山﨑玲奈、3度目のピーター・パン「新しいチャレンジが待っている」
山﨑玲奈(撮影:藤田亜弓)

夏になると毎年、夢と感動を届けてくれるミュージカル『ピーター・パン』も今年で45年目! 現在ピーター・パンを演じている山﨑玲奈にとっては、2023年に11代目として初登場してから今年で3回目のピーター・パン役だ。2020年のホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞する以前から、その歌声、実力に定評のあった山﨑だが、近年は『トンカツロック』『翼の創世記』そして今後上演が控える『ビートルジュース』など、各方面から引っ張りだこの活躍を見せている。

その彼女が三たび挑む『ピーター・パン』への思いとは。



演じていない時も、身体のどこかにピーター・パンがいる

山﨑玲奈、3度目のピーター・パン「新しいチャレンジが待っている」

――山﨑さんにとっては3回目の『ピーター・パン』ですね。もともと「夢はピーター・パンになること」とおっしゃっていた山﨑さん、実際にピーター・パンを演じてどんなお気持ちでしたか?



ずっと夢だったので、出演が決まった時も嬉しかったのですが、実際にピーター・パンとして舞台に立った日は「ついにこの日が来たんだ」と本当に嬉しくて! その日からもう3年連続で出演となります。ずっと夢だった役を3年も演じさせていただくことなんて、この先二度とないことだと思います。本当に光栄です。とはいえ、ずっと夢だった役で大好きな作品であるからこそ緊張とプレッシャーもすごくて、公演も毎日が初日かのように緊張していました。もちろん楽しいのですが「最高のものをお届けしなければ」という責任も感じています。



――『ピーター・パン』は数年にわたり、定期的に……夏になると同じ役を演じるというのも特徴的ですよね。ピーター・パンを演じていない期間、例えば冬の間なども山﨑さんの身体のどこかにピーター・パンはいるのでしょうか?



いますね(笑)。例えば1年目の『ピーター・パン』が終わったあと、ミュージカル『聲の形』に出演したのですが、この時はことあるごとに演出の板垣恭一さんに「ピーター・パンが出てるよ!」と言われました(笑)。ジャンプしたり、ものを探したりするシーンで急に素早い動きをしちゃうみたいで。自分の意識としても、昨年末に出演した『翼の創世記』では少し強い女性の役だったのですが、ピーター・パンから何か借りてくることはできるかな? と探していたり。やっぱり体に染みついているし、自分の中にピーター・パンらしさが浸透しているんだなと面白く思いました。



山﨑玲奈、3度目のピーター・パン「新しいチャレンジが待っている」

――そんなピーター・パン役ですが、初出演時にお伺いした時に山﨑さんは「大人になりたくない子供」「カッコいい男の子」「でも厄介な人物」とおっしゃっていました。実際に演じて、その印象は変わっていますか?



1年目にそう感じたことは軸として変わらずあります。その上で、稽古を重ねるうちにわかったピーター・パンが抱える孤独や悲しみが積み重なっています。でもそれは私が第三者の目線で思うことであり、ピーター・パンが孤独や悲しみを持っててはいけないんだろうなとも思っていて……。つまりピーター・パンが「僕、孤独です」「悲しいです」と表現しちゃってはいけない。彼はそれを感じているけれど、わかっていない。それこそが一番の孤独であり悲しみであるのでは、と2年目に感じました。今年はまだ稽古は始まっていませんが、2年目に感じたそれらが乗って、さらに違う役作りになりそう。ピーター・パンはやっぱり単純な人ではないですね。



――“本当はそう思っているけれど、表現しない”というのは、難しそうですね。



本当にそうなんです。自分・山﨑玲奈が「今、悲しい」「孤独だ」と感じちゃったからこそ、無意識にそう表現しようと思ってしまう。

でもそれを表現してしまうと、第三者から見ると冷めてしまうんですよね。何度も稽古で「これは違うな」と思って試行錯誤しました。公演を重ねてなんとか表現できるようになったかなと思いますが、もっと目指す到達点はある気がして、そこは昨年の悔しかった部分でもありますし、3年目の挑戦どころでもあるなと思います。



共演者が一新。新たな表現が生まれる予感

――3年目の『ピーター・パン』、演出の長谷川寧さんから言われていることは。



寧さんは「もっともっと感動したい」とおっしゃっていました。きっともう『ピーター・パン』のすべてを知り尽くしているような方だと思いますが、私も表現力を磨いて、その寧さんすら感動に引き込みたいし、関わってきた皆さんが初心に返って新鮮に感動できる作品にできればと思っています。



――長谷川寧さん演出版は、ピーター・パンの持つダークな面も描く……というコンセプトだったと伺っています。2年目、そして3年目とその方向性に変化はありましたか?



ダークさを目指したいといった1年目から大きく変わってはいないのですが、前回の2年目は、ダークな面だけでなく、やはり子どもたちに「ピーター、がんばれ!」と言ってくれるような存在であるというのは大事だよねと話したりしました。みんなが思い描くピーター・パンの明るさ、陽気さ、無邪気さはどんどん出していこうと。今年はそれに輪をかけ、さらに感動へ……ということだと、私は受け止めています。



――ちなみに空を飛んでいる時はどんな気持ちですか?



