蚊は一度に何カ所刺したら気がすむのか
にっくき蚊たち。頼むから、1匹で何カ所も気まぐれに刺さないでください。
昔から蚊に刺されやすい体質のせいか、「かゆっ!」と気づくと、腕やら足やら10カ所くらい刺されていた……ということが、たびたびある。

酔ってるわけでもなく、しかも、ほんの一瞬のこと。
どれだけ蚊が大量にいたのか、あるいは、どれだけ自分が鈍いのかと悲しくなってくるが、これ、本当は何匹の仕業なのだろうか。そして、蚊はどれだけ刺したら、納得がいくのか?
フマキラー株式会社のお客様相談室に聞いた。

「一度にたくさん蚊に刺された場合、たくさんの蚊に刺されたという場合もありますし、1匹が何カ所も刺すことも、両方あります」
大量の蚊なら仕方ないが、1匹だとしたら、なんて欲張りなヤツなんだろう。腹立たしく思っていると、こんな説明が続いた。
「蚊も1カ所で満腹になれば、1カ所ですむわけですが、人間が動いたりすると、いったん離れて、また止まると、また刺す……ということになります。そうなると、腫れは小さくとも、数カ所になるわけです」

つまり、蚊のお食事中に動いてしまうと、その分、刺される場所も増えるということか。
じゃあ、満腹にさえなれば、いくつも刺したりしないのですか。
「そうですね。蚊のほうもムダに動くことはしたくないでしょうから、おなかがいっぱいになるまで何度も吸うだけで、満たされたら他にはいかないはずですよ」
となると、自分のように、一度に大量に刺される人は、逆に、動きすぎる落ち着きのない人なのかと思ってしまうが、
「それは言いきれません。蚊の警戒心にもよりますし、お酒を飲んでいて痛覚が鈍っていると気づかないことなどもあります。また、頻繁に動く人には、そもそも止まらないでしょうし」
とのこと。

ちなみに、かゆみのモトとなるのは、血を吸うこと自体ではなく、皮膚に塗られるモノだと聞くが、実際にはなんなのか。

「一種の唾液で、刺した瞬間に気づかれないようにする『麻酔』のようなものですね。これが、あとでアレルギー反応を起こし、かゆみを起こすんです」
アレルギー反応というと、同じように刺されても、大きく腫れあがる人がいるように、まったく反応しない人もいそうだけど……。
「確かに、体質によって、原理的には『まったく腫れない人』『かゆくならない人』というのもありえますね。ただ、その場合、体に免疫がついているということになりますが、そこまで刺される人はいないからか、聞いたことはありませんが」

ところで、昔から、姉などと蚊について憎々しく語り合ううち、到達する結論は、「少しぐらいの血は、くれてやる! かゆくするな!」ということ。皿に血をとっておけば、刺さないでいてくれるなどの約束ができるといいのに……。
「蚊には、どこに血があるか認知するシステムがあって、熱、二酸化炭素、汗のニオイなどを複合して認知するんです。
ですから、目の前に血があっても、それで認識するのは難しく、また、それらの条件を人工的に作り出すのは難しいようですね(苦笑)」

ここまで譲歩してやってるのに、それでも無慈悲に、いくつも刺しまくる蚊。ヤツらとの戦いは、まだまだ続きます。
(田幸和歌子)