〈長寿番組打ち切り続出〉『行列』『スッキリ』『ワイドナ』終了はテレビ界にとって明るい兆しなのか…フジテレビ問題をきっかけに2025年は大変革の予感
〈長寿番組打ち切り続出〉『行列』『スッキリ』『ワイドナ』終了はテレビ界にとって明るい兆しなのか…フジテレビ問題をきっかけに2025年は大変革の予感

2002年4月からレギュラー放送がスタートした人気バラエティー番組『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)が2025年3月に終了する。ここのところ、各テレビ局では長寿番組の終了が相次いでおり、テレビ界の変革を予感させている。

ここ数年で終了した主な長寿番組

日本テレビでは約29年間放送してきた情報番組『ズームイン!!サタデー』も3月末に終了する見込み。日テレ系列・読売テレビ制作の『ウェークアップ!』も、同時期に34年の歴史に幕を下ろす。

昨今の主な長寿番組の終了は以下の通り。

『サラメシ』(2011年5月~2025年3月、NHK)
『東野・岡村の旅猿プライベートでごめんなさい…』(2010年10月~2025年3月、日本テレビ系)
『ワイドナショー』(2013年10月~2025年3月、フジテレビ系)
『きらきらアフロ』(2001年4月~2024年9月、テレビ東京系)
『世界一受けたい授業』(2004年10月~2024年3月、日本テレビ系)
『日立 世界・ふしぎ発見!』(1986年4月~2024年3月、TBS系)
『TOKIOカケル』(2012年10月~2023年9月、フジテレビ系)
『タモリ倶楽部』(1982年10月~2023年4月、テレビ朝日系)
『スッキリ』(2006年4月~2023年3月、日本テレビ系)

また、中居正広氏が芸能界引退を発表したことで、2001年から続いていた『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)も、今年1月に正式に打ち切りが発表された。

しかし、これらはまだ始まりにすぎず、2025年度はますます長寿番組の打ち切りラッシュが加速する可能性があるという。

「テレビ局は知っての通り、視聴率低下により広告収入がガクンと落ちています。それによって、長寿番組だろうが、採算のとれないものは容赦なく打ち切りの対象になってきているのです。

2018年にはフジテレビの業績悪化などもあり、『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』といった局を代表するような看板番組を同時に終了させましたが、まさにこの二番組は製作費が高いわりに視聴率が取れていない番組の筆頭でした」(テレビ局関係者、以下同)

2022年2月にはNHKで、『ガッテン!』が終了した。前身番組の『ためしてガッテン!』から数えると約27年の歴史があったが、この打ち切り理由について当時、NHKの正籬聡(まさがき・さとる)放送総局長は定例会見で「長寿番組も始まったばかりの番組も含めて聖域なく見直す」と語っていた。

テレビ局の“聖域”が撤廃された?

つまり裏を返せば、テレビ局には“聖域”と呼ばれるほどに、どんなことがあっても打ち切り候補にあがらない番組があったということだろうか。

「広告収入が落ちたことはある意味、“聖域”になっていたお荷物番組を切ることができる理由にもなりました。視聴率低下とお金(製作費)のことを出されては反論のしようがありませんからね。さらに今回のフジテレビ騒動で、“コンプライアンス”という名の下でまた、多くの聖域番組が打ち切り対象にあがり始めると考えられています」

ラジオ番組ではあるが、TBSラジオの『生島ヒロシのおはよう定食』と『生島ヒロシのおはよう一直線』が生島のコンプラ違反によって終了したことは、まさにその典型例であった。

「長寿番組はその番組の中だけででき上がった謎のルールがあったり、そうした悪習が時代から大きく取り残されていることがあります。

テレビ局の古い体質を変えるには、まずは長寿番組の解体こそ、最善の一手だとも思います」

2024年2月、元テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏は自身のラジオ番組『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』で、長寿番組だけを長年担当しているテレビスタッフは、それが終わったときにほかの番組では使い物にならないことがあると指摘している。

「決まったことしかできないから、その番組の中のルールしか知らないから、だから潰しがきかなくなるんだよね」と語っていた。

「ただもちろん、長寿番組がすべて悪いわけじゃありません。例えば、『笑点』(日本テレビ系)、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)などはいまだに大人気で、局を代表する番組になっています。番組が長く続く秘訣は結局、コンセプトを変えないこと。『開運!なんでも鑑定団』『出没!アド街ック天国』(ともにテレビ東京系)も、ブレずに番組の内容を一貫することで人気を保っています」(前出・テレビ局関係者)

「長寿番組」に視聴者が求めていることとは

「また、長寿番組が放送され続けることで幅広い世代の視聴者に与える“安心感”は、社会的にも大きな役割があると感じます。フジテレビで55年以上続くアニメ『サザエさん』はその代表的な例。この番組がもしなくなってしまうと、日本社会全体に小なからずマイナスの影響を及ぼす気がしてなりません」

ネット上でも長寿番組が“存在していること”の安心感に支えられていると明かす声は多い。

〈一人暮らし中のサザエさんの安心感半端ない〉

〈今、サザエさんを40年振りに見ているのだが、なんか普通に安心するな。感無量だ…〉

〈長く続く作品ってたとえ自分が見ていないとしても続いている安心感がありますよね。この先もしも終了するときが来たらショックは大きいと思います〉

〈久しぶりにサザエさん見たら、何だろう、このホッとする感じ〉

時代とともに変わっていくことは不可避だが、変わらないことで生まれる価値もある。そこのバランスを今、テレビ界では模索しているに違いない。

取材・文/集英社オンライン編集部

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