10人の脚本家と10組の名優で贈るオムニバスドラマ、TBS日曜劇場「おやじの背中」(日曜日午後9時~)が9月14日放送の第10話で最終回を迎える。

 同ドラマは、初回(7月13日)の「圭さんと瞳子さん」こそ、田村正和松たか子の豪華コンビで15.3%(数字は以下、すべて関東地区)の好視聴率をマークしたものの、第2話以降は1ケタ台。

注目された渡辺謙東出昌大のコンビによる第7話「よろしくな。息子」(8月25日)も、9.7%と厳しい数字だった。

 内野聖陽神木隆之介が親子役を演じた第9話「父さん、母になる!?」(9月7日)は11.2%で、初回以来、2度目の2ケタ台をマークしたものの、視聴率は低迷している。

 その最終回「北別府さん、どうぞ」は当初、市村正親が主演を務める予定だったが、胃がんが判明し、その治療と療養のため降板。代わりに、脚本を担当する三谷幸喜のプッシュで、主役に抜てきされたのは小林隆

 三谷作品の常連であるという理由で、大役に起用された小林だが、典型的な脇役専門の俳優。
名前を聞いても、ピンとこない人が多いだろう。代表作はフジテレビ「古畑任三郎」シリーズの向島音吉巡査役、04年のNHK大河ドラマ「新選組!」の井上源三郎役だ。

 TBSで三谷作品の放送は初となり、それが売りだったわけだが、主役が大物俳優の市村から小林に代わったことで、インパクトが薄れた感は否めない。

 ところで、主演者の交代劇はともかく、このドラマのキャストに失笑が漏れているというのだ。出演者は小日向文世吉田羊八嶋智人須田琉雅、堀内敬子、瀬戸カトリーヌ秋元才加酒井若菜木南晴夏らなのだが、番宣を見て、思わず吹き出した視聴者も少なくないようだ。

 というのも、小日向、吉田、八嶋の3人は、フジ「HERO」(木村拓哉主演)に出演中だからだ。
つまり、主たる出演者が「HERO」と同じで、キャスティングに疑問符が付いているのだ。昨今、同じクールで、同じ役者が他局の連続ドラマに出るケースは少なくないが、よりによって3人まとめてとなると異例。

 正直、「HERO」の役者陣でドラマをつくった感が否めない今回の三谷作品。果たして、視聴者の評価はどうなることやら。なお、「おやじの背中」最終回は「アジア大会2014」中継の関係で、14日午後9時半放送開始となる。
(坂本太郎)