2001年の4月から2007年の9月まで、水曜日の夜10時に放送されていたコント番組『ココリコミラクルタイプ』。この番組は、ココリコの2人とミラクルさん、という名の雪男(人形)が中心となってテンポよく、投稿されたネタを再現したコントとして繰り広げて行く痛快な番組だ。

出演者が豪華だった『ココリコミラクルタイプ』の傑作コント

しかも出演者は芸人に限らないのがまた面白い所。レギュラーメンバーには松下由樹、坂井真紀、小西真奈美、八嶋智人、などの大物俳優、女優も入っていたのである。そして番組の中には、印象に残る定番コントが数多く存在する。その中から特に人気のあったシリーズについて振り返ってみよう。

目につく男


『ココリコミラクルタイプ』を見ていた人の中には、この番組といえば、「目につく男」と連想する人も多いのではないだろうか。かなりのインパクトを与える、番組定番のコントである。
ココリコ田中が扮する「目につく男」はとにかくその名の通り目につく。
様々な場面に現れるのだが、まずその外見からして目につく。場違いな場所で1人行動(料理教室、社交ダンス教室など)落ち武者のような髪型、見開いた大きな目。さらにその行動にも突っ込みを入れずにはいられない。料理教室では持参したビールをさりげなく飲み、社交ダンスでは相手がいないのにいる想定でダンスを始めたり……。
コントはその場にいる第3者の視点で軽快に進んでいく。ナレーションのように語られるその突っ込みや観察がまた見る者の気持ちを代弁し、どんどん惹き込まれていくのもこのコントの魅力なのである。


方言でコント(方言バトル)


出演者が豪華だった『ココリコミラクルタイプ』の傑作コント

名前の通り、様々な地域のキャラクターが1つの場所で鉢合わせ、言い争いをする、というスタンスのコント。舞台は合コンや屋台、自宅、キャバクラ等様々だが、基本的には違う出身地の2人が言い争いを始め、初期段階では方言を隠しているものの、ヒートアップして1人が方言で罵詈雑言を浴びせ、それに腹を立てたもう一方も方言で反論を始める。さらにその喧嘩を止めようと入った3人目にも飛び火し、また違う方言で喧嘩に参戦…といった形で徐々に方言を出す人物が増えて行く。

その方言は全て違う地方の言葉であり、かなりネイティブな発音をするため、普通に聞いていてはとても聞き取れない。そのため、方言が出た時点でテレビの画面には必ず下部分に標準語訳のテロップが流れる、という状況になる。(その方言の地方ももちろん書かれている)
そしてこのコントで面白いのは、その地方にまつわるネタや出身芸能人の名前をちりばめられながらテンポよく言い争いが進む所。(たとえば青森なら津軽海峡、広島ならカーブ、など)自分の地元が出た時には突っ込みを入れながら大笑いすること請け合いなのである。


認めない女たち


『ココリコミラクルタイプ』の中には、かなり「嫌な女・嫌な男」が多く再現されている。その中でもかなりの印象を植え付けるのが「ナイナイガールズ認めない女たち」。
こちらは、結婚式が舞台となり、3人の綺麗どころの女性が同じポーズで脚を組み、煙草をふかしているところから始まる。役者は松下由紀、坂井真紀、山口紗弥加、というかなりの大物ぞろい。それだけでもかなり圧巻である。その3人が、幸せそうなトークをする女性を嫌味たっぷりにバッサリと切っていく。
結婚式という場面でありながら、主役である新婦(こちらは森山中の村上知子)に対しても新郎を「ナイナイナイ!」と全否定。3人がそれぞれ相手の男性のダメ出しをし、口を揃えて「ナイナイナイ!」。動きもピッタリ合わさっている所には、もはや見ていて気持ちよささえも感じさせる、中毒性のあるコントである。
出演者が豪華だった『ココリコミラクルタイプ』の傑作コント

このように様々な名作コントが生まれていた『ココリコミラクルタイプ』。興味を持った方はDVDも発売されているので、ぜひ一度見返してみてはいかがだろうか。
(絵:小西りえこ)