
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
自分がイラストレーターなので純粋アートよりも商業アートに惹かれてしまう。
日本でも人気なのはミュシャと同じくジャポニズムに影響されているからかも知れない。日本人は線画に惹かれる傾向があると個人的には思っている。特徴的な画風は、細い線と黒ベタと大胆なホワイトスペースを使った先鋭的なデザインセンスである。僕が注目したのは散見されるラインだ。細い線のサイドにもう1本点描のラインを入れる事で冷たく硬質な線が柔らかく有機的になる(イラスト参照)。
またレースなどフワッとした生地も点描ラインになっており、線への強いこだわりを感じられる。代表作のサロメは彼の傑作で絵に才気がほとばしっている。しかし、原作のサロメと関係ない絵もあり、ビアズリーは新人にもかかわらず挑戦的なイラストレーターだったようである。ちょっと見ちゃいけない背徳感あり、この毒気に抗えない魅力がある。
本展示場では黒いベールの先に18禁の展示室があり、ふさわしい見せ方だと思った。わずか5年の間に一気に時代を駆け抜けたイラストレーターである。ちなみにホラー映画『サスペリア』にサロメの絵が登場する。また『翔んで埼玉』の漫画家、魔夜峰央はビアズリーの影響を受けていることで知られている。
<開催概要>
『異端の奇才――ビアズリー』展
会期:2025年2月15日(土)~5月11日(日)
会場:三菱一号館美術館
時間:10:00~18:00、祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日、4月5日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(2月24日、3月31日、4月28日、5月5日は開館)
料金:一般 2,300円、大学1,300円、高校1,000円
公式サイト:
https://mimt.jp/ex/beardsley/