
仲のよかった友達から1年以上も無視され、最近では集団で嫌がらせを受けるようになった高2男子。つらい現状をいかに打破すべきか、とろサーモン久保田が本気で回答する!
1から10まで丁寧に説明しても、相手にうまく伝わらないこともある
どこの街にもある、安くてうまい立ち呑み屋。年齢も性別も関係なく、誰もが心をひらいて気楽に過ごせる場所だから、ついつい本音や悩みがポロリとこぼれてしまう……。
そんな“人生交差点”でほろ酔いになりながら、読者から寄せられたお悩み相談にのるのは、芸能界の天国も地獄も味わった“無敵の炎上芸人”とろサーモン・久保田かずのぶ。
学生街の早稲田にたたずむ「居酒屋もちだ」で、おでん盛り合わせの次に注文したのは「厚切りベーコン」だ。

厚切りベーコン(750円)……極厚サイズに切り分けられた肉汁たっぷりの逸品。濃厚なトマトケチャップの甘みと相性抜群だ。マスタードもしっかり絡めて口いっぱいに頬張りたい
――言いたいことも言えないこんな世の中。何かあったらすぐに炎上するし、久保田さんも日々ストレスが溜まるのでは?
やっぱり僕は芸人なんでね。ネタができて、舞台に上がってウケたら、それでストレスはゼロになります。あとは、仲間とワイワイ酒を飲んで楽しめば、ストレスは解消できますね。
もちろん、ストレスが溜まることもありますよ。たとえば、自分では1から10までていねいに説明しているつもりでも、それが相手にうまく伝わらないとものすごくストレスを感じます。その場の思いつきをしゃべる自分も悪いんですけど。

――久保田さんのYouTubeを見ていると、ご自身や共演者をディレクターのように客観的な目線で捉えていますよね。
芸人はみんなそうだと思いますよ。自分がボケて、ウケる。ツッコミをもらって、さらにウケる。先の先まで俯瞰で考えているし、そうやってネタを作っていますから。
でも、共演者やスタッフに対して、「俺は今、こういうパッケージで笑いをとりたい」という意図が伝わらないこともけっこうあるんです。きっと自分も悪いので、腹が立つわけではないんですよね。どう話しても相手に伝わらないことってありますから。
――もうちょっと理解してよ、という寂しい気持ちですかね。
そうかもしれない。「全員が全員、自分のことを瞬時に理解してくれるわけじゃない」という当たり前のことに最近ようやく気づき始めました。44歳でやっと(笑)。
大切なのは、好きな環境にいること
<人生相談vol.10>
高校2年生です。
いやあ、悲しいな。この子は何か運動とかやってるのかな。
――特に書かれていないですね。
何かほかに夢中になれることを探してみたらどうかなあ。その友達が嫌な扱いをしてくるのは変わらないかもしれないけど、たとえば、新しく部活に入ったら、そこで新しい友達ができるかもしれないよね。
あなたは今、タオルケット1枚で寝てたけど、それを無理やり剥がされてブルブル震えてる状態。でも、新しい部活で新しい友達ができたら、あなたの冷たい体を新しい温かい毛布のように包み込んでくれるかもしれない。
――学校に行かない、というのも最近の選択肢のひとつですよね。
本当にそう。今は学校に絶対行かなくちゃいけないという時代でもない。

――この人の苦しみは、嫌がらせをしてくる友達と完全に縁を切れないことにあるのかもしれないですね。今はまだ耐えられるけど、これ以上エスカレートさせたくない。
今は相手に嫌がらせをされて、心に波風が立っている状態でしょう。穏やかな気持ちじゃいられないですよ。だったら、逆に自分から波風を立ててやればいいじゃない。
たとえば、学校を急に休むことで、それがクラスのみんなに伝わるかもしれない。「あいつ、なんであんなに長く休んでるんだろう」ってなったときに「実はね」って話が進んで、解決に向かっていくかもしれませんよ。
高校は3年間もあるんだから、たかが1か月、2か月くらい休んだところで退学になんてならんでしょう。

――自分の意志を静かに表明するということですね。大きな声を上げる必要はないと。
僕だって、大御所芸人の番組を途中で帰ったことありますよ。
大切なのは、好きな環境にいることですよ。それが家なのか、学校なのか、部活なのかわかんないけど、選択肢がいっぱいあったほうがいいですから。
どんなやり方でも、あなたは自分から波風を立たせることができるんだ。それだけは忘れないでいてほしいですね。

「居酒屋もちだ」
東京都新宿区西早稲田3-1-3
営業時間:18:30~23:00ごろ(平日)、18:00~23:00ごろ(土日祝)
定休日:水曜日
聞き手・撮影/キンマサタカ