かつて若者の街として賑わっていた渋谷がいま、大変貌を遂げている。再開発により駅周辺には大規模なビルが立ち並び、工事はやむことなくいつまでも続いている。
巨大な建物はどれも耳慣れない名前
「え、ストリームってどうやっていくの?」
「全然分かんない。渋谷、マジで使いづらくなったんだけど」
4月上旬、平日夕方の渋谷駅を訪れると、JRハチ公改札を出たところで、40歳前後の男性2人がスマホ片手に愚痴をこぼしていた。ヒカリエ、スクランブルスクエア、ストリーム、フクラス、サクラステージ、アクシュ――。
確かに、ここ十数年で次々とできた巨大な建物はどれも耳慣れない名前をしており、普段から渋谷を使い慣れていない人からすると位置関係も掴みづらいだろう。
変わったのはビルだけではない。東急東横線は地下深くに潜り、銀座線のホームも上空へと移設され、埼京線・湘南新宿ラインの乗車位置も変わった。
乗り換えのたびに何度も階段やエスカレーターを昇り降りする必要があり、しかもその通路もあちこちで工事をしていて分かりにくい。かつての渋谷を知っている人からすれば、使いにくくなったと思うのも無理はない。
JR渋谷駅「乗車人員、10年前から12.7%減」
実際、ターミナル駅としての渋谷の魅力は相対的に落ちているといえそうだ。JR東日本が発表している乗車人員で比較すると、2024年度の渋谷駅の乗車人員数は32万4414人で、10年前から12.7%減となっている。
コロナ禍の影響がまだ残っているとはいえ、10.9%減の新宿や9.2%減の池袋よりも減り幅が大きい。
東京メトロの乗降人員数で比較すると、渋谷は9.9%減で、2.2%減にとどまった池袋と大差がついた。渋谷駅を回避する動きがじわりと広がっていることは間違いない。
実際に渋谷を歩いてみると、その理由はよく分かる。センター通りを歩くと、どこもかしこもインバウンドが我が物顔で歩いており、路面店は英語で書かれたメニューを掲げる、外国人観光客を意識した店ばかりだ。
買い物の場も主戦場はインスタグラムやTikTokへ
横並びになってスマホでセルフィーをる撮る欧米人がいれば、急に踊りだすアジア系の観光客もおり、ブランドショップの紙袋を両手に抱えた中国人が満面の笑みで歩いていた。
路上にはあちこちにインバウンドが食べ散らかしたゴミが落ちており、外国人観光客に媚びることでしか生き延びることができない発展途上国のような退廃的な雰囲気が漂う。
都内のある私立高校では、渋谷駅周辺はトラブルに巻き込まれる可能性があるので、近づかないようにという指導がされているという。
買い物の場も主戦場はインスタグラムやTikTokといったSNS起点のECに移りつつあり、ギャルの聖地と呼ばれたSHIBUYA109の福袋を求めて全国から高校生が集まった平成時代のような熱狂はどこにもない。
駅前に次々とできたビルも、外見こそは最新鋭のピカピカだが、どうにも覇気がない。24年に開業した渋谷サクラステージを訪れると、一目瞭然だ。
オープンしてまだ間もないというのに館内は空きテナントが目立ち、エスカレーター近くの一等地ですら使われていない。スターバックスもタリーズもガラガラで、都心にこれだけ空いているカフェがあるのかと感心するほどだった。
おじさんたちは「渋谷は終わった」と嘆くが…
これは、サクラステージに限った話ではない。ヒカリエの隣に24年に完成した渋谷アクシュも、渋谷駅から直通であるにもかかわらず飲食店は空いており、店員が暇そうにしていた。
こうした状況をみて、「渋谷は終わった」と嘆く中高年が多いのも無理はない。
渋谷を渋谷たらしめた雑多さが失われ、駅前の一等地に建つ無機質なビルがガラガラだというのであれば、再開発は失敗だったと結論づけたくなるのは人情だろう。SNSに渦巻く、「昔の渋谷を返してほしい」という声にも頷きたくなる。
