NYグランドセントラル駅の不思議スポット
ここが不思議スポットだ! 秘密はこの天井にあり
ニューヨーク、ミッドタウンの玄関口グランドセントラル駅は、朝夕の通勤利用者12万人と、その4倍の数のビジターで、毎日ごった返す。
そのため、十階建てのビルがすっぽり収まりそうな高い天井のコンコースには、大勢の足音や話し声で、ワーンという耳鳴りのような音が絶えずこだましている。


そんなノイズィーなグランドセントラル駅で、離れた所にいる人と、ひそひそ秘密の会話ができるスポットがあるそうなのだ。
人呼んで「NYグランドセントラル駅の不思議スポット」。もちろん携帯電話の電波事情がいいってことじゃないよ。

その不思議の現場は、グランドセントラル駅建設時から続く老舗レストラン「オイスターバー」の前。どんな具合か試してみよう。

地上階からちょいと下がったレストラン前の、十字になった通路の角に、対角になるよう二人の人に立ってもらう。
そして一方の人が、目の前の壁に向かってひそひそささやいてみる。

すると、あら不思議。反対側に立っている人に、ちゃんとそれが聞こえちゃうからすごい。まるで目の前の壁の中から声が出てくるみたいに。
何度も繰り返してみたけれど、どんなに小さな声でもちゃんと聞こえてくるから、偶然ではないよう。ひょっとして怪奇現象?

建築科の学生に聞いてみた。


「恐らくこれは、天井に秘密があります。
レストランは半地下に位置し、上に通路があるため、少し天井が低くなっています。そして更に、天井はアーチ型にデザインされています。
壁に向かってささやいた声は、壁からこの低いアーチ型の天井を伝わって、反対側に立つ人にまで届くのです」

なるほど。不思議でも、怪奇現象でもなく、科学的な根拠があったのだ。

「このレストランは、故意にそのようなデザインをしたのかは分かりませんが、この建築技法は古くからあり、中世イスラム建築には、この音響効果を利用した部屋がよくみられます。
有名なもので、スペインのアルハンブラ宮殿の『秘密の間』があります」

美しいアーチの重なるデザインには、そんな不産物もあっただなんて。恐らく偶然から発明されたんだろうけど、なんとも大掛かりでロマンチック。
人ごみの中でささやかれるのは、おどろおどろしい謀略か。それとも恋の告白か。好奇心が湧く。

興味のある人は、是非友人等と行って試してみてくださいな。

きっと皆驚きますよ。うっしっしっ。
(チン・ぺーぺー)