金属バット・友保にとって節分の日は人生初スベリの日…「恵方巻きの方角調べて食べてるやつは、ほんまのアホか、人生めっちゃ楽しめてるやつか」
金属バット・友保にとって節分の日は人生初スベリの日…「恵方巻きの方角調べて食べてるやつは、ほんまのアホか、人生めっちゃ楽しめてるやつか」

近年、2月3日節分の日になると「恵方巻き」の話題が世間をにぎわせる。数百億円の経済効果、売れ残りによる大量廃棄、コンビニ各社の有名店とのコラボ…。

昭和のなごりを残す芸人コンビ・金属バットはこの流行をどう捉えているのか。体調不良で小林が欠席する中、友保が一人で取材に応じた。

恵方巻きが流行って一番得したんは俺ら

——今回も前回に引き続き友保さんのソロインタビューです。早いものでもう2月。節分ですね。友保さん、恵方巻きへの思い入れはいかがですか?

友保
 あんなの最近ですよね、出てきたの。ほんま最近急に出てきてあんな巻き寿司みたいなもん。黙って食うとか、あんな文化なかったですよ。

——確かに急に来て居座った感じありますね、恵方巻き文化。

友保
 急に食えってね。俺覚えてるんですよ。あれ急に『めざましテレビ』が言い出して。どっかの方角向いて食うとか、はい。

嘘やろ、節分なんか何もせん、豆食うだけの日やったから。突然流行り出して。海鮮恵方巻きだとか。

——突然の流行ゆえか、恵方巻きは廃棄が多いのも問題になってます。需要と供給があってないのでしょうか。

友保
 あれね、実は供給もあってるんですよ。あの文化が流行って俺らが一番得してんすよ。

——どういうことですか。

友保
 もう貧乏芸人がね。俺らの行きつけのマックスバリュあるでしょ。俺らのホームと呼んでる。

——下積み時代に手っ取り早い酒とうまい棒を調達したことでおなじみの。


友保
 それです。恵方巻きいっぱい仕入れるんすよ。あんなぎょーさん、誰も買わないですよ、高いし。恵方巻きべらぼうに高いんすよ。そんで誰も買わへん。俺らやっぱ貧乏なんで、まあ夜遅うまで働くんですよね。で、終わってマックスバリュ寄ったら、恵方巻きバカ安なってるんで。

方角調べて食べてるやつは、ほんまのアホか、人生めっちゃ楽しめてるやつか

——半額恵方巻きの時間。

友保
 半額恵方巻きプラスUFOで。日清焼きそばUFO。一番うまい焼きそばUFOですよ。

——それは忖度ないですか?

友保
 忖度しかないです(笑)。(※金属バットは日清どん兵衛のCMを務める)

——CMのギャラでアフリカの奥地なら一生遊んで暮らせる額をいただいた。



友保
 アナベベですよ。ジャングルの王者ターちゃんのね(笑)。

——スーパーの恵方巻き廃棄問題が叫ばれる一方で、ミシュランの三ツ星レストランとのコラボ恵方巻きなどには予約が殺到してたり。恵方巻きへの欲望もそこまできたのかと。

友保
 すごいですよね。何でそんなまでして食いたいんだ、恵方巻きなんか。ほんとに方角調べて食べてるやつは、ほんまのアホか、人生めっちゃ楽しめてるやつか。俺はもう一回問いたい。あの豆まきのおもしろさなめんなよと。

——豆まきのおもしろさ、確かに忘れているかもしれない。

友保
 豆まきなんて楽しかったですからね。みなさん豆まきやってました?

——小学生のころはやってましたね。
年の数だけ豆を食べろと言われて、もっと食べたかったですね。

友保
 あんなうまい豆ないじゃないですか。なんやねん年の数だけって。

——でん六豆買うと必ず鬼のお面がついてくる。

友保
 あの腑抜けた鬼ね。ほんまに怒る気ないっていうのは俺、子どもでもわかったんすよ(笑)。もっとガチッと来てほしいですよね、鬼なんか。なまはげぐらいのね、山から来たみたいな。俺、団地やったんでね、豆まきめっちゃしてたんですよ。まき放題。大阪の団地なんてね、法がないんで。

——大阪の団地にも法はあります。


友保
 あと俺覚えてんですよ。幼稚園のときに鬼のお面を作れみたいなんあったんですよ。で、家帰って豆まきしてくださいと。で、わしやっぱちゃんと幼稚園のときは尖ってたんですよ。今じゃこんなヘロヘロのおっちゃんになっちゃったんですけど。

節分での人生初すべりの記憶

——(笑)。

友保
 幼稚園のときビンビンに尖ってたんで、まずツノは2本じゃないとあかんのかっていう。ちょっとカマして、ツノを6本ぐらいつけて。で、色もなんか2色とかじゃないですか。

——赤か青ですよね。

友保
 そう、色なんかなんでもいいやろと、それで作ってやったんですけど、むっちゃスベったんすよね……。

——子どもながらに「スベる」という感覚はわかったのでしょうか……。



友保
 「あ、ちがう」って。浮いたというのはわかった(笑)。今やったら評価されたんですけどね……。あれはほんまに「初スベり」ですよね、人生の。

——人生初スベりは節分のお面。でも鬼なんか誰も見たことないですからね。

友保 
いや、NHKの歌でもあった。「つのつのいっぽん赤鬼どん」。鬼のパンツもありましたね。そもそも俺らドリフで見てたんですよ。

——友保さんはドリフみてたんですか?

友保
 ドリフみてましたよ。俺らのころは『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』だったけど。でも土曜はやっぱあれやないですか、『キテレツ大百科』。

——『キテレツ大百科』 は日曜ですね。

友保
 そや、日曜や。こち亀の前や。めっちゃ見てた。曲もいいんですよ。TOKIOも歌ってたし、俺『すいみん不足』がめっちゃ好きやったんですよ。あとコロッケ作るやつね、キャベツどこいったっていう(『お料理行進曲』)。『キテレツ大百科』は歌がめっちゃいい。みよちゃんがディスコ行くやつめっちゃおもろい。大人になっちゃうやつね(『ボディーだけレディー』)。コロ助みたいなかわいいキャラいないでしょ。マジでかわいいのにあんま評価されてない。

——語尾に「ナリ」ついてますし。

友保
 刀の先にタイヤついてるし。

——幼稚園児・友保さん作、キテレツ鬼のお面も、今だったら評価されてたかもしれないですね……。

友保 
今やったら評価されたんですけどね……多様性だから。

取材・文/西澤千央 撮影/Peta Photo Studio

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