ジャガイモの芽はどれくらい真剣に取るべきか?
使い勝手がよいジャガイモだけど、皮むきは苦手……
実家から大量のジャガイモをもらったのだが、しばらく置いておくと芽が出てきた。ジャガイモの芽を取るのは思いのほか面倒だが、
「ジャガイモの芽は毒だから、ちゃんと取りなさいよ!」
という母の言葉を思い出して、一生懸命取っている。
でも、このジャガイモの芽、はたしてどこまで真剣に取るべきなんだろうか? それほど神経質にならなくても大丈夫なのではないだろうか?

気になったので、ジャガイモの皮むきもそこそこに農林水産省に聞いてみた。すると、ジャガイモの毒性については、浅間和夫氏によるジャガイモ博物館というサイトのなかで説明されているという。早速、同サイトをのぞいてみると、ポテトエッセイ第45話にジャガイモの毒性についての記述があった。

ジャガイモの成分のうち毒性があるのは、ソラニンやチャコニンなどのグリコアルカロイドと呼ばれるもので、その致死量について以下のように書かれている。
「グリコアルカロイドの致死量は成人体重1kg当り3ないし5mgであり、成人が200ないし350mg摂取すると中毒をおこしたり、死んだりします(人は苦みに敏感なので現実にはそんなにたべられませんが)」
んっ?! なんと、死ぬこともあるのか……。それは怖い。


実はグリコアルカロイドは正常なジャガイモにも含まれているが、0.02%程度と少量のため、一度に食べる量としては問題ないらしい。しかし、芽や緑化したイモの毒性は想像以上に高いようで、農林水産省によると、
「バレイショ体内のグリコアルカロイドは、生いも100gあたり、正常なイモが5〜20mgであるのに対し、萌芽した芽には200〜400mg、緑化したイモには150〜220mgもの量が含まれている」
というから、驚きだ。誤って食べることはないと思うが、花には300〜500mg、葉にも40〜100mg程度のグリコアルカロイドが含まれているそうなので要注意。

「ヒトは『15mg/100g生いもベース』以上で、えぐ味を感じます。目は通常の皮と同じで、緑化していなければ食べても大丈夫。目から伸びた芽は、少しでも沢山のグリコアルカロイドを含有するので、食べない方がよいでしょう」
なるほど。
味がおかしいと感じたら食べないことが重要だ。ちなみに、ジャガイモの「目」とは表面のくぼみのこと。

余談だが、向田邦子さんの小説『花の名前』のなかに、「ジャガイモと薄荷(ハッカ)の食べ合わせは死ぬと教わった」というクダリがある。「ウナギと梅干」のように、昔から言い伝えられている悪い食べ合わせのひとつだ。この真偽については農林水産省では不明だそう。死ぬというのは大袈裟かもしれないが、古人の知恵として食べ合わせないほうが賢明かも。


とりあえず、かなり真剣に取ったほうがいいことがわかったジャガイモの芽。とりあえず、気合いを入れなおして、皮むきの続きでもします……。
(古屋江美子)