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俳優の香川照之が父・三代目市川猿之助と和解し、歌舞伎役者としての活動も始めるという。かつての家庭内の泥沼を、猿之助は「恩讐の彼方に」という言葉で払拭し、スポーツ紙は美談としてこれを報じた。
猿之助は、1965年に元宝塚女優の浜木綿子と結婚。同年、長男の香川が生まれるが、猿之助は初恋の人であった"日本舞踊藤間流"の故・藤間紫のことが忘られずに、彼女の元に不倫に走って、妻子を捨てた。
浜は、女手ひとつで香川を育てた。香川は母親の愛情に報いるために東大文学部に入学。卒業後、俳優になった。
そんな猿之助に代わって、スーパー歌舞伎を支えてきたのは、猿之助の部屋子となって長年修行してきた市川右近だった。かつては猿之助も、後継者は血縁がなくてもいいというような発言をしており、関係者の間では、四代目猿之助は右近が襲名すると思われていた。ところが、今回の和解を機に、香川のいとこにあたる市川亀治郎が四代目を襲名することも決定した。右近にとっては、青天の霹靂だったことだろう。
というのも、香川は自分がなりたかった歌舞伎役者の夢を長男・政明に継がせ、将来、猿之助の名を襲名させたいと願っていたからだ。こうした思いは、先日の会見での「『この船(筆者注:140年の歴史がある一族の屋号・澤瀉屋)に乗らなくていいのか』と彼(政明)が生まれたこの7年、ずっと思ってきた」という言葉からも見てとれる。やはり、自身に流れる歌舞伎の血を自分の息子に継がせたかったのだ。
そもそも、歌舞伎関係者の間では、古くから香川と右近の間での、猿之助襲名をめぐる確執がささやかれていた。もし香川が歌舞伎界に戻ってくることがあれば、猿之助継承の大本命になる。
猿之助は8年前に脳梗塞を患い、2年前には故・藤間さんに先立たれ、心細い日々を送っていた。その心の隙間に香川が入り込んでいった。息子に猿之助を襲名させるためだ。妻子を捨てて、故・藤間さんの元に走った猿之助を浜さんは許さなかったが、今回は孫のためということで許したという。それを聞いて猿之助は「浜さん、ありがとう。
(文=本多圭)
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