ホー・ツーニェンの個展が東京都現代美術館で 国内初公開の最新作などから歴史的探求の軌跡を探る
《時間(タイム)のT》 2023年、Image courtesy of the artist and Kiang Malingue

東京都現代美術館では、2024年4月6日(土)より『ホー・ツーニェン エージェントのA』展を開催する。シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェン(1976-)の個展である。

 

映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスの分野で高い評価を得ているホー・ツーニェンは、幅広い資料や言説を参照し、再編成することで、東南アジアの歴史的な出来事や、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティなどを描き出してきた。同展では、彼の最初期の作品を含む6点の映像インスタレーションと国内初公開の最新作で、彼の歴史的探求の軌跡を探る。

まず2003年に制作された《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》は、ホーが監督と脚本を務めたデビュー作。シンガポールという国名を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説をめぐりながら、イギリス人植民地行政官による近代の建国物語を解体する。

ホー・ツーニェンの個展が東京都現代美術館で 国内初公開の最新作などから歴史的探求の軌跡を探る

《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》 2003年

《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)は、トラを人間の祖先とする信仰や、第二次世界大戦中、「マレーのトラ」といわれた陸軍軍人・山下奉文など、トラにまつわるエピソードで構成された3Dアニメーションによる作品だ。姿を変え続けるトラと人間を介して、シンガポールの支配と被支配の歴史を物語る。

こうした作品の基盤となるプロジェクトが「東南アジアの批評辞典」だ。同展では、東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムで都度組み合わされる映像作品《CDOSEA》(2017年-)を展示する。

ホー・ツーニェンの個展が東京都現代美術館で 国内初公開の最新作などから歴史的探求の軌跡を探る

《ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声》2021年、展示風景 撮影:三嶋一路 写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

ホーの新たな展開ともいえる最新作が《時間(タイム)のT》。ホーが引用し、アニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって時間の様々な側面とスケールを描き出すシークエンスに編成される。

会期中は、ギャラリートークや読書会など関連プログラムの開催も。参加方法や詳細は、美術館のウェブサイトで確認を。



<開催概要>
『ホー・ツーニェン エージェントのA』



会期:2024年4月6日(土)~7月7日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
料金:一般1,500円、大学・65歳以上1,100円、高中600円
展覧会ページ: https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/HoTzuNyen/