「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」の世界的大ヒットでおなじみのピコ太郎。なんと、3月6日(月)に日本武道館公演『PPAPPT』を開催します。
出典元:(YouTube:公式ピコ太郎歌唱ビデオチャンネル -PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-)
でも、ピコ太郎のプロデューサーである古坂大魔王の凄さに気がつけていない人には、“たまたまでしょ?”とか“もう飽きた”、なんて声も聞こえてくるかもしれません。
しかし、昨年12月7日にリリースされたアルバム『PPAP』を聴いていると、その類稀なる音楽センスに驚かされました。祝武道館公演ということで、音楽的評価を検証したいと思います。
アルバム『PPAP』の音楽的評価を検証
そもそも、「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」の原型は、古坂大魔王がお笑いコンビ、底抜けAIR-LINE時代に作ったお笑いネタ「テクノ体操」と言われています。体操服×ミニマルなテクノ。
さらに、リズムがループするミニマル・ミュージックな手法に言葉が乗せられる方法論は、電子音楽グループの元祖Kraftwerkによる「Numbers」ですね。それこそ、ユーモラスな音使いや振り付け、言い回しはテクノポップ・バンドDEVO「JOCKO HOMO」からの影響も見受けられます。
リズムマシーンRoland TR-808の存在
音楽的な影響といえば、2017年1月15日放送の音楽番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、クラブ・カルチャーに精通するtofubeatsが、ピコ太郎はテクノやヒップホップ・シーンに多大なる影響を与えたリズムマシーンRoland TR-808を活用していることを指摘したことでバズりました。
曲中印象的なRoland TR-808でのカウベル音使いといえば、ヒップホップ創始に関わった3大DJのひとりAfrika Bambaataaや、Jam & LewisがプロデュースしたChange、Babyfaceなどでも多用されていましたビートです。
番組では、古坂大魔王曰く「もうね。まさにそのまま。もう1個こだわってるのが、カウベルだとアタックが弱くて、実はカウベルの裏に同じくローランドのTR-909のスネアを重ねてるんですね。僕そこスゴイ頑張って作った。この話がしたかったです」(『関ジャム 完全燃SHOW』より)というこだわりだそうです。
ちなみに、スネアにカウベルをかぶせるという発想はデトロイト・テクノから着想であることは間違い無いはず。
テクノとユーモアの融合
アルバム『PPAP』4曲目には「ネオサングラス」という「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」ブレイク直後にYouTubeで発表された34秒の曲があるのですが、こちらはThe Supremes「You Can't Hurry Love」でおなじみのモータウン・ビートが取り入られています。J-POPでは広末涼子「MajiでKoiする5秒前」でも聴けるシャッフルビートですね。
出典元:(YouTube:公式ピコ太郎歌唱ビデオチャンネル -PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-)
そんなピコ太郎曲で、音楽好きにオススメしたいのが6曲目「べったら漬けが大好き」です。WOWOWで生中継されたグラミー賞特番『生中継!第59回グラミー賞授賞式』で、ピコ太郎が番組に登場した際にTOKIOの長瀬智也がネタにしていた中毒性高いナンバー。テクノポップ調で始まりながらハードコア要素を持つ“今感”あるセンスがたまりません。
17曲目「最終手段」や7曲目「☆スイーツまとめて星になれ☆!」を聴いていると、電気グルーヴの1stアルバム『FLASH PAPA』時代のセンスを彷彿とさせます。世代的にも1973年生まれのプロデューサーの古坂大魔王がテクノとユーモアを融合させた電気グルーヴから多大なる影響を受けていることは間違いないでしょう。テクノポップに詳しい音楽ユニットNIRGILISのライブに、古坂大魔王がゲスト出演していたことを思い出します。
出典元:(YouTube:公式ピコ太郎歌唱ビデオチャンネル -PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-)
ピコ太郎曲で聴いて欲しいナンバーといえば16曲目「ヒヨコ選別」の強烈なインパクトです。9mm Parabellum Bulletのライブのオープニングでも起用されていた、デジタル・ハードコアなATARI TEENAGE RIOTからの影響が大きいと思われます。
ジャンルを超えていくコアな音楽的影響
そもそも、古坂大魔王のTwitterのプロフィールにはDie Antwoord、ATARI TEENAGE RIOT、PRODIGY、BABYMETALの名前も上がってました。
出典元:(YouTube:Die Antwoord)
そして、ピコ太郎が天才だと思ったのは「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」とは44秒のトラックを同じくして歌詞を変えた19曲目「カナブンブーンデモエビインビーン」でした。この呪文のような謎のタイトル。これは、解説はあえてはぶきます。ぜひ実際に聴いて体験してもらいたいです。
(KKBOXライター:ふくりゅう)