
ゲームメーカー大手「任天堂(京都市)」は27日、6月5日に発売する新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(以下スイッチ2)」を含む関連商品の不正な出品行為を防止するため、フリマ事業者3社と協力することを明らかにした。事業者は、メルカリ、LINEヤフー(Yahoo!オークションおよびYahoo!フリマ)、楽天グループ(楽天フリマ)、となる。
メルカリ、オークション機能停止へ
「これまでチケットのジャンルではオークション機能を停止していました。スイッチ2という具体的な商品についてへのオークション機能停止は初の試みです」
フリマアプリ大手「メルカリ」は27日に自社のホームページで、「メルカリと任天堂、安心・安全な取引環境構築の推進に関する取り組み実施に合意」と題したリリースを公表した。任天堂も同日、転売対策を目的とした対策について、フリマ事業者3社と協力することを明らかにした。
SNS上では、「不正出品」が一時的にトレンド入りし、「任天堂が本気で動いた、というよりもフリマサイトが本気で動けば不正な出品の防止出来るんだ」、「本気で転売ヤーを撲滅しに行ってくれてるの嬉しすぎるな」などのコメントが寄せられた。
メルカリも転売対策に乗り出した。メルカリは出品者が指定した額に購入者が納得した際に、商品を購入できる仕組みである。
ところが今年から、同社は購入者同士でより高い金額を出し合う「オークション制度」を導入した。ただ、チケットといった転売目的で出品されることが多いため、チケットというジャンルでは機能を停止していた。
今回の任天堂との協力について、メルカリの広報担当者はこう述べた。
「具体的な経緯や議論内容については非開示とさせていただいておりますが、メルカリのメリットとして、お客さまが、より安心・安全に、それぞれの商品・サービスをご利用いただけける環境が構築できると考え、今回の合意に至りました」
任天堂も集英社オンラインの取材に対して同様に「合意内容や形式、経緯などの詳細はお伝えしておりません」と回答した。
スイッチ2をめぐっては、品薄になることが懸念されている。
これまで抽選販売は2回行われているが、任天堂は転売対策のため、有料会員サービスに一定期間加入していることなどの条件を設け、抽選に参加できる人を限定した。それでも落選者は多く、SNS上でも松山ケンイチや藤田ニコルなどの著名人らも相次いで落選報告をした。
前出のメルカリ広報の担当者は、「スイッチ2などの価格高騰が予想される特定の商品については、購入される方に対し商品価格高騰時のアラート表示を行うなどの取り組みをしている」と説明する。購入画面で価格が急騰していることをアラートで知らせる仕組みだ。
相次ぐ転売ヤーの無在庫出品の対策は...?
とはいえ、出品方法に制限をかけることでフリマアプリとしての売上も下がる可能性がある。
あるメルカリの関係者はこう内情を明かす。
「コロナ禍ではマスクや消毒液などの出品が相次ぎ、高額で売りに出されることが問題視されました。自宅での滞在時間も増え、スイッチなどのゲーム機も同様でした。そこでメルカリでは企業倫理、経済学などの識者を入れ、半年以上かけて議論が行われたんです。
需要供給の市場原理に重点を置いてはいるものの、一時的な価格の急騰など、顧客を混乱状態にしたくない側面もありました。
とはいえ、各フリマサービスを悩ませているのが無在庫出品だ。
現在、発売前にもかかわらず、スイッチ2は定価(49,980円/税込)を大きく上回る10万円前後での出品が相次いでいる。手元に品物がない状態からの出品をする行為は、「無在庫出品」と呼ばれ、任天堂と協力を表明した3社いずれも禁止している。
前出のメルカリの広報担当者は無在庫出品の対応について、AIやビッグデータをもとに戦っているという。
「365日24時間体制で、当社の利用規約に違反する商品の自動検知システムおよびカスタマーサービスの目視により、出品や取引を常時監視し、出品禁止物の排除に努めております。
上記システムでは、商品情報や取引にかかわる豊富なデータとAIを元に、禁止出品物と思われる商品や、十分な情報のない商品等については商品の削除やお客さまへの警告を行っています」(前出担当者)
今度こそ転売ヤー“撲滅”なるか――。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班