〈喫茶店に100人待ち〉富士吉田が「ホットスポット」に…バカリズム脚本で話題のドラマ、ロケ地大盛況の火付け役は…
〈喫茶店に100人待ち〉富士吉田が「ホットスポット」に…バカリズム脚本で話題のドラマ、ロケ地大盛況の火付け役は…

バカリズムが脚本を担当するドラマ「ホットスポット」。その舞台となっている山梨県富士吉田市のロケ地が思わぬ大盛況となっている。

劇中で登場する老舗喫茶店は平日でも2~3時間待ちの行列をなすことも…。そんな文字通り“熱いスポット”となっている背景には、地元の観光団体の並々ならぬ努力があった。

ロケ地の喫茶店は、連日の大行列

バカリズムが脚本を担当する日曜ドラマ「ホットスポット」(日本テレビ系列)。

舞台となるのは、富士山麓の山梨県の田舎町。市川実日子扮する主人公の遠藤清美は、地元のビジネスホテルで働くシングルマザーだ。物語は、そんな遠藤の職場の先輩である高橋さん(東京03・角田晃光)から

「実は俺…宇宙人なのね」

と正体を打ち明けられたことから始まる“地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー”となっている。

開始早々SNSを中心に好評を呼び、前作の『ブラッシュアップライフ』(バカリズム脚本)のキャストも多数出演していることから話題を集めた。

さらに作中では“富士浅田市”と表されているが、実際のロケ地は、山梨県富士吉田市。

富士山の絶景スポットが多く点在することから、インバウンドを中心に人気の高いエリアだが、ドラマ放送開始以降は、ロケ地を訪れる日本人観光客も急増している。

なかでも特に注目度が高いのが、主人公の遠藤と、中学時代の友人役の平岩紙や鈴木杏らが足しげく通い、他愛もないおしゃべりに花を咲かせている老舗喫茶店「もんぶらん」だ。

実際に店を切り盛りするオーナーの奥さんに話を聞いてみると、

「正直、連日のお客さんの数に圧倒されています。これまでもグルメ番組からの取材依頼などをいただいたことはありましたけど、地元の常連客のために全て断っていました。

だけど、今回は『外観だけ使わせてほしい』ということでしたので、それだったらと初めて承諾しました。

『何話のどのシーンにでるのかな~』ぐらいに思っていたんですが、結構がっつり使われていて、びっくりしました(笑)」

同店ではドラマ開始以降、県外からの来店客が急増し、土日祝日は100人待ち、平日でも2~3時間待ちはざらだという。さらにドラマで使用されたパフェ「かくれんぼ」は注文が急増。店側も対応を迫られ、仕入れ数も大幅に増やしたという。

そんなオーナーの奥さんもドラマ「ホットスポット」の一視聴者だといい、

「シュールな場面から一気に緊張を解くような絶妙な笑い、女優3人の掛け合いなど、いつも楽しくドラマを拝見させてもらってます。こちらも営業面では多忙を極めていますが…ドラマと一緒に最後まで走り抜けたいと思います」

とうれしい悲鳴をあげていた。

放送翌日アップの“早技”

そんなロケ地のにぎわいに大きく貢献しているのが、富士吉田市の観光イベントやガイドを手掛ける一般社団法人「ふじよしだ観光振興サービス」の小俣侑樹さんだ。

「ドラマのティザービジュアルが、富士山のビュースポットである『富士みち(本町通り)』だったんです。これはもしかすると、富士吉田市がメインロケ地になるのでは…と期待が膨らみました」

同団体が手掛ける「富士吉田市観光ガイド」では、ドラマに登場する喫茶店や居酒屋など主要7店舗のほか、富士山絶景スポットや交差点、路地に至るまで特集を組んで手厚くロケ地を紹介している。が、その力の入れようは半端なものではなかった。

「当時、『ホットスポット ロケ地』で検索しても、さほど情報がない状況だったので、まず放送前に予告PVを見て、特集コンテンツを作成しました。放送後は、いち早くロケ地情報を更新するため、放送確認後、翌日の午前中にはロケ地の撮影に出かけて記事をアップしています」(小俣さん、以下同)

日曜夜の放送後、早くとも翌月曜の午後にはホームページに新たなロケ地情報がアップされている“早技”で、あっという間にドラマファンが聖地巡礼に押し寄せる事態にまで発展したのだ。

アクセス数も急増

さらにこだわりはこんなところにも…。

「できる限り、ドラマ内で登場した角度で撮影しようと、当日の放送とその後のTver配信を隅々まで確認しています。

あとは富士山が見えるスポットに関しては、より綺麗に映るようにと、天候のいい日を狙って更新しています」

通常のドラマの場合、地元住民以外はどこがロケ地なのか詳しい場所が分からず、「行きたくても行けない」というロケ地難民が出るケースの方が多い。

撮影後、まもなくしてSNSなどでロケ地が特定され、聖地巡礼ブームが起こるのが常だが、今回は放送後翌日にホームページにアップする早技が功を奏し、ドラマと同タイミングで聖地巡礼のブームが起こっていた。

実際、同サイト内の2月中のアクセス数は、ロケ地特集が圧倒的1位となっており、サイト全体のアクセス数も前年と比べ約80%も伸びたという。

「ロケ地特集は、これまで一番アクセス数が多かった『新倉山浅間公園桜まつり』の特集と同等の人気コンテンツとなりました。今までインバウンドの割合の方が多かったんですが、ドラマの影響で、日本人観光客の姿も多く見かけるようになりました」

とドラマさながらの“ホットなスポット”と化している富士吉田市。最後に最終回(3月16日)まで残り2話となったが、今後の意気込みについて聞いてみた。

「毎週の放送を楽しみに視聴していたので、残り2話で終了してしまうのは名残惜しい気持ちもありますが、富士吉田市に初めて来る方でも『ドラマで映った場所だ!』と分かるように今後も記事の作成・更新を続けていきたいと思います。

ホットスポットのキャストの方々にも、ぜひ富士吉田市に遊びに来ていただきたいです」

ドラマの展開はもちろん、“ホットなスポット”となっている富士吉田市の今後にも目が離せない。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

編集部おすすめ