3才になる娘は、スーパーマーケットが好きである。筆者が食材を買いにスーパーへ出かけようとしていることに気がつくと、自分も連れて行ってほしいと懇願する。
なぜ娘がスーパー好きかというと、なんということはない、ねだり倒してお菓子を買ってもらえるからである。

かくいう筆者もお菓子は好きな方なので、スーパーでは娘といっしょになって選ぶ。さて、今日はなんのお菓子にしようか。と選んでいるそばで、娘はなにやら一袋、買い物カゴに入れた。湖池屋の「スコーン チーズ味」であった。

湖池屋の「スコーン」って、おいしいんですよね~。
ただ、筆者はチーズ味よりもバーベキュー味派。娘に触発されるかのように、筆者は「スコーン 和風バーベキュー」をカゴに入れたのであった。

その夜。「スコーン 和風バーベキュー」をおつまみに、ビールを飲む。ウマイ。まさに至福のとき。
濃い目のバーベキュー味に、ビールが進む。指についたバーベキュー味も残さず舐め取る。ウマイです、バーベキュー味。思えば筆者、他のスナック菓子でもバーベキュー味を好んで選んでいる。LOVEバーベキュー味。

と、ビールを飲む手が止まった。
……バーベキュー味? バーベキュー味って、いったいなんの味だ? 肉の味だろうか。それとも、タレの味だろうか。愛するバーベキュー味だけに、なんだか気になってしまった。

そもそも「バーベキュー」の語源は、スペイン語で「丸焼き」を意味する「barbacoa」にあるという。屋外で肉や野菜を焼いて食べる現在のバーベキュースタイルは、豚の丸焼きを大勢の仲間たちと共に食べるアメリカの習慣が起源ともいわれている。

このアメリカのバーベキューに欠かせないのが、バーベキューソースである。
ケチャップをベースにつくられるこのソースが、スナック菓子の「バーベキュー味」の味なのではないだろうか? いや、でも待てよ。ならばなぜ、「バーベキューソース味」といわないのだろう。

湖池屋の「スコーン」には、「たっぷりバーベキューソース味」という種類がある。だが、「スコーン」のバーベキュー味のスタンダードは「和風バーベキュー」だ。「和風バーベキューソース味」ではない。このあたり、どうなんですか湖池屋さん?
「『和風バーベキュー』は、バーベキューの際にお肉や野菜を焼いたときの味を表現したものです」とは、湖池屋の担当者。
「ソースやタレの味というわけではなく、バーベキューそのものをイメージした味になります」

なるほど。肉だのタレだのといった個別の味ではなく、バーベキューの全体像を表す味ということか。「サッポロポテト バーべQあじ」を出しているカルビーにも問い合わせてみたところ、同様に「バーベキューの雰囲気を感じられる味をイメージしてつくりました。お肉や野菜、タレなどの味というわけではありません」ということであった。

屋外で、家族や仲間と食べるバーベキューは、たしかにおいしいし楽しい。けれど、そういつもいつもバーベキューができるわけではない。
スナック菓子のバーベキュー味なら、いつでもどこでも手軽に食べられる。おいしいだけでなく、実際にバーベキューをしているかのような楽しい気持ちになれる理由は、バーベキューそのものをイメージさせる味わいにあるようだ。
(木村吉貴/studio woofoo)