犬や猫に「日本出身」が少ないのはなぜ?
ズラリ並んだこれらの犬・猫の中に、日本のコはすごく少ないです。
犬だったら、チワワ、シェパード、コリー、ブルドッグ、セントバーナード、ボクサー、ドーベルマン、プードル、グレーハウンド、ダックスフント、ポメラニアン、チャウチャウなどなど……。
猫だったら、ペルシャ、アメリカンショートヘア、シャム、ペルシャ、アビシニアン、ロシアンブルー、ソマリ、オシキャット、シンガプーラなどなど……。


有名な種類をパッと思いついたところから挙げただけで、ずいぶんいろいろいるのに、日本出身ときたら、犬なら「秋田犬」「柴犬」など、猫に至っては「ミケ」「黒白ブチ」「キジトラ」みたいな「呼び名」が存在するくらいだ(日本犬については、厳密には産地別に、他に「信州柴犬」「山陰柴犬」「美濃柴犬」「紀州犬」「四国犬」「甲斐犬」「北海道犬(アイヌ犬)」などがいるし、猫では「ジャパニーズ・ボブテイル」が日本猫を原種としてアメリカで品種改良されているが)。
これって、なぜなのだろうか。

アメリカは「人種のるつぼ」と言われるように、犬や猫ももともと自然にたくさんの品種が存在したのかもしれない。また、人口の多さと比例しているのかもしれない。だが、品種のかけあわせなどに対する考え方の違いもあるのだろうか。

調べてみると、『犬の生態図鑑』(金の星社)という本の中で、こんな記述を見つけた。

「日本の犬の祖先は、人間の移動とともにアジア大陸から渡ってきたと考えられています。(中略)もっとも、日本犬は、西洋や中国の犬に見られるような、さまざまな品種に細かく分かれる方向には進みませんでした。日本人は、人の手を加えて犬の品種を新たに作り出す作業には、どちらかといえば消極的だったのです」
日本人にとっても、古くから狩猟などで、なくてはならない存在とされ、そのつきあいは約1万年前までさかのぼるといわれる「犬」であっても、やはり人工的にかけ合わせることが少なかったため、「日本出身」の種類が増えなかったということのよう。

一方、猫のほうは少々理由が異なるようで……。『ネコの本』(講談社)にこんな記述がある。
「アメリカン・ショートヘアやブリティッシュ・ショートヘアのように、ニホンでは古くからいるネコを正式な種類に定める動きがなかったため、ニホンネコにはいろんな種類がまじってしまった」
犬と違い、「積極的に品種をかけあわせなかった」からではなく、「品種を守っていなかったから、自然にまじった」と考えられているようだ。


近年は、犬においては「ミックス犬」などの流行もあり、ますます種類が増えている方向にあるが、その一方で、「ニホンネコを守ろう」という動きがあったり、「犬はやっぱり柴!」という人も、けっこう多い。

種類はわずかながら、日本出身の犬や猫には、頑張ってほしいと思うところです。
(田幸和歌子)

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