「自分が子どもの頃は○○だったのに、今はずいぶん変わったなあ」と驚いたり、「今の子どもたちは……」なんて呟いたこと、ありませんか。

自分の知っていた情報・認識との齟齬が生じたり、変化を実感するたび、単に年齢を重ねたせいなのか、時代の変化なのかと戸惑うことがあるけれど……。


そんな変化を統計データで見て、比較できる本がある。
『1970年代の日本と今の日本』(PHP総合研究所監修/PHP研究所)だ。

この本自体が2006年に刊行されたものなので、すでに現在では異なるデータもあるだろうが、「1970年代と今」では、実際、驚くべき変化が見られる。
なぜ「1970年代」との比較なのかというと……。
1つは、30年前といえば、「この本を手にする子どもたちのお父さん・お母さんが同じくらいの年齢だった時代」であるということ。

また、1970年代は新たなものがたくさん生まれ、大きな変化が生まれた時期でもある。

余談だが、1973年生まれの自分の生い立ちのアルバムにはカラー写真しかないが、1969年生まれの夫・姉のアルバムには白黒写真がある。
この数年間だけでも、ささやかな違いを感じて驚いたものだったが……。

本書では「日本のすがた」として国の借金、貿易、産業の変化なども紹介しているが、それらは実感しがたいため、数値の変化にただ驚かされるばかり。
だが、「社会のうごき」や「人々のくらし」「教育と文化・スポーツ」などは、自分をはじめ、1970年代生まれの人間にとっては、「そうそう!」と懐かしくなることが非常に多い。
たとえば、公衆電話の数。1975年には67万5000台あったものが、携帯電話の普及によって、2004年には44万2000台にまで減少している。

実際、小学生の我が子にも10円玉を持たせて公衆電話から電話をさせようとしたところ、近所に見つからず、ウロウロしている様子を見た知り合いが自分の携帯電話を貸してくれた……なんてこともあった。寂しいが、そのうち公衆電話はほとんどなくなる日が来るのかもしれない。

また、1970年代は、いまでは当たり前にある様々なものが日本に初めて登場した時期でもある。
ファーストフード・チェーン初登場は、1970年の「ドムドムハンバーガー」1号店で、同年に「ケンタッキーフライドチキン」の実験店、1号店がオープン。マクドナルド1号店はその翌年にオープンしている。
また、おなじみ「カップヌードル」は1971年に、コンビニエンスストア「セブン‐イレブン」は1974年に、ペットボトルは1977年に醤油の容器として初登場している。

ちょっと意外なのは、宅配便が登場したのも1976年。それまでは郵便小包などはあったが、荷物が届くまでに数日かかっていたのだそうだ。

この本を子どもと一緒に見ると、「ウソ! ママの子どもの頃って、○○がなかったの!?」とか、「ペットボトルって、わりと最近できたんだ」とか素直な驚きが聞かれるし、親世代の私たちにとっても「そういえばそうだったよな……」としみじみしたり、学び直すことがたくさんある。

昔のことを学び、「今」を知るために、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
(田幸和歌子)