
元「尼神インター」の誠子が、今春にカナダ・バンクーバーで自身初の海外公演を開催! 人気コンビを解散してからの約1年間、メディア出演の他にしていた活動や、なぜピン芸人になって海外公演に挑戦するのかなどを聞いた。
「カナダ人に求婚されたらそのまま嫁いじゃうかもしれない」
誠子さんは渚(現・ナ酒渚)さんとお笑いコンビ「尼神インター」を組み、ボケを担当していたお笑い芸人。2007年に吉本興業からデビューし、さまざまなメディアで活躍、女性芸人のなかでも指折りの知名度と人気を誇っていた。
しかし、2024年3月に突然の解散を発表し、誠子さんは吉本興業を退社。現在はフリーのピン芸人として幅広いタレント活動をしており、今年春には自身初となる海外公演を行うという。
――昨年12月に東京・下北沢で開催した、ピンになって初めてのソロ公演で、バンクーバー公演の告知をされていました。もしかして海外逃亡してカナダで婚活するとか?
誠子(以下、同) 逃亡でも婚活でもなく、ちゃんとした短期留学なんですよ(笑)。でも、今それを言われて、ありかも!と思いました。
ずっと結婚はしたいんですよ、仲のよい両親を見てきたので憧れてます。好きな人と結婚したいです。
フリーになって芸人以外の知り合いも増えて、吉本にいた頃よりも兆しが見えますね、自然恋愛できるかもって。
カナダ人に求婚されたらそのまま嫁いじゃうかもしれないし(笑)、何が起こるかわからないからワクワクします。
あと昔は恋人や好きな人に笑いのセンス的な「面白さ」を求めてたんですけど、今は絶対条件じゃなくなってますね。収支計算が早いとか、人に対して素敵と思うことが増えたんですよ。
とにかくフリーになって、自分でも1年後に何しているかわからないって感じなので、もしかしたら結婚してるかも(笑)。
――ちなみに、好きな男性のタイプはどんな人ですか?
行動力がある人は素敵って思いますね。あと「面白さ」の定義も昔と変わったので、トーク力や大喜利力みたいなお笑いの面白さだけではなくて、生き様とか知性や教養などの面白さにも惹かれますよね。
1週間の留短期学で覚えた英語でネタ披露!?
――オアシズ・光浦さんのように海外移住をするわけではなく、あくまで短期留学なんですね。
もともと海外でお笑いライブをしたいってずっと思っていて。そんなとき、カナダにある社会人留学を推進する企業から「1週間の短期留学をしませんか?」というお誘いが来たので、これはいいチャンスだと思って。
「留学の最終日に覚えた英語でお笑いライブをやらせてください」って自分からお願いしたんです。
その企業は「誰もが気軽に海外に来てほしい」というカジュアルな留学を応援しているので、1週間だけですね。自分の活動にも活かせるかなと思って。
――カナダでどんなお笑いの公演をするのか決まっているんですか?
実はまだぜんぜん決まってないんです(笑)。
これから、カナダで流行っているスタンダップコメディの映像とか送ってもらって、カナダ人の笑いのツボを勉強しようかなと思ってるぐらいなので。
スタンダップコメディもいいけど、落語をできたらいいなと考えてます。やるとしたらカナダ人が知っている題材をベースにした落語を英語でするとかかな。
チケットは手売りもしたいなと思ってるし、私が留学中に通う語学学校の生徒とか、現地に住んでいる日本人とかに見てもらえたら、幅広い客層になりそうです。
開催する場所も未定で、今まさに計画を詰めている状態なんですよね。
――バンクーバーには留学する前に下見などに行かれるんですか?
いえいえ、行きません。下見なしのぶっつけ本番です。しかも、海外はテレビのロケとかで何度か行ったことはありますけど、プライベートで行ったことないんですよ。
海外進出を具体的に考えてるわけでもないんですけど、カナダの番組とかメディアに出てみたいですね。ほかにも機会があればいろんな国のメディアに出てみたい。
――海外経験が豊富なわけでもなく英語がしゃべれるわけでもない誠子さんが、いきなりバンクーバー公演をやるという時点で、すでに面白いですよね。
自分でも面白いです(笑)。バンクーバーでどんな新しい自分の気持ちに出会えるか、ワクワクしてます。何を感じて、何に苦労して、何が難しくて、どんな気持ちを体験・体感できるのか楽しみですね。
あと、バンクーバーに行って、日本のことがより知れるから、日本のよさを再発見できるはず。
立体的に世の中や物事、お笑いなど自分の好きなものが見えてくるはずだし、自分の芸と人生の幅が広がりそうで、それも楽しみです。
自分の感情に「不安」「トラブル」ってカテゴリーはない
――誠子さんのお話を聞いていると、ノープランなわりに海外公演への不安などを感じてないように見えるのですが……。
不安はないですね。もともと自分の感情のカテゴリーに「不安」っていうのがない。トラブルがあっても結果笑いにつながるし。
例えば、今回の海外公演までめっちゃ勉強して当日全部ネタ飛ばすとかしても、それはそれで最高に面白いと思うんですよ、後々のトークのネタになるし(笑)。
このあいだ(昨年12月)大阪でソロ公演やったときに、インディーズライブをやるような劇場やったんで、私の落語中に外を走る救急車の音とかガンガン聞こえてたんですよ。
それも「こんな壁の薄いアパートに住んでるからや!」「あんたの稼ぎがないから!」って、アドリブでネタに取り入れたんです。
そういうのが、生のライブならではだし、私はトラブルが起きたとしても、それをそもそも「トラブル」というカテゴリーに入れてないですね。
――そのマインドは芸人になってから培われたんですか?
芸人になってからですね。お笑いと出会ってから自分の人生が変わったというか、まさに冒険の始まりで。もともとお笑いが好きだったけど、お笑いの素晴らしさとかたくましさとかに気づく毎日です。
悲しかった出来事が翌日トークになって笑いになる、やっぱお笑いって魔法みたいなものなんやなって改めて気づきました。
〈後編はこちらから『LINEで吉本に退社を告げた、元・尼神インターの誠子、フリー芸人になった真相』〉
取材・文/十六夜瑠奈(A4studio) 撮影/井上たろう