同じ年齢でも見た目の若い人とそうでない人がいる。こうした見た目年齢の差は単なる印象ではなく、体内で進む老化の速度にかかわっているという研究結果がある。
著書『糖質疲労』『脂質起動』が2作で累計24万部を超える糖尿病専門医の山田悟氏は「糖質の過剰摂取」が引き起こす「食後高血糖」が一因にあると説く。
山田さんの最新刊『糖質老化』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して、糖質が老化を招くメカニズと正しい食べ方を最新の科学的エビデンスをもとに解説する。
「糖化」とは何か── 血糖が細胞や組織にくっつく現象
糖質過多の食生活で食後高血糖と血糖値スパイクを起こしていると、高血糖による「糖化」が進みます。
糖化とは、たんぱく質に血糖がくっつく現象であり、からだをつくる細胞や組織の機能を軒並み低下させます。
私たちのからだは、約37兆個もの細胞からできています。そして、その細胞をつくる材料の大半はたんぱく質です。筋肉も、骨も、皮膚も、臓器も、血管も、すべてたんぱく質からできています。
血糖値が高い状態が続くと、血液中を流れる糖質(血糖=ブドウ糖)が、このたんぱく質にべったりとくっついてしまいます。これが糖化です。
たんぱく質に糖質がくっつくと、たんぱく質は本来のはたらきができなくなります。
筋肉のたんぱく質の糖化が進んでいると筋肉量が落ち、骨のたんぱく質の糖化が進んでいると骨がもろくなり、血管のたんぱく質の糖化が進んでいると動脈硬化が進行する──。
こうして、からだ全体の機能が低下したり、構造がもろくなったりしていくのです。
血糖値スパイクが「酸化ストレス」を生む
糖化と同時に起こるのが、「酸化」です。
酸化とは、呼吸で取り入れた酸素から生じる活性酸素によるものです。
酸化は細胞や組織を「サビさせる」反応であり、雨ざらしでサビた自転車が動かなくなるように、からだのはたらきもダウンします。
私たちは呼吸によって酸素を取り入れ、その酸素を使ってエネルギーをつくり出しています。この過程では、必然的に「活性酸素」という物質が生まれます。
活性酸素は、本来は体内に侵入した細菌やウイルスをやっつけるために必要なものです。しかし、活性酸素が過剰に発生すると、自分自身の細胞まで傷つけてしまいます。
金属が酸素に触れてサビるように、細胞も活性酸素によって「サビ」ます。これが酸化です。
血糖値スパイクで血糖値が乱高下すると、酸化ストレスが生じます。
からだには普段、有害な活性酸素を無力化する抗酸化酵素が控えています。この抗酸化酵素がうまく働いていれば、活性酸素による害は最小限に抑えられます。
しかし、この酵素のはたらきが落ちたり、その能力を上回る大量の活性酸素が生じたりした状態が、「酸化ストレス」です。
血糖値が急激に上がると、細胞には一気に大量の糖が流れ込みます。細胞はその糖を使ってエネルギーをつくろうと、発電所であるミトコンドリアをフル稼働させます。
しかし、エネルギーを生み出す過程では、お伝えしたように、必ず活性酸素という副産物が発生します。急激にエネルギー産生が進むほど、この活性酸素も過剰に生まれてしまうわけです。活性酸素は細胞や血管を傷つけ、老化や病気を進める原因になる物質です。
糖化と酸化をつないでしまう「老化物質」
つまり、血糖値の急上昇とは、細胞の中で〝過剰な燃焼〟が起き、からだを傷つける物質が大量に発生している状態でもあるのです。
さらに、血糖値が急激に下がるときにも、からだは大きなストレスを受けます。この上がったり下がったりの変動(血糖値スパイク)そのものが、酸化ストレスを増大させるのです。
糖化と酸化。この二つをつなぎ、老化を加速させてしまう物質があります。
それがAGEsです。「エイジス」と読んだりもします。
AGEsとは、日本語で「終末糖化産物」と呼ばれ、糖質とたんぱく質が不可逆的に結合することで体内で生じるものです。
からだをつくる材料の大半はたんぱく質ですが、そこへ食後高血糖などで血糖値が高くなると、たんぱく質と糖質が結合してAGEsができます。
AGEsは、高血糖により、たんぱく質が糖化したものなのです。
血糖値の数値を示す「ヘモグロビンA1c」も、AGEsの一種です。もっと身近な場面では、パンをトーストしたり、グリルでお肉を焼いたりしたときの「こんがり」がAGEsだと考えるとわかりやすいでしょう。
