
48歳、人生の折り返しを過ぎて「結婚」を目標に婚活を始めた漫画家・中川学が描く漫画『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』。年収200万円、身銭を切ってマッチングアプリに登録して初めて気づいたこととは……。
年収200万円、身銭を切ってもマッチングアプリをする男
――中川さんの漫画『婚マン』でマッチングアプリをしていく中で、「“子作り”に一緒に取り組んでくれるような若い女性と結婚できる確率は“0%”だと気づいた」(第6話より)とお話しされていました。それでも中川さんが「結婚」にこだわる理由はなんなのでしょうか?
中川学(以下同) 結婚して、家族というグループに所属して、安心したいのだと思います。
僕は、今までの人生、“所属”に失敗してきました。
僕が小学生の頃は、ちょうどファミコンが流行っていたのですが、そのブームによって、放課後、誰かの家に集まり、“代わりばんこにプレイする”というファミコン友達グループが、クラスのあちこちにできました。
でも、僕はどのグループにも所属しませんでした。友達がゲームをする様子をただ見守る時間が、不毛に思えて耐えられなかったからです。
ファミコン友達グループに所属しなかったことによるのか、親しい友達ができないまま中学生になりました。僕は「仲良しグループを作って所属して、自分の居場所を確保したい。」と思いました。しかし、うまくいきませんでした。
なので、全然やりたくなかったけど、野球部に入りました。所属先を無理やり決めたんです。でも、自分の居場所という感じではありませんでした。
高校生のときも同じように「つらい」イメージしかなかったのに陸上部に入りました。
大学に入ってからは数学研究室の一員だったのですが、ここでも馴染めず…当時はひとりで映画ばかり観ていました。
大学卒業後は学校の先生になったのですが、そこでも職場に馴染めずに失踪して、そこから流れに流れて漫画家という無所属の人になって、今に至ります。
――漫画家を目指す中では「トキワ荘プロジェクト」に参加し、シェアハウスの暮らしも経験されていましたよね? そこでの“所属”というのはどうでしたか?
ああ、それがありましたね! そのときは楽しかったです。初めて自分の居場所ができた感じはありました。みんな、トキワ荘プロジェクトに参加・所属はしているけど、創作などの活動自体はそれぞれ個々でしていました。
「シェアハウスに一緒に住んでるだけ」みたいなゆるいつながりがよかったのかもしれません。あと、「漫画家になる」という共通の目標があったことはとても大きいですね。
その後、シェアハウスから出て一人暮らしを始めて、やっぱり一人は気楽でいいなと思った一方で、なんかちょっとこのまま無所属でいいのか……結婚して家族という族、トライブに所属したいかも、と、うすぼんやりと考えていた時にコロナになって……という感じでしょうか。
婚活アプリを始めて衝撃を受けたこと
――「結婚」と「付き合う」はやはり全然違いますか?
うーん、制度や法律上のことはもちろんあると思いますが、それ以外の部分の違いを見極めたいから婚活しているのかも……。
――少しずつ気持ちに変化が出てきているんですね。婚活を始めたての頃と比べて、ほかに変わったことや発見などはありましたか?
マッチングアプリをやってみて、婚活している人の多さに衝撃を受けました。
――マッチングアプリを始めて婚活や婚活アプリに“所属”しているという感覚が芽生えたりも?
所属している感覚は流石にないです(笑)。でもアプリの使用期間が長くなってくると、何度も見かけるユーザーさんがいたりして、そんなときは「共に頑張ろう! 同士!」という気持ちには若干なります。#2へつづく
インタビュー#2へつづく
取材・文/ライター神山 撮影/井上たろう
★婚マンお見合い相手募集
漫画「婚マン」では、作者の中川学先生が本気で婚活に取り組むその実態を描いています。集英社オンラインでは、本気でパートナーを探している中川先生とお見合いしてみたい、一度お話してみたい、という方を募集しています。プライバシーや個人情報を厳守することはお約束しますので、中川先生とお見合いしたいと思う場合は下記までご連絡下さい。
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