建設や人材派遣などを手がける「メイホーHD」従業員承継型M&Aを推進

建設や人材派遣、介護など四つの事業を展開するメイホーホールディングス<7369>は、従業員承継型M&Aを推進する。

今後3年間(2026年6月期~2028年6月期)に毎年2~5件のM&Aを実施し、これによって最終年の2028年6月期には、M&Aだけで2025年6月期の売上高(約130億円)上回る140億円の売り上げを目指す。

落下傘経営者を送り込まず

従業員承継型M&Aは、M&A先企業に経営者を送り込まず、当該企業の従業員に経営を承継してもらうもので「地域に根差した企業に、地域に根差していない落下傘経営者を送り込むことは地域の発展につながらない」との考えから同方式のM&Aに取り組むことにした。

後継者のいないオーナー経営者が従業員への承継を望んでも、従業員が株式取得のための資金を保有していないケースが多く、実現は難しい。

このため同社が株式を取得し、経営権を引き継ぐことで、実質的な従業員承継の実現を目指すことにした。

同社では「M&Aによって目先の利益を追うのではなく、長期的な視点から従業員のマインド改革に取り組むことで、従業員の成長と企業の持続的成長の両立を実現する」としている。

同社はこれまでもM&Aには積極的で、数多くの企業を傘下に収めてきた。これまでは売上高が3億~10億円規模の企業が中心だったが、今後はM&Aを検討する企業の売り上げ規模を10億~50億円に引き上げとともに、M&A候補企業の業種も広げる。

またM&A資金については、グループ各社の余剰資金を活用するとともに、M&A先企業の取引銀行と、M&A資金の調達について交渉する計画だ。

グループ企業数は22社に

メイホーHDは、1981年に設立されたメイホーエンジニアリングが前身。当初は土木測量設計や施工管理などの事業を手がけており、1993年に建設コンサルタントなどの建設関連サービス事業を開始した。

これまでのM&Aでは、グループ化した企業の経営支援に力を注いでおり、この取り組みによって現在は総売上高の30%強の建設事業と建設関連サービス事業、同30%弱の人材関連サービス事業、同10%弱の介護事業の4分野で事業を構成している。

主力の建設事業は道路や河川工事を手がける東組(三重県尾鷲市)など6社で、建設関連サービス事業は建設コンサルタントや公共工事の施工管理などを展開するメイホーエンジニアリング(岐阜市)など8社で構成。

さらに人材関連サービス事業は、建設技術者らの派遣などを手がけるメイホーアティーボ(東京都千代田区)など6社で、介護事業は介護施設を運営するアルト(岐阜市)で構成しており、グループ企業数はメイホーHDを含め22社となる。

3年後に売り上げを2.3倍に

同社の沿革によると2006年にアスカコンサルタント(建設関連サービス事業)の全株式を取得したのを手始めに、次々とM&Aを実施。

2015年に3社を傘下に収めたのに続き、2016年から2018年までの3年間と、2021年から2023年までの3年間は複数社(2~4社)の全株式を取得。

直近の2025年は5月に、建設業向け人材派遣事業を手がけるナスキーキャリア(仙台市)を子会社化した。

同社ではこれから実施するM&Aによって140億円の増収を目指すとともに、オーガニック成長(内部の経営資源を活用した成長)でも30億円を上積みし、3年後の2028年6月期には2025年6月期比2.3倍の300億円の売上高を目指す計画だ。

建設や人材派遣などを手がける「メイホーHD」従業員承継型M&Aを推進
メイホーホールディングスの主なM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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