久保田巧 ヴァイオリンは歌うvol.5 20世紀前半の作曲家たちに思いを馳せて

日本を代表するヴァイオリニストのひとり、久保田巧の「ヴァイオリンは歌う」シリーズvol.5公演が目前だ。今回は、「光と影」をテーマに、20世紀前半の作曲家たち、ストラヴィンスキー、プーランク、ファリャ、ピアソラの作品が並ぶ興味深い内容だ。

共演者であるピアニストが廻由美子であることにも期待が募る。個性派として知られる廻由美子と久保田巧とのコラボレーションや如何に。一期一会のステージにおける、予想を超えた化学反応に期待したい。



この公演に向けた久保田巧のメッセージを紹介しておきたい。世界各地を音楽で回る旅の醍醐味が個々にある。



~久保田巧「ヴァイオリンは歌う」シリーズは、早くも5回目を迎えます。私の第2の故郷とも言えるウィーンを出発して、その周辺の国々を巡り、第3回と第4回はかねてからの憧れだったオペラの世界を中心にお聴きいただきました。第5回はピアニストの廻由美子さんをお迎えし、20世紀前半の音楽を取り上げます。イタリア・バロックに題材を得た「プルチネッラ組曲」の後は、スペイン内戦で亡くなった詩人ガルシア・ロルカの思い出にささげられたプーランクのソナタ、そのロルカの親友だったファリャのスペイン民謡、ファリャが亡命した先のアルゼンチンのピアソラの「ル・グラン・タンゴ」。光と影、漆黒と鮮血の赤のような対比の中に、さまざまな感情が交錯します。共感できる世界を新たに発見していただけることと思っております。~久保田 巧



久保田巧 ヴァイオリンは歌う vol.5 光と影

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2504550(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2504550&afid=P66)



6月14日(土) 15:00 開演
トッパンホール



●久保田巧
東京生まれ。

外山滋、江藤俊哉らに師事。桐朋女子高等学校音楽科を経て、ウィーン国立音楽大学にてヴォルフガング・シュナイダーハン氏に師事。
1983年フリッツ・クライスラー国際コンクール第2位、ミケランジェロ・アバド国際音楽コンクール第1位。84年ミュンヘン国際コンクール・ヴァイオリン部門で18年ぶりの1位として日本人初優勝。以来、サヴァリッシュ、ギーレンらの指揮のもとミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン州立歌劇場管弦楽団、NHK交響楽団、読売日本交響楽団など国内外の名だたるオーケストラと共演。88年、ウィーン・ピアノ四重奏団を結成。サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団にも数多く出演。2014年、前橋汀子、川本嘉子、原田禎夫と弦楽四重奏団を結成。CD録音も多く、「バッハ:無伴奏パルティータ全曲」はレコード芸術誌で特選盤に選ばれている。
教育の現場でも精力的に活動し、現在桐朋学園大学教授、国立音楽大学客員教授を務める。



●廻由美子桐朋学園大学ピアノ科を卒業後、アメリカへ渡り、インディアナ大学音楽学部で学ぶ。帰国後、活発なる演奏活動を展開。

ソロ、オーケストラとの共演、アンサンブル、また、現代作曲家の世界初演も多く手がけ、ドイツ、イタリア、カナダ、台湾などの現代音楽祭に招かれる。他ジャンルからのオファーも多く、ジャズ、即興、ダンス、演劇、島唄までコラボレーション多数。アレンジやオリジナル作品も手がける。これまで20枚以上に及ぶアルバムを国内外でリリース、その多くがレコード芸術「特選盤」に選出される。
2007年より2023年まで、年2回「新しい耳」テッセラ音楽祭、2024年より「新しい耳」@B-tech Japanシリーズを主宰。フィリップ・グラス作曲のオペラ『浜辺のアインシュタイン』では令和4年度第77回文化庁芸術祭大賞受賞。
現在、桐朋学園大学音楽学部名誉教授。

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