
山国や北国では、花いっぱいの桜と入学式とは結びつかないもの。ではいったい、入学式に桜が「咲いていた」「咲いていなかった」の境目、日本のどのあたりにあるのだろう。気象庁のソメイヨシノ開花の記録から、調べてみることにした。
ここで大切なのは入学式の日どり。学校によって結構バラバラ。一番多いのは4月7日(日曜日にあたる年は8日)のようなので、この日を基準にして、1960年代、70年代、80年代、90&2000年代のそれぞれについて、各10年間(90&00年代は17年間)のうち5回(8回)以上開花していた地点を「咲いていた」、4回(7回)以下の地点を「咲いていなかった」として描いたのが左の図。福島、新潟、長野、岐阜、富山のあたりが境目という結論になった。咲いているのは日本のだいたい半分だね。
ところで、図を見ると90&00年代になって、新潟県や福島県の沿岸部で境界線が北上したことが分かる。特に新潟市では、1960〜89年の30年間にたった1度しか咲いたことがないのに、90〜06年の17年間には8回も咲いている。
次に、1960年から年を追って見てみると、開花の時期は年ごと結構バラバラ。だから、学年によってだいぶ記憶が違うはず。寒かった1984年は特に開花が遅く、入学式に咲いていたのは九州などごく一部だけ。逆に1990年と2002年は開花が早く、山形県酒田市で咲いていた一方、関東以西では散ってしまった所も。これらの年に「15の春」を迎えた昭和43、49、61年度生まれの皆さん、覚えていますか?
早咲きの傾向が強まる近年、「入学式まで花がもつか」が心配の種。東京や横浜では近年満開日が早く、葉桜の入学式が増えていそう。今年も3月末には満開になる見込みで、温暖化の進む日本、いずれは「入学式は葉桜」が普通になってしまうかも。ああ、おそろしや。
ついでに「卒業式」の桜はどうかというと、3月23日を基準に調べた場合、関東以西では開花することがあるが、満開となった例はわずか。「卒業式の桜吹雪」は、ドラマの中だけのことのようです。
(R&S)