山﨑玲奈、3度目のピーター・パン「新しいチャレンジが待っている」

実際に飛んでいるのは舞台なのですが、本当に空が見える気持ちです! 気持ちがいいですし、とても楽しい。

何度飛んでも慣れることなく、新鮮に、どこかの空を飛んでいる気分になれます。ただ、大変です(笑)。フライング担当の方と、アクションのHAYATEさん、演出の寧さんと「どういう飛び方が一番よく見えるか」「面白い飛び方はできないか」と研究したのですが、寧さんの発想が、私には到底思いつかないものばかりで。しかも寧さんはどんどん新しくしていきたがるタイプの方。おそらく「同じことをやってもつまらない」と思ってるはずで、頭の中には何パターンもの、寧さんのネバーランドがあるんです。きっと今年もまた新しいチャレンジが待っていると思います。私もドキドキワクワクしながら稽古に挑みたいです!



――「長谷川さん、ちょっとそれは無理です!」みたいなことはないんですか?



しょっちゅうありますよ(笑)。でも“寧ワールド”になんとか食らいついていきたい気持ちが勝るんです……。だから稽古を重ね、寧さんにも協力していただき、ちょっとずつ寧さんの思い描く世界を体現できるよう頑張っています。



――長谷川演出版はアクションも激しいですよね。パルクールも取り入れて。



そうなんです。

私はパルクールどころかアクションも『ピーター・パン』で初めて経験したので、全然動きについていけず最初は大変でしたが、フック船長やHAYATEさんに手伝っていただき、ピーター・パンっぽく戦えるようにということを目指しました。大切にしたのは「苦しさを見せない」ということ。素の私だと疲れちゃうけれど、ピーター・パンにとっては日常のことなんですよね。「ピーター・パン、苦しそう」と思われないよう、しんどくない体、激しい動きこそが楽しいと思える体にしていきたいし、そこはとても意識しています。



――まわりの反響はいかがでしたか。



みんなにピーター・パンにしか見えないと言っていただけて、嬉しかったです! 友だちにも「学校にいる玲奈とは全然違った」と言われて。親にも「いつもの玲奈らしさもあるけれど、ピーター・パンだったし、ネバーランドが見えたよ」と言ってもらえて、稽古を頑張ってきてよかったと思ったし、もっと頑張ろうと思いました。



山﨑玲奈、3度目のピーター・パン「新しいチャレンジが待っている」

――そして今回、2025年はキャスト一新。メインキャストでは山﨑さん以外は皆さん新しい方になりますね。フック船長は石井一孝さんです。



一度お会いしましたが、めちゃくちゃ話しやすい、優しい方でした! 稽古でもいっぱい頼っていこうと思いました。ほかの皆さんも、共演経験のない方ばかり。

初めましての方だからこそ、皆さんから新しいものを受け取ったり、新しい挑戦ができるなとワクワクしています。今までで一番、個性が爆発する『ピーター・パン』になりそうな予感がしています。アンサンブルの方も、各チーム(ロストボーイズ/パイレーツ/モリビト)にひとりずつくらいしか、作品経験者がいないんです。でも色々なジャンルでご活躍の方が集まってくださるので、それぞれが培ってきた表現力がぶつかり合って新たな表現が生まれるんじゃないかな。私も負けじと、3年間の経験を出してぶつかっていきたいです。



――改めてこの『ピーター・パン』が45年間愛されている理由をどう感じていますか。



幅広い世代の方に楽しんでいただける作品です。そして、なぜ幅広い世代に刺さるのかは、やっぱり物語の良さ、壮大さだと思います。私自身何度観ても感動するし、楽しいし、元気がもらえます。特に長谷川寧さんの作るこのバージョンは、舞台セットも壮大ですし、アクティブで激しいので、躍動感がある。小さい頃の自分がワクワクした気持ちを思い出しますし、大人の方もワクワクしていただけます。それが45年愛されている秘訣だと思います。



取材・文:平野祥恵 撮影:藤田亜弓



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<公演情報>
青山メインランドファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』



原作:サー・J・M・バリによる作品を元にしたミュージカル
作詞:キャロリン・リー
作曲:モリス(ムース)・チャーラップ
翻訳・訳詞:福田響志
演出・振付:長谷川寧



【配役/キャスト】
ピーター・パン:山﨑玲奈
フック船長:石井一孝
ウェンディ:山口乃々華
タイガー・リリー:七瀬恋彩
ダーリング夫人:実咲凜音



ロストボーイズ:飯田汐音、小野寺夏音、梶 みなみ、富田明里、宮島優心(ORβIT)
パイレーツ:今村洋一、黒沼 亮、佐藤 大、七味まゆ味、武井雷俊、馬場礼可
モリビト:ASUKA、奥富夕渚、住 玲衣奈、髙中梨生、堤 はんと、中川友里江、西垣秀隆、森田駿介
ジョン(Wキャスト):白石ひまり/三浦あかり
マイケル(Wキャスト):小林愛佳/柳生有咲



※以上五十音順



スウィング:三井夕萌、大賀辰次朗



【東京公演】
日程:2025年7月28日(月)~8月6日(水)
会場:東京国際フォーラム ホールC



【群馬公演】
日程:8月10日(日)・11日(月)
会場:高崎芸術劇場 大劇場



【大阪公演】
日程:8月17日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール



【福岡公演】
日程:8月22日(金)~8月24日(日)
会場:博多座



チケット情報:
https://w.pia.jp/t/peterpan/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2557965&afid=P66)



公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/peterpan/



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