減の119件

平和、アコーディア・ゴルフを子会社化 世界最大のゴルフ場保有会社へ

金額トップは、遊技機メーカー大手の平和がアコーディア・ゴルフを子会社化する案件。取得金額は5120億円。傘下にPGM(パシフィックゴルフマネージメント)を持つ平和は、アコーディアを取り込むことで世界最大規模(321カ所)のゴルフ場保有会社になるという。

買収により、管理費や仕入のコストダウン、ポイントプログラムの共通化などのシナジー(相乗)効果を見込む。インバウンド(訪日観光客)、女性・若年層への訴求でゴルフ人口の拡大を狙う。アコーディア・ゴルフは子会社のまま存続させる予定。若者や女性をターゲットとし、カジュアルで通いやすさを重視するアコーディアとPGMを共存させることで、両社の特性を生かす。

TOPPAN、過去最大のM&A案件

金額2位は、TOPPANホールディングスが米国の大手包装メーカーSONOCO PRODUCTS COMPANYから軟包装事業と熱成形容器事業を取得する案件。これにより、SONOCO傘下の5社(米国2社、ブラジル・カナダ・インド各1社)を獲得する。TOPPANホールディングスが手がけた過去最大のM&A案件で、取得金額は約2710億円。

環境に配慮した包装材の需要が高まっており、TOPPANは海外パッケージ事業を成長事業と設定。2021年に米国のインターフレックス(軟包材)、2022年にインドの Max Speciality(フィルム)、タイのMajend Makcs(軟包装)を買収してきた。今回のM&Aで北米、南米の拠点を一挙に手中に収め、世界規模で包装材事業の展開を図る。

SONOCOはP&Gやロレアル、ユニリーバといった消費財大手を顧客に持つ。

ニデック、牧野フライス製作所を同意なきTOBで子会社化へ

金額3位は、総合モーターメーカーのニデックが工作機械メーカー大手の牧野フライス製作所に対して完全子会社化を目的に、「同意なき買収」でTOB(株式公開買い付け)を実施する案件。全株取得を目指し、最大2572億円を買収に投じる。マシニングセンタや放電加工機に強い牧野フライス製作所の買収が実現すれば、工作機械業界の売上規模でDMG森精機に次ぐ業界2位になる。

ニデックは2021年以降、工作機械事業を新しい事業の柱と位置付け、工作機械メーカーのM&Aに注力。2021年に三菱重工工作機械を買収して工作機械事業に参入してから、2023年にTAKISAWAを買収。国内工作機械メーカーの買収案件は、今回の牧野フライスで4社目となる。

●12月の取引金額トップ10

【12月M&Aサマリー】ホンダ・日産が経営統合の協議へ、波紋広がるか|件数微減の119件

ホンダ、日産と経営統合に向けた協議を開始へ

12月は、ホンダと日産が経営統合に向けた協議を開始が注目を浴びた。三菱自動車も合流する方向で検討が進んでおり、3社連合の経営統合となるかは1月末をメドに判断が下される見通し。統合計画は日産の再生計画の進展を前提とし、2025年6月に株式移転比率を含む最終契約書を締結、2026年8月に持ち株会社の設立を予定。3社の経営統合が実現すれば、世界第3位の自動車グループが誕生することとなる。

日産は再生計画で、生産量を追わず、2026年度までに年間350万台の販売でも持続可能な収益性とキャッシュを確保できる経営体制を実現させる方針。ただし、日産は重要市場の中国・北米での苦戦が続いているのが現状。

北米では新車投入が遅れたことが響き、中国では電気自動車(BEV)を巡る戦いになっており、BYDを筆頭に中国メーカーの性能、競争力のある価格設定、ラインアップに対抗できていない。

再生計画が進行する中で、日産向けの取引比率が高い部品サプライヤーを筆頭に、工作機械メーカー、素材関連商社、鉄鋼、金融、物流など、自動車関連産業に依存度の高い企業に影響が波及し、業界再編の火種となる可能性もありそうだ。

文・M&A Online記者 橋本祐一

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