
Text:吉羽さおり Photo:稲垣ルリコ
2月にニュー・アルバム『GENIUS FOOL』をリリースした、大阪北摂発の3ピースバンドRe:nameが、3月28日にアルバムを携えたワンマンライブ『 “GENIUS FOOL”LIVE TOUR 2025 -Genius Baby’s Tokyo-』を東京・渋谷クラブ クアトロで開催した。観客の大きな拍手や手拍子に迎えられ高木一成(vo)、Soma(g)、ヤマケン(ds)、サポートベーシストが登場し、「Are You Ready? やろうか、東京」という高木の声でスタートしたライブは、華やかでエネルギーの高いポップ・アルバム『GENIUS FOOL』の魅力を存分に伝えるステージとなった。

アルバム『GENIUS FOOL』を幕開ける曲「BABY BOY」でライブはスタートした。上昇感のあるキャッチーなメロディと、音源よりもグッとエネルギッシュなバンドアンサンブルに観客の手が上がる。その勢いのあるはじまりを加速していくように、昨年リリースしたEP『Give Me All Of Your Life』からの軽やかなポップパンク・チューン「People」では観客が手拍子やジャンプで応え、続く「Vertigo」のグルーヴ感のあるサウンドや歌に体を揺らす。改めて「ようこそ、“Genius Baby’s Tokyo”へ。みなさんいかがお過ごしですか。楽しんでますか」と挨拶をした高木は、笑顔でフロアを眺めながら「この景色が見れて幸せです」という。

高木一成(vo)
「バンドとしては彼らが高校時代の2016年に結成し、拠点である大阪を中心に活動し関西の名だたるイベントに出演しながらその名を広げてきた。『GENIUS FOOL』は通算4作目のアルバムとなり、ルーツにある00年代の洋楽とJ-POPとのブレンドがより洗練され、またチャーミングなポップさや遊び心が増したサウンドで、リスナー層をより広げる作品となっている。「自信作のアルバムを精一杯届けにきました」(高木)というこの東京でのワンマンは、Re:nameがここからさらに広がっていく足がかりにもなる。

Soma(g)
4曲目の「Alice」からは高木もギターを持ち、続くポップパンク・チューン「Living Fool」ではグッとビートを加速させる。

ヤマケン(ds)
コロナ禍の時期、当時大学3回生で大学にも通えないなかで、曲を作る楽しさにどっぷりとハマったとMCで語った高木。世の中的には混乱し大変な時期ではあったが、振り返ってみると自分にとってあの家に篭り続けた時間は重要だったという。アルバム『GENIUS FOOL』は、天才という存在に憧れてできていった音楽がテーマとなった。天才的な存在に憧れ、バカみたいに必死になる、そんな思いで冠したタイトルだ。無邪気に、夢中になって音楽と向き合ったその甘く濃密な時間、3人でRe:nameを磨き上げていく時間が、このアルバムには詰まっている。「Not a Love Song」に続いた、「Magic Hour」はより美しくエモーショナルに響いた。

後半へと向かうMCでは、この日のリハ後に渋谷の街中に出たときに通りの大型ビジョンで友人のバンドの曲が流れていて、クアトロに戻ったらステージに“Re:name”のバックドロップがかかっていて、不思議な世界に紛れ込んだような感覚になったとヤマケンが語る。

曲に合わせ、大きく手を振るフロアにも笑顔が広がっている。アルバムの軸でありクリエイティヴの源となった思いをアンビエントなサウンドで描いた「gen!us」、シャイニーなギターフレーズが思い出の縁を切なくなぞる「Donut Song」に続いたのは、「アイデンティティー」。2018年のEP『ALIVE』に収録された、17歳のときに書いた曲だ。16歳のとき帰宅部だった3人で結成し、友だち同士だったところから関係性は変わったところもあるし、変わらないところもあるけれど、こうしてRe:nameの今があることを誇りに思うと高木は語る。

多感な時期を曲にした「アイデンティティー」は今日、演奏することに意味があるという。まだどこか荒削りで、10代の率直な思いと持て余す熱量を詰め込んだ曲を、大人になった彼らが軽やかに、当時の自分たちの背中を押すようにプレイしているのが頼もしい。その思い出深い曲とともに、後半はアルバム『GENIUS FOOL』の曲を中心に披露した。

エレクトロと生のバンドサウンドとが融合した「TOY」でダンサブルにフロアを揺らし、人工歌唱ソフトウェア“可不”のボーカルをフィーチャリングした、パワーポップ「Vague(feat.可不)」では躍動感のあるビートと厚みあるアンサンブルで観客を盛り上げる。トリッキーな組み合わせの曲だが、ライブでは抜群にキャッチーでパワフルなアンセムとしても機能する。さらに「ここから上げていけるか!」(高木)と、「prettyfine :)」で爽快なギターのカッティングとファンキーなビートでメロディを舞い上がらせ、「24/7」で観客にステップを踏ませていった。

アンコールでは「AM」「Let Me」の2曲を聴かせたRe:name。今回のワンマンツアーは大阪、東京の2カ所となったが、自信作であるアルバム『GENIUS FOOL』をひっさげ、最高のセットリストを磨き上げてきた2公演である。最後に「もしかしたら、ここで終わらないかも!?」と期待感たっぷりに話していたので、ここからの3人の動きにも注目してほしい。

<公演情報>
“GENIUS FOOL”LIVE TOUR 2025 -Genius Baby’s Tokyo
3月28日東京・渋谷 クラブクアトロ
セットリスト
1.BABY BOY
2.People
3.Vertigo
4.Alice
5.Living Fool
6.sorry my bad :(
7.Not a Love Song
8.Magic Hour
9.Saturday, Sunday.
10.gen!us
11.Donut Song
12.アイデンティティー
13.1
14.TOY
15.Vague (feat. 可不)
16.prettyfine :)
17.24/7
18.Happy End Roll
En1.AM
En2.Let Me
<ライブ情報>
『「INSA awakening」~Re:name Encore Live Tour 2025 「Genius Boy’s」~』
6月15日(日) 福岡・福岡INSA
開場17:00 / 開演17:30
ゲストあり
スタンディング:3,000円
※ドリンク代別途必要
『Re:name ONE MAN LIVE Encore Live Tour 2025「Genius Boy’s」in OSAKA』
7月11日(金) 大阪・難波Yogibo HOLYMOUNTAIN
開場18:30 / 開演19:00
スタンディング:4,200円
※ドリンク代別途必要
『Re:name ONE MAN LIVE Encore Live Tour 2025「Genius Boy’s」in TOKYO』
8月9日(土) 東京・渋谷 Spotify O-nest
開場18:00 / 開演18:30
スタンディング:4,200円
※ドリンク代別途必要
オフィシャル最速先行
受付期間: 4月14日(月) 23:59まで
https://w.pia.jp/t/rename-geniusboys/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558442&afid=P66)
公式サイト: https://renamejpn.com/