食べ物のAGEsはおいしさのもとになりますが、体内でつくられるAGEsは老化の引き金です。
トーストや焼肉といった食べ物に含まれるAGEsも一部は体内に入るため、こげたものを食べるのはよくないと主張する方がいるのはこの理屈からです。
ただ、高血糖により自らつくり出すAGEsが問題であることは明らかですが、幸いにして、外から摂取するAGEsについては問題を起こすことが証明されていません。いまの時点ではおいしく楽しんで問題ないでしょう。
紫外線対策120%でも、糖質老化対策を怠ると美白は叶わない
先ほど述べたように、体内には本来、抗酸化酵素などがはたらくことで、危険な酸化を抑える抗酸化作用がありますが、AGEsは、自らも酸化ストレスをつくり、また、その抗酸化作用のプロセスを邪魔することも示唆されています。
AGEsが生じてしまうと糖化と酸化は同時進行しやすくなります。
つまり……
高血糖になる→
糖化が起こる→
AGEsができる→
AGEsが酸化ストレスをつくり、かつ、抗酸化作用を邪魔する→
酸化ストレスが増大する→
細胞・臓器障害が生じ、その一環で血糖調節能力も低下する→
さらに高血糖になる→
糖化と酸化がどんどん進む
といったように、糖化と酸化は互いに影響し合い、悪循環を形成します。そして、この悪循環こそが、老化を加速させる最大の要因なのです。
若々しく見えるか、老けて見えるかを左右するもっとも重要な要因は「肌」だったそうです。それは、赤ちゃんと高齢者の顔を見比べれば、一目瞭然ですね。赤ちゃんはシミもシワもない、みずみずしいもち肌ですが、歳を重ねるほどにシミやシワがちらほら出てきて肌はカサカサになります。
肌の老化を進める第一の天敵は、紫外線とも言われています。紫外線は酸化を進めやすく、そのダメージでシミやシワができやすくなり、肌の乾燥も促されます。
そこへ追い打ちをかける第二の天敵が、高血糖でつくられる「AGEs」と言えるでしょう。
見かけに関していうならAGEsはシミとシワの元凶と言っていいかもしれません。
トーストしたパンやグリルした肉が褐色になるように、AGEsも褐色です。それがシミやくすみを濃く見せるという考え方があります。また、肌の土台となる真皮をつくるコラーゲン同士をAGEsが攻撃するとシワが深くなり、張りや弾力も失われるようです。
ですから、仮に日傘や日焼け止め、美白美容液などで万全の紫外線対策をしていても、血糖値が上がりやすい食事でAGEsによる糖質老化が進んでいたとしたら、もったいない話です。
文/山田悟
糖質老化
山田 悟
お昼を食べた後に眠くなる=「糖質疲労」、
放ったままにしていませんか?
糖質疲労を放置していると起こる
「細胞や内臓の変化」。
糖質老化を防ぐために……
◎避けるべきその1:カロリー制限
最新研究で判明! カロリー制限でやせると、結果的に太り、老けます。
◎避けるべきその2:すべての元凶「果糖」
お酒を飲まない「脂肪肝」、「心不全」が異常に増えている犯人は「果糖」。
からだじゅうを「脂肪まみれ」にしてしまう、この「果糖」の怖さに迫ります。
エビデンスの「質」に圧倒的定評のある、糖尿病専門医・山田悟医師による、
世界最先端の「糖質とうまく付き合う方法」とは!?
「老けない食べ方」も、本書でご紹介しています。
「“糖質過剰摂取”を、次の世代の負の遺産としてはいけない」
という山田医師の強い思いから生まれた
『糖質疲労』『脂質起動』『糖質老化』の3部作、
糖質が、疲労感だけでなく「内臓の変化」「つくはずのないところへの脂肪」
といった健康被害をもたらすことを、懇切丁寧にご紹介。
「小見出しがたくさんで、とことん読みやすい健康本」と評判の本書で
ご自身やご家族のための、ただしい健康知識をアップデートしてください。
<目次より>
甘いものへの欲求を我慢せず
太らず、老いず、
内蔵を長持ちさせる「食べ方」があります。
・中年太りの人は「すい臓疲労」している
・「果物は低GIだからOK」は勘違い
・心不全パンデミックの陰に「果糖」?
・痛風も「プリン体」より「糖質」が原因
・内臓脂肪を超える悪玉?「第3の脂肪」とは?
・お酒の飲みすぎではなく、「果汁ジュースの飲みすぎ」で脂肪肝に
・「甘いものがやめられない人」がまず真っ先にすべきこと

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