「大阪港」「神戸港」の名前がなくなった!?
大阪湾の図と表で簡単にまとめるとこんな感じ
「12月に大阪港や神戸港が統合され、阪神港になる」というニュースを目にした。「海図から大阪港や神戸港の名前がなくなる」という。

大阪港や神戸港といったら、日本を代表する港ではないか。統合するとはいえ、その港がなくなるとは、どういうことだろう? これらの経緯について、海上保安庁にも問い合わせて、詳しく見ていくことにした。

一部改正された「港則法施行令」が12月から施工され、大阪湾3港(大阪港・尼崎西宮芦屋港・神戸港)が統合(一開港化)され、「阪神港」という名称の1つの港になった。
これまで3つの港のうち複数に寄港していた船舶はそれぞれで手続きや納税を行っていたが、大阪湾3港を統合したことにより1回で済むようになり、入港船舶数の増加・国際競争力の強化が期待されるわけだ。

では、これによって、「大阪港」や「神戸港」の名称はどうなるのだろうか?
第五管区海上保安本部に問い合わせたところ、海図、航路標識の名称(海上保安庁設置管理するもの)、港湾EDIシステム(手続きの電子申請システム)において、「大阪港・神戸港」の表記はなくなり、「阪神港大阪区・阪神港神戸区」、あるいは単に「大阪・神戸」などとなるそうだ。
つまり、大阪と神戸の港の区別がなくなってしまうわけではないが、「大阪港」や「神戸港」という名称は消えてしまうわけ。

なんと! これは「神戸港」をこよなく愛する神戸っ子にとってはとってもショッキングな話!

でも、大丈夫。調べていくと、これはあくまでも「港則法」と「関税法」上の話であり、「港湾法」(港湾組織についての法律)上では、大阪港も神戸港も健在とのこと。

具体的には、港則法・関税法上の「阪神港」は、港湾法上の「大阪港」「堺泉北港」「神戸港」「尼崎西宮芦屋港」の4港(管理者はそれぞれ、大阪市、大阪府、神戸市、兵庫県)をあわせた領域にほぼ一致するというわけだ。

あれ? 「堺泉北港」とは初耳。
港則法上では今回の改正以前から、港湾法上の「大阪港」と「堺泉北港」をあわせて、「大阪港」とされていたという。

う〜〜ん。
ちょっと複雑。というわけで、大阪湾の図と表に、簡単にではあるがまとめてみた(写真参照)。

ちなみに、実は「横浜港」や「東京港」もなくなっていたりする。もちろんこれも港則法・関税法上の話であり、「阪神港」と同様に、東京港・川崎港・横浜港の3港あわせて「京浜港」となっているのだ。

法律によって港の名前や領域が変わってしまうだなんて、ややこしい。けど、「阪神港」と「京浜港」という名称だけでも覚えていて、損はないはず。
(もがみ)

大阪湾諸港の一開港化について(港則法施行令の一部改正等)(PDFファイル)
第五管区海上保安本部サイト
一開港化に関するお知らせ(PDFファイル)
大阪市港湾局サイト
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