もっとも、こうした見方はあくまで素人の声にすぎない。不動産業界からは、全く異なった評価が聞こえてくる。
「渋谷駅周辺の開発は、近年の東京の再開発の中でも、最もうまくいった例ではないか」
オフィス仲介を手掛けるA氏はこう断言する。これだけガラガラなのになぜ――と疑問が真っ先に出てくるが、答えは低層階の商業施設ではなく、中~高層階のオフィス部分にあった。
高層ビルのオフィス部分はどこもほぼ満床
渋谷駅を取り囲むように次々と建てられた高層ビルのオフィス部分はどこもほぼ満床で、入居待ちの企業が列をなしている。
1坪あたりの賃料はどこも5万円を超えており、日本橋や六本木を抑え、丸の内に次ぐレベルとなっているのだ。
グーグルの日本法人が港区の六本木ヒルズからストリームに移転したのは2019年。渋谷にはサイバーエージェント、GMOインターネットグループ、MIXI、DeNAといった日本を代表するIT企業が集積し、関連企業や取引先も次々と移ってきた。
こうした企業で働く人々はあまりスーツを着ないため目立たないが、渋谷はすでに若者の街ではなく、丸の内や日本橋のようなオフィス街となっていたのだ。
東急によると、2012年の時点で約44万人だった渋谷駅周辺の就業人口は10年間で33%増の58万人となり、さらに増加が続いている。
平日の日中、丸の内の商業施設がそうであるように、オフィス街に併設された商業施設は、それ目当てで訪れる人で混むようにはできていない。あくまで主役はオフィスだ。
商業フロアがガラガラに見えても、事業に与える影響は軽微だ。その証拠に、渋谷駅の再開発を手掛ける東急と東急不動産の2社とも、渋谷再開発によって業績は絶好調だ。
再開発がひと段落すれば力は吸引力は増す
今後も渋谷駅周辺では大型再開発が待ち構えている。人手不足などを理由に当初の計画から大幅に遅れたものの、渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟の工事は始まっており、2034年度には首都圏最大級の商業施設が誕生することとなる。
「今は駅前と商業がリンクしていないので集客力も弱いかもしれないが、再開発が一段落すれば商業でも吸引力が増すだろう」(A氏)
東急グループだけではない。渋谷駅東口では東京建物と都市再生機構などが手掛ける大型再開発も進んでいるほか、道玄坂では三菱地所が、宮益坂ではヒューリックなどが参画する開発計画もある。
渋谷駅を取り囲むように次々と大型の高層ビルが立ち並び、オフィスや高級ホテルで賑わうようになるだろう。
こうした再開発を味気なくつまらないと思う人はいるだろうし、それも自然な感覚だろう。渋谷の再開発は昔から住んでいた貧しい人が排除される「ジェントリフィケーション」という文脈で批判されることもある。
しかし、街は生き物であり、手を加えなければ壊死していく。
チーマーやギャルといった渋谷発の文化
インバウンドとオフィス街になってしまった渋谷は、若者の街ではなくなったのか――。実は、そうでもない。
かつてホームレスのたまり場となっていた宮下公園を再開発して造られたMIYASHITA PARKの屋上公園を訪れると、そこには制服姿の高校生が集まり、ベンチや芝生に座っておしゃべりやSNSの発信に興じていた。
「昔が良かった」と叫び、再開発に反対するだけの人間の目には、新たな文化の芽吹きは映らないのだろう。
思えば、チーマーやギャルといった渋谷発の文化は、当時の大人に反抗して生まれたものだった。「渋谷に近づいてはいけない」というのも、20年前、30年前と変わらない。
平成から令和になっても、渋谷という街は、変わることを恐れる老害をあぶり出すリトマス紙としての役割を果たし続けているだけなのかもしれない。
文/築地コンフィデンシャル 写真/shutterstock

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