
スタートアップと言えば、都市部での起業が思い浮かぶ。事実、新規起業件数では東京都が圧倒的な件数でトップを維持しており、次いで大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県が続く。
新設法人率では沖縄県が全国トップ!
しかし、既存の法人数に対する新規法人の割合を示す新設法人率で見ると、ランキングは大きく変わる。起業に対する風土が根付いており、地域全体で新しいビジネスが生まれやすい環境があるかどうかがカギだ。
そこで都市の中心部ではないにもかかわらず、起業が盛り上がっているエリアを3回にわたって紹介する。第1回は長年にわたって新設法人率の全国トップを維持している沖縄県の起業集積地だ。
関東のIT企業などが入居
平日は議長席や演壇などが残る旧議場でテレワーク、休みの日はきれいな青色の海でウミガメと一緒に泳ぐ。こんな働き方はどうだろうか。
コワーキングやシェアオフィスなどのスペースを備えた「宮古島ICT交流センター」(沖縄県宮古島市下地字上地472番39 下地庁舎3階)を利用すれば可能だ。
同センターは宮古島市街地から車で15分ほどの、与那覇湾を望むことができる場所にある。
2005年に宮古島内の5市町村が合併して宮古島市が誕生した際に、それぞれの市町村の旧庁舎を宮古島市の支所として利用していたが、空いたスペースを有効活用するために、旧下地庁舎をコワーキングやシェアオフィスのほか、宮古島のIT(情報技術)企業の交流拠点として整備したのが「宮古島ICT交流センター」で、2019年10月にオープンした。
以前は庁舎だったため建物の3階には議場があり、ここをワークスペースとして提供しているのだ。使用する座席に制限はなく、議長席や議員席などを自由に使うことができる。また庁舎らしくエントランスは広々しており、吹き抜けの部分もあり、明るい開放的なデザインとなっている。

議場の外には、個室や電話が可能なフォンブース、ミーティングルーム、交流スペース、休息スペースなどが整備されているほか、サテライトオフィスとして利用できる部屋もあり、現在、関東のIT関連の企業などが入居しているという。
IT企業の交流拠点との位置づけもあり、Wi-Fi環境が整っているほか、交流スペースでは、プログラミング体験教室などのイベントも行われている。
利用料金は3時間までが550円、3時間以上が1日1100円。個人会員は半年間で1万5000円、法人会員は1年間で11万円。法人会員は同センターの住所での登記が可能なため、起業も可能だ。
波打ち際から少し入ったところにウミガメが
宮古島は沖縄本島から南西に300キロメートル離れたところにある周囲100キロメートルほどの島。飛行機だと東京の羽田国際空港から宮古空港までおよそ3時間、大阪の関西国際空港や愛知の中部国際空港からはおよそ2時間半で到着できる。
宮古島はサンゴ礁が隆起してできた島のため、平坦で低い台地となっており、地表を流れる川はほとんどない。大きな川がなく土砂が流れ込まないため、「宮古ブルー」と呼ばれる美しい青色の海が広がる。
浅瀬が多く、海草が豊富なためウミガメが多く生息しており、波打ち際から少し入った浅い海でもウミガメを見ることができる。
同センターでは「テレワークの楽園と呼ばれるような環境を、地元企業や地域の人々、進出企業と一緒に作っていきたい」としている。
文:M&A Online記者 松本亮一
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
M&A速報、コラムを日々配信!
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック