
両手を突き上げて優勝の喜びを示す西山貴浩
徳山ボートで2年ぶりのSG開催だった「第30回オーシャンカップ」(優勝賞金3700万円)は最終日の27日、最終12Rで優勝戦を争い、1号艇の西山貴浩(38)=福岡・97期・A1=がイン逃げを決めて優勝。SG7度目の優出で念願の初制覇を果たした。
2着は2号艇の馬場貴也、3着は3号艇の河合佑樹で3連単は840円(2番人気)だった。
西山は一般戦も含めた通算では52回目のV。6日間の総売上額は142億5705万1600円で目標の140億円を上回った。

記念のメダルを手に笑顔の西山貴浩
■ヒーロー
先行する人気に肩書を追い付かせてみせた。オールスターのファン投票ではドリームの常連の超人気者・西山貴浩が、ついにSG初制覇。「どんなにしゃべっても、自分に足りなかったのがSGタイトル。ホッとしています」
引いたエンジンは2連対率53%の実績機。ただ、当初は好みとは正反対の伸び型だった。それを、執念の調整で出足型にシフト。
「派手さはなくても、着を拾いながら一つずつやって、得点率トップになった。良かったと思う」
予選中は早めに出番が終わった日も、ペラ調整と試運転を繰り返した。予選の白星はイン逃げの1勝だけだったが、持ち前のしぶとさと整えた出足で2、3着を重ね、王道のレールに乗った。
軽妙なトークやジョーク、コスプレ、変顔…。さまざまなパフォーマンスでインタビューやオープニングセレモニーを盛り上げ、業界のエンタメ化を引っ張ってきた。その姿は「水上のエンターテイナー」として、ボートレースのCMのエピソードのモデルにもなったほどだ。
以前は目立ちすぎる行動にバッシングもあったという。「それでも、師匠(現・養成所教官の原田富士男さん)やオヤジからの『貫け』という言葉もあって、やってきた。CMになったのはうれしかった」
そして貫き、業界の理解も得た先に待っていた、SG制覇というレーサーの本分として最高の結果。信念の男を女神は裏切らなかった。
次のSGは地元中の地元・若松でのメモリアル。「(同門の後輩の)仲谷(颯仁)の前で変なレースは見せられない」。今度は地元ファンにも、水陸両方で最高のパフォーマンスをプレゼントする。(深堀慎一郎)

優勝した西山貴浩(中央)とそれをたたえる海野康志郎(左)と仲谷颯仁(右)

神尾楓珠さん(左)から祝福の花束を受け取る西山貴浩(右)