
『イノセンス 4Kリマスター版』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』の公開記念トークイベントが3月2日、東京・TOHOシネマズ新宿で行われ、押井守監督とバトー役の大塚明夫を迎えた公開記念トークイベントが行われた。現在、『イノセンス』の公開20周年を記念し、両作品の同上映がTOHOシネマズにて期間限定で実施されている。
士郎正宗のSFコミック『攻殻機動隊』を原作として、監督の押井守によってアニメーション映画化された2作品。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は、西暦2029年、高度に発達したネットワーク社会において多発するコンピューター犯罪、サイバーテロなどに対抗するため結成された非公認の超法規特殊部隊「公安9課」の草薙素子とバトーの活躍を中心に描き、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』から3年後の2032年が舞台の続編『イノセンス』は、公安9課のバトーを中心に描かれる。

押井監督は『イノセンス』について、「前作(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』)がどこか終わっていない感じがして、部屋に残されたバトーの思いを引きずってみたいなと思った。脚本は抵抗なくスラスラと、2週間で書けた」と回想。「素直な見方をすれば、素子とバトーが再会する、とても切ない物語。能書きは硬いけど『攻殻』よりはるかに情緒的でセンチメンタル」だと語った。

一方、大塚は『イノセンス』製作が決まった当時の心境を「心臓が止まるかと思うほど、うれしかった」と告白。同時にどう演じたらいいか迷いもあったといい「押井さんが“これはバトーの恋の物語ですよ”って。それを聞いたら、あっという間に映画の構造が見えてきた」と語っていた。

草薙素子を演じた声優の田中敦子さんが、昨年8月に急逝。大塚は「ぜひ、在りし日の田中敦子のことも思い出してもらって。『GHOST IN THE SHELL』を通して、一緒に歳をとってきた。

押井監督は『イノセンス』続編の可能性を問われた際に「やり残したこともあるし、それがやれるなら。やる条件もあって、やっぱり素子をどうするんだろうってこと。魂だけの存在ってわけにもいかないし、声無しとか? それもいいかもしれない、仮定の話だけど」と話していた。

『イノセンス』は4Kリマスター版の上映となり、「オープニングの最後に登場する人形の目に、コンマ1秒くらい何かが映っている」(押井監督)、「見えなかった人はぜひもう1度観てください」(大塚)。舞台挨拶の最後に、押井監督は「20年前はもう、これ以上の仕事はできないと思っていた。何にせよ、20年経って、再びスクリーンにかかるのは監督冥利に尽きる」と感謝の言葉。大塚は「20年経って、また劇場にかかるということは、これが後世に残る名作である証し。ぜひ、今一度胸に刻んでもらえれば」とアピールしていた。

取材・文=内田涼
<作品情報>
『イノセンス 4Kリマスター版』
上映時間:99分
原作:士郎正宗(『攻殻機動隊』講談社刊)
監督・脚本:押井守
制作:プロダクション I.G
(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』
上映時間:85分
原作:士郎正宗(『攻殻機動隊』講談社刊)
監督・脚本:押井守
制作:プロダクション I.G
(C)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT