新作映画『ウルトラマンサーガ』が3月24日から公開の、ウルトラマンシリーズ。

この作品でも新たなウルトラヒーロー、ウルトラマンサーガが登場するが、現在まで続くウルトラマンシリーズの原点となったのは、もちろん初代のウルトラマン。

この初代ウルトラマン、当時の作品中で使われたスーツのバリエーションの変遷が大きく、登場順に「Aタイプ」「Bタイプ」「Cタイプ」という区別がなされて扱われることが多かった。
児童向けでないハイターゲット向けの商品には、このA〜Cのタイプそれぞれのディティールを細かく再現して商品化される物も多い。

近年、そのバリエーションはさらに多岐にわたる時代に突入していた。特撮作品に詳しい編集者が言う。
「ウルトラヒーローって、後のシリーズで、ゲストキャラとして主人公を助けにきたりする回がありましたよね。そのゲスト回に再登場したウルトラマンは、当時の撮影用スーツが劣化していたりすることで、新たに作り起こされたり、アトラクションショー用に使われていたものなんかが利用されたりで、オリジナルの物とは違うものである場合がけっこうあります」

このような他作品に出演するウルトラ戦士を「客演マン」や「客演セブン」なんていう言い方で区別することもあったりするとのことだが、近年では、こういったオリジナルのものとはちょっと違う客演ウルトラマンにも、一定の需要はあるのだという。

「リアルタイムで『ウルトラマン』を見てきた世代が50歳前後でしょうか。それよりも下の40歳前後、ウルトラ兄弟・ウルトラファミリーが共演したり勢揃いしたりすることにインパクトを受けた世代にとっては、その回のウルトラマンの姿が、とくに強烈に刷り込まれている場合があるんですよ。オリジナルのものよりも多少くたびれていたり、どこかバランスが悪かったり、目が真っ黄っ黄だったり。中には身体の赤いラインや、グローブの色まで違ってたりすることもあるんですが、かつてはオリジナルと比べてカッコ悪いみたいな扱いを受けていたものも、それはそれでひとつの味として、ウケるようになってきているんだと思います」

さらに、90年代以降はあまり出てこなかった「ウルトラファミリー」の設定が、2000年代なかばあたりから、再びよみがえってきている。
「親子で楽しめるという意図もあり、昭和の時代の人気怪獣や宇宙人も復活して再登場するようになりました」(同編集者)
これらの作品に登場する、昭和の世代のウルトラ兄弟たちは、「ブラザーズマント」というマントをまとったレジェンド扱いのような状態で登場することも多い。
「将来、このマントをつけた状態が自分にとってのウルトラマンだというファンも多く出てくるかもしれません。
ガンダムやザクなんかも同じかもしれませんが、ひとくちに『初代ウルトラマン』といっても、思い描くイメージは、またそれぞれのものがあるんだということですね」

世代を超えファンを多くもつヒーローならではの、「それぞれ」なのです。
(太田サトル)