アイドルの登竜門と言われた1971年から1983年にかけて放送されたオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系)が注目されていた。ここから山口百恵・ピンクレディー・小泉今日子・中森明菜などが輩出された。
この流れは、伝説のスターとまで言われた山口百恵と同じ流れだったこともあり、合格後には大きな注目を集めていたのだが、その時にホリプロからデビューしたのは堀ちえみである。堀は、1981年のホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを獲得し、自社が自ら選んだタレントということもあり、実質的に同期でもある河上より先にデビューすることになった。デビュー直後から人気も高く、河上のデビューが先になったことも悪いとは言えなかった。その後82年のホリプロタレントスカウトキャラバンで、大沢逸美がグランプリを獲得するのだが、83年になって早々に大沢がデビューすることが決まった。
大沢から遅れて半年後の83年7月に河上がようやく『ブルー・エトランゼ』でデビューすることになったのだが、同じ時期に同じプロダクションから出るのは珍しいことであるが、世間は当時のアイドルとしては珍しいボーイッシュな大沢に注目が集まっていた。
そんな河上を生で観る機会がようやくやってきた。84年の8月の初めの頃である。神宮外苑聖徳記念絵画館の前を広場にして行われたイベント『ふり~ばる84』という、今でいうフジテレビで夏に行われているお祭りのようなイベントである。ここで公開生放送が夕方に行われたのだが、ゲストに河上が登場した。
しかし特殊な企画モノを歌ったことの影響があったのか、それ以降も新曲を出してもヒット曲が出ることもなく、85年5月21日に発売された5thシングル『心の中のルビー』を最後にレコードの発売は無くなってしまった。
87年にドラマ『女の手記』(テレビ東京系)の出演を最後に、芸能界を引退してしまった。『スター誕生!』で原石と出会えたと思っていたが、まさかこういう結末が待っているなんて思ってもいなかった、今は地元の神戸に戻っているみたいだが、どうしているのだろうか? とにかく幸せであって欲しいです。
(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)
【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。