先日、スーパーの試食コーナーに置かれた焼肉をものすごいスピードで食べるおじさんを見て唖然とした。おそらく10枚以上は残っていた肉を、慣れた感じで手早くまとめて大口で平らげ、何事もなかったかのように次の試食コーナーへと進んでいったのだ。


ところが、実際にスーパーで働く人にその話をすると、みんな口をそろえて、「あぁ、よくある話だよ」という。話を聞くと、万引きのように警察沙汰になるほどではないが、ちょっと困ったお客さん、というのは想像以上に多いらしい。

たとえば、商品を元の場所に戻さない、なんてことは日常茶飯事。
「お菓子のところにコロッケやリンゴが置かれていたり、弁当のところに肉があったことも。さすがにその肉は廃棄したけどね……」
と教えてくれたのは近所のスーパーで働くパートさん。

スーパーにあるものを必要以上に持ち帰ろうとする人も多いという。

「惣菜用のパックなんて、2~3枚どころか、10枚くらい重ねてくる人も結構います」
と呆れ顔でいうのは、某スーパーのレジ担当者。なかには大胆にも、コロッケ2個に対してパックを30枚くらい重ねてくる人もいるとか。
「そこまで重ねられると、中にコロッケが何個入っているかなんて見えないですよ(苦笑)」

惣菜コーナーの輪ゴムも、持ち帰りたがる人が多い人気アイテム。
「ペットボトルなどに大量に巻きつけてくる人もいますね。さすがに自分のカバンにこっそり入れるのは抵抗があるけど、レジ係がスルーしてくれたらラッキー、くらいの感覚じゃないでしょうか。でも、私はパックも輪ゴムもしっかり回収しますけど」

ほかにも、寿司や弁当等を買っていないのに大量のしょうゆをカゴに入れてきたり、製氷機の氷を大量に袋に詰めて持ち帰ろうとしたり……。
割り箸などは、明らかに一人前の弁当に対して10本単位で要求されることもあるという。

また、レジ袋が有料の店では、贈答品用の無料の紙袋をもらおうと、明らかな日用品を贈答品と言い張る人も。悪質なケースになると清算後に店のカゴのまま、さらには店のカートを使って、家に帰ってしまう人もいるというからヒドイ。店のカートが道に放置されていると近所から苦情の電話がくるそうだ。

清算後に商品を袋詰めするサッカー台で、設置されているビニール袋を大量にとる人は昔から多いが、最近増えているのが、トレーに入った肉や魚をその場でビニール袋に詰め替えていくケース。家庭ごみを減らしたい、分別が面倒、などが理由のようだが、なかには、つまの付いた刺身(※さくではなく)まで詰め替えていく人もいるというからビックリだ。


家庭ごみの持ち込みも少なくない。
「入口のゴミ箱にザブトンが捨ててあったことがあって……。はじめのうち、店長は忘れ物じゃない? なんて言ってたけど、もちろんそんなわけがなく。案の定、何日経っても誰も取りに来ませんでした」
と嘆くのは前述のレジ担当者。しまいには靴やドライヤーまで捨てられていることもあり、結局、その店では雨の日以外は入口のゴミ箱は片付けることにしたという。

このほかにも、サービスカウンターの中に勝手に入ってくる人、電子レンジを正しく使わずに壊してしまう人、理不尽な苦情を言ってくる人……など、困ったお客さんの例は挙げきれないほどある。


もちろん、ほとんどのお客さんが良識のある人たちだというが、毎日のように使うスーパーだからこそ、知らないうちにマナー違反をしていないか改めて気を付けたいものだ。
(古屋江美子)