
「とくダネ!」(フジテレビ)で22年間司会を務めた小倉智昭さんが12月9日、闘病の末に死去した。テリー伊藤さんといえば、ディレクター時代だった頃から小倉さんと40年以上もの親交があり、「とくダネ!」と同時間帯に放送され、加藤浩次さんとともに司会を務めた「スッキリ!!」(日本テレビ系)では視聴率争いをしたライバル的存在でもあった。
そんなテリー伊藤さんが小倉さんの思い出を語った。
睡眠時間は4時間
通勤前の会社員や主婦、学生や高齢者などの視聴者たちが愛した朝のワイドショーといえば、小倉智昭さんが司会を務めた「とくダネ!」と、テリー伊藤さんが加藤浩次さんとともに司会を務めた「スッキリ!!」。
両番組は同じ時間帯に放送され、真っ向から激突したライバルだった。
テリーさんは小倉さんとの思い出をこう振り返る。
「制作スタッフとかはNHKの朝ドラが終わったら(視聴者は)『とくダネ!』か『スッキリ!!』のどっちを見るのかってものすごい気にはしてましたよ。それで僕がやってたラジオ番組『テリー伊藤のフライデースクープ』(ニッポン放送)で小倉さんと話をした時なんかも“最初『モーニングバード』にもいってたらしいけど、このごろはいかなくなった”なんて話もしてたくらいで、僕らの番組はものすごい視聴率争いしてたんです。
でもね、僕らは正直ライバルなんて意識よりも“戦友”だった。雪の寒い日なんかに朝起きると“小倉さんも起きた頃かな”なんて思って同じ仕事をする仲間みたいな感覚でした」
当時のテリーさんは小倉さんと起床時間についてもラジオで話したという。
「俺は朝4時50分起きで5時40分だかに家を出てたけど、小倉さんは早くて23時に寝て起きるの3時だってよ?血圧測ったり新聞読んだりゆっくり2時間かけて支度して、5時に出るって。たまげましたよ。
睡眠時間4時間もないじゃないですかって言ったら“毎日8時間寝てる人よりも、俺は年間でいったら2ヶ月も長い時間、活動してて得なんだ”って言ってさあ。真面目な人なんですよ、あの人は」
「またスポーツやりたい」
スポーツから政治、経済まで多岐にわたり、豊富な知識をもとに鋭い言葉をお茶の間に投げかけてきた小倉さん。「スッキリ!!」時代のこんな思い出を振り返る。
「小倉さんはアスリートの力を見抜く力があったよね。五輪の選手の見立てはもちろんのこと、アマチュアのスポーツの動向なんかも詳しかったから、よく小倉さんに話を聞いたもんですよ。それで聞いた話をちゃっかり自分が知ってることのようにしゃべっちゃったこともあったなあ……」
小倉さんとは40年以上、付き合いのあったテリーさんだが、プライベートで一緒に食事や飲みに行くことはなかったという。だが、あるとき小倉さんから「テリーさんオシャレだから、俺の服みつくろってよ」と言われ、一緒に洋服を買いに行ったこともあったのだとか。
「青山のUNITED ARROWSかなんかに行ったなあ。小倉さんといえばスーツのイメージでしょ?でも背も高いしさ、どんな格好しても似合うと思って、小倉さんに似合いそうなジーンズとジャンパーをお勧めしました。
その後、その服を着てる小倉さんは見られなかったけど、多分どこかで着てくれたと思います」
29歳の時に東京12チャンネル(現在のテレ東)を退社、フリーアナウンサーとして大橋巨泉事務所(現在のオーケープロダクション)に所属し、数年前にオールラウンドに移籍し、株式会社PTPの社外取締役としても活躍していた小倉さん。
「巨泉さんはリタイア後の人生を楽しんだけど、小倉さんはその時間があったのだろうか。小倉さんはスポーツ好きだったから、よく“またスポーツやりたい”なんて言ってたのを聞いたものです。その時間を楽しんでほしかったなあと思います。真面目で仕事に意欲的で輝かしい人生を歩んできた方だからね。本当に残念だし寂しい」
小倉智昭さんのご冥福をお祈り申し上げます。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班