就業時刻が過ぎたら、あとは自分の時間。家に帰ってのんびりするもよし、気の合う仲間と食事をするのもいいでしょう。
しかし、帰りがけに上司から「どこかで一杯飲みながら、話をしないか」と誘われたらどうしますか。
一昔前なら、上司の誘いは絶対で、恋人との約束をキャンセルしてもつき合ったようです。しかし、今では仕事とプライベートの区別をはっきりさせる人が増えています。
そのため、「お話があるのなら、就業時間内にお願いできますか?」「就業時間外は、会社の方とはお付き合いしない方針なので……」と、はっきり断る人もいるとか。
しかし、アフター5を自由に使いたいのは上司も同じこと。それでも部下を誘うのは、何か大切な理由があるからでしょう。もしかすると、職場では話しづらい用件があるのかもしれないし、こちらの意見をじっくり聞きたいのかもしれません。
いずれにしても、部下にとってもプラスなことがあるはずなので、「時間外で仕事はシャットアウト」と決めつけず、柔軟に対応したいものです。
ただ、急に誘われれば都合の悪いこともあるでしょう。
そんな時は、まず、「お誘いいただき、ありがとうございます」と、感謝の気持ちを表してから、
「せっかく声をかけていただいたのに申し訳ないのですが……」
「せっかくお誘いいただいたのに恐縮ですが……」
と、お詫びの言葉を頭においてから、断る理由を続けます。
断る理由はあまり細かく伝える必要はありません。下手に、「映画を見に行こうと思っているので」などと話すと、「上司の話よりも、映画を見るほうが優先されるのか。映画なんていつでも見られるだろう」などと思われかねないからです。
こんな時はシンプルに、
「今日はあいにく先約がありまして」「今日はあいにく外せない用事がありまして」
のように言います。「先約」や「外せない用事」と言えば、常識のある人であれば、根掘り葉掘り聞くような真似はしないはずです。
もし、違う日に都合がつくのならば、
「でも、明日なら大丈夫です。いかがでしょうか」
「けれど、木曜日なら時間が取れます。課長のご都合はいかがですか?」
のようにつなげます。あるいは、
「これに懲りずに、また誘ってください」「これに懲りず、また声をかけてください」
と、断ってそれっきりにするのではなく、仕事のできる人はきちんと次につなげていくのです。
そして、誘いを受ける際には、まず「ありがとうございます」とお礼を言ってから、
「ご一緒させていただきます」「お供します」
のように言います。
気を付けてほしいのが、「飲みに行こう」→「いいですよ」という受け答え。「いいですよ」は、相手に許可を与える表現です。許可を出すのは目上の人の役割なので、部下が使ってはいけません。
大切なポイントは、行くにせよ断るにせよ、感謝の気持ちで受け答えすることです。
◆角を立てない断り方
× 今夜は映画を見に行く予定があるので
〇 今夜は外せない用事があるもので…
〇 あいにく先約がはいっておりまして…
〇 せっかくお誘いいただいたのに恐縮ですが…
【ポイント】
断るときも、感謝を表そう
【